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改札口

雨だからね、映画でもみようか、という話になり、A君とブレットトレインを見た。想像以上に面白く、最後まで楽しく見られたが外国の方が想像する日本というのは歌舞伎町と富士山と刀であり、現実の日本とは解離がある。

私はそれらをインチキ日本と勝手に呼んでいてそれはそれで良いと思っているが、近年ハリウッドでうるさく言われている主義主張、つまり文化に対する深い理解云々とは明らかに違うのにあまり気にされてる様子はないのがなんだか皮肉めいてるよなと思った。

映画館の最寄りの駅の改札口で抱き合っているカップルがおり、A君と私はしばらくそのふたりを見つめたあとA君は「ケッ!」と言った。私たちも抱きあう?と提案すると「無理に決まってる」と言い、私も、もしA君がうん、と言ってもそんなことはしない。

つまり答えが分かった上での質問で、こうしたことはお互いの理解度がある程度なければ出来ず、そういう事が出来ているのに私は深く満足する。

二人っきりの時、A君はあるからだの反応を頑なに「単なる生理現象ですから」と主張する。

へえ、そう、なるほどねえ、ご立派な生理現象ですこと!と笑いそうになるが、いかにも悲しいという顔して「そんなこと言わないで」と言ってみる。

A君は毎回ちょっと嬉しそうだ、馬鹿みたい。

バツイチ年増へのサポートっていやらしい響きですよね。それが言いたかっただけです。