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様々な生き残り方

「三塁コーチャーで背番号貰う人もいるんだよ」

これは私が中学3年生で高校入学間際に3歳年上の先輩に言われた言葉だ。先輩は野球の強豪校に在籍していて、私はそのライバル校にあたる高校に入学が決まっていた。

「三塁コーチャーで背番号貰うのはダセェな〜」なんて心の中で思っていた自分がまさか3年後に、三塁コーチャーとして背番号を貰うとは思ってもいなかった。

中学生時代の私は高校に進学しても当然のようにスタメンで出場できると思っていた。結論からいうとスタメンには一度もなれなかった。背番号を貰ったのは2年秋、3年春、3年夏。初めて背番号を貰った秋の大会では三塁コーチャーを務めていなかった。

しかし、ある試合で監督から急にやってみろと言われ、三塁コーチャーをやってみた。その試合から三塁コーチャーは私のポジションになった。

三塁コーチャーとは、2塁ランナーをホームに進めるか、三塁でストップさせるかの判断を下すポジションである。正しい判断をして当たり前と言われるポジションであることから、判断ミスをした日には何を言われるか。そんな理不尽なポジションでもある。プロ野球ではコーチが務めるほど重要なポジションなのだ。

それが故に、三塁コーチャーをやりたいと言う人はいないだろう。正直私もやりたくなかった。でも、私の性格が三塁コーチャーに合ってしまっていたのだ。

それから日々、練習で三塁コーチャーをやることによって私は100人いる部員の中で代えのきかない選手になったのだ。

野球は9人だけで成り立つスポーツではないし、9人が凄ければ甲子園に行けるわけでもない。三塁コーチャーのようにスポットライトの当たらないポジションを自らの力で磨いて輝かせた当時の自分を誇らしいと思う。

レギュラーにはなれなかった、甲子園にも行けなかった。でも、三塁コーチャーというポジションをやることでそれ以上の価値を見出すことはできたのかもしれない。

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