ハートの秘密
チョコレート工場はフル稼働。
今日はバレンタインデー。赤いエプロンをした小人達が大きな鍋でチョコレートをやさしく溶かしている。木のヘラでゆっくりゆっくりと。混ぜるたびにチョコレートは滑らかになり艶が出てくる。
鍋の底には蛇口がついていて、ホースと繋がっている。蛇口から出たチョコレートはホースの中を流れて、小さなハートの型に流し込まれる。型は次から次へとベルトコンベアで運ばれる。
運ばれた先には小人が20人。チョコレートが冷めたら型から取り出して、筆を使って丁寧に赤く塗る。すると美しい赤いハートのできあがり。
突然、蛇口を管理していた小人が言った。
「まただ…チョコレートが出なくなった。これで何度目だ?」
もう一人の小人が言った。
「チョコレートを全部取り出さないとダメだ。蛇口のメンテナンスが必要だ。社長に報告しよう。」
しばらくすると社長が工場へやって来た。社長の前に集まる小人たち。コソコソと話しをしながら心配そうな顔で社長の声を待つ。
「みんなご苦労さん。蛇口のメンテナンスの為、工場を明日一日だけ停止することにした。偶然出荷先のnoteさんも明日休憩されるそうだ。ハートの在庫不足でご迷惑をかけることはない。安心して休んでくれ。」
小人たちは顔を見合わせて笑った。