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二大俳優が対峙する犯罪映画『ヒート』マイケル・マン監督の名作

アル・パチーノがロサンゼルス市警の刑事、ロバート・デ・ニーロが犯罪集団のボス、「コインの裏表」のように二人の役者が対峙する。どっちが刑事でどっちが犯罪者か分からないほど、二人はよく似ている。刑事のアル・パチーノは家庭を顧みず、昼も夜も犯罪者を追いかけているため、結婚にも失敗し、二度目の家庭もうまくいっていない。ロバート・デ・ニーロはこれまで孤独を貫いてきたが、犯罪集団の仲間たちはそれぞれパートナーとの幸福な家庭を築いており、ファミリーのボスといった感じだ。しかし、そんな孤独なデ・ニーロも書店勤務の女性エイミー・ブレネマンと恋仲になり、仕事にケリをつけて二人で逃げることを計画する。だが、最後の銀行強盗でアル・パチーノに追い詰められ、飛行機で一緒に逃げるはずだった彼女を置いて一人で走る。追う者と追われる者。いずれも何かに取り憑かれた孤独な男たちなのだ。

なんといっても当時42歳のロバート・デ・ニーロ(1943年生まれ))と当時45歳のアル・パチーノ(1940年生まれ)が対峙する場面は、なかなか見応えがある。二人とも脂がのりきっており、渋い男盛りだ。アル・パチーノは自分たち刑事が秘かに追いかけていることを見破られ、ロバート・デ・ニーロの車を追いかけて呼び止め、「一緒にコーヒーでもどうだ?」と声をかける場面がある。二人でテーブルを挟んで向かい合わせの会話をする。追い詰めようとする敵と対峙する刑事。そこに宿命の友といった感じの親友同士のような感情が生まれてトークするのだ。

そしてラストの対決。夜の空港を舞台とした1対1の対決。空港の滑走路のライトを効果的に使いながら、孤独な二人の男の光と影の演出が見事だ。マイケル・マンは『パブリック・エネミーズ』でも、夜の雨の空港を効果的に使っていた。

オープニングの仮面をかぶった現金輸送車を襲う場面、最後の真っ昼間の銀行強盗とその後の街中での激しい銃撃戦、クリストファー・ノーランは『ダークナイト』を作るとき、この『ヒート』の銃撃シーンを参考にしたと言われているらしい。とにかく二人のヒーローが渋くてカッコいい。


1995年製作/171分/アメリカ
原題:Heat
配給:日本ヘラルド映画

監督・脚本;マイケル・マン
製作:マイケル・マン、アート・リンソン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、ピーター・ジャン・ブルージ
撮影:ダンテ・スピノッティ
美術:ニール・スピサック
編集:ドブ・ホウニグ、パスクァーレ・ブバ
音楽:エリオット・ゴールデンサル
キャスト:アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、バル・キルマー、トム・サイズモア、ダイアン・ベノーラ、エイミー・ブレネマン、アシュレイ・ジャッド、ミケルティ・ウィリアムソン、ウェス・スチュディ、テッド・レビン、ジョン・ボイト

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