見出し画像

たーちゃんとアメリカと夢 9 主任、世界を旅するので仕事辞めさせて下さいの巻

ホテルでの仕事はとても楽しかったです。航空会社の関連会社のホテルでしたので、飛行機とホテルが、国内ですがほぼタダ同然で旅行出来たので、北海道から沖縄まで色々な所に行かせていただきました。有名人もご利用されていて、ホイットニーヒューストン、ボビーブラウンご夫妻をお見かけして大興奮しました。(横山やすし師匠もお見かけしました。)

そんなある日、本屋さんで ”10万円で世界を旅する“ という本を買いました。たーちゃんに大きな転期を与えてくれた、大切な一冊でしたが、いつのまにか無くしてしまい、作者の方のお名前も忘れてしまいました。

それは、作者の方が10万円だけ持って日本を出発して、どこまで行けるのかという旅行記でした。お金を使わない為に安い宿に泊まったら、体中ヒルに噛まれたり、現地で肉体労働してお金を稼いだり、少し危険な旅でした。ですが、様々な冒険をされて知らない土地を進んで行く様子が描かれていて、まるでたーちゃん、自分が行ったかの様に想像しながら読みました。

そんな危険な旅は、たーちゃんには向いていないけれど、海外に行きたい。という思いが、日に日に大きくなって行きました。


たーちゃんには2才年上の ねーちゃん がいます。ねーちゃんはいつもたーちゃんにとってすごい人で、いつも正しい。ねーちゃんは たーちゃんの憧れで、たーちゃんは いつもねーちゃんを追いかけてる。

たーちゃんは ねーちゃんに海外に行きたい事を相談した。

すると、

「海外にに行きたいなら、行ける様にする為に何かしないとあかんよ。ただ 行きたいって 言っているだけやったらいつまでも行かれへんよ。」

と言われました。

たーちゃんは考えました。当時ホテルの仕事は手取り11万円くらいで、しかも実家から離れていたので、一人暮らしをしなければならく、お金が貯まらない。英語を話す機会も殆ど無い。

そうだ、転職して英語を使う仕事をしながらお金を貯めて、海外に行けばいいんだ。なんとも恐ろしく、のう天気な転職計画にたどり着いてしまいました。取らぬ狸の皮算用というやつです。

思いついたら吉日。K主任にお時間いただいて、

た:「K主任、私、たーちゃんは世界を
   旅するので、仕事を辞めさせて
   いただきます。」

k主任:「•••。はぁ?」

その後、K主任は全力で止めて下さり、世の中そんなに甘く無い事も話して下さいましたが、もうその時のたーちゃんは止められませんでした。

その後、行く宛も決めずに、3年程お世話になったホテルを退社したのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?