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『セインツ 約束の果て』デヴィット・ロウリーの詩情豊かな光と影の映像

(C)2013 ATBS Production LLC

デヴィッド・ロウリー監督作品をあまり見ていなかったので、WOWOWで何本か特集されていたので録画しておいた。2013年のデヴィッド・ロウリー長編2作目。自然光の光と影の映像が美しい。そしてその柔らかい光の中で描かれるルーニー・マーラが美しい。

夕暮れの草原の中、逆光の中で赤ちゃんができたと告げるルーニー・マーラーとケイシー・アフレック、二人が寄せる顔。銀行強盗や窃盗を繰り返していたボブ(ケイシー・アフレック)は、仲間のフレディが銃撃戦で撃たれたことで諦めて投降する。ルース(ルーニー・マーラ)も保安官を銃を撃っていたのだが、その罪もかぶってボブは刑務所に服役することになる。ボブを待つことに決めて、少女を出産したルーニー。娘のシルビーは4歳になっていて、教会の帰り道、母と娘、二人で森の道を歩く後ろ姿がいい。

ルースを迎えに来て家族で暮らす約束を果たすために、ボブは何度も脱獄する。そして6回目の脱獄が成功したという知らせをルーニーはパトリック保安官(ベン・フォスター)から聞く。ルーニーに思いを寄せるパトリックはルースに自分が撃たれたことを知らない。ボブへの変わらぬと、娘との安定した今の生活。そしてパトリックに惹かれる思い。揺れるルースの心情が情感豊かな映像で綴られる。パトリックは、ボブが捕まるまでしばらくどこかへ移れと言うが、ルースは娘の誕生日はここで迎えると伝える。そしてボブから一緒に逃げようという手紙を受け取るが、ルースはここにきてはダメ、私は娘とどこかへ行くから、いつか私たちを探し出してとボブに手紙を書く。約束を果たすために、ルースへの強いとともに戻ってくるボブ。娘の誕生日の夜、ルース、パトリック、ボブ、それぞれの思いが交錯しつつ、ボブは追手に撃たれてしまう。

余計な説明は極力省き、自然光や部屋の中の間接照明などの柔らかい光を生かした美しい詩情豊かな映像で、離ればなれになった男女のと、どうにもならない現実を描いている。テキサスの広い大地と空が印象に残る。

2013年製作/98分/G/アメリカ
原題:Ain't Them Bodies Saints
配給:プレシディオ、クロックワークス

監督・脚本: デヴィッド・ロウリー
撮影:ブラッドフォード・ヤング
美術:ジェイド・ヒーリー
編集:クレイグ・マッケイ、ジェーン・リッツォ
音楽:ダニエル・ハート
キャスト:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ、ベン・フォスター、ネイト・パーカー、ラミ・マレック、キース・キャラダイン

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