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昭和のハギレ

 捨てられないものは本の他は端切れ。布に対する偏愛が激しい。昭和30年代からの端切れが捨てられない。昔は今のようにブティックとかアパレルとかなかったので、衣服は仕立ててもらうか家庭で縫うかだったでしょう。大層な場合は洋装店かデパートのオーダーメイドだが、夏のブラウスやワンピースなどは洋裁の上手な知り合いの人だった。出来上がったら裁ち落としも返ってきた。そういう訳で、端切れが膨大に溜まっていった。季節が変わると、時には神戸まで舶来(古い言葉)の生地を買いに行った。ローンやオーガンジーは見ているだけで幸せな気分になったものだ。

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白いローンにトランプ柄の刺繍の生地は私が中学1年の夏に着ていたもの。 中学生の私は「赤毛のアン」は服の形や生地の描写が多いと思った。アンの膨らんだ袖に対する憧れ〜新しい服をマリラに縫ってもらったのに普通の袖だったのでがっかりしたり〜とか、大きくなってから友達のクリーム色の無地のドレスにバラの刺繍をするとか〜それはタフタという生地だったような気がする。

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 そうして母が縫ってもらっていた洋裁の先生の家についていった小学生の私は、待つ間置いてある雑誌ヴォーグを見ていた。と、そこにはなんと雑誌「少女」に連載中の高橋真琴「東京〜パリ」の中でヒロインが着ていた夜着と同じものを着たモデルが出ていた。高橋真琴先生はヴォーグを参考にしていたのか、と思ったのだった。

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