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母親と休日と私

母親と1ヶ月程口をきいていなかった。


母親は誰かに怒りの感情を持つと、
その人との関わりを一切遮断する。


それは私が小学生の時からそうだった。



理由はあまり覚えてないないけど、
何かが理由でこっぴどく叱られた。
たぶん、言われてすぐに行動しなかったとか
そんな理由で。


それから母は1週間ほど、
私と口をきいてくれなかった。
でも、
1週間経つと、
いつものように「おはよう」と言ってくれて、
いつものように冗談を言ってくれた。




その時から私は、
母親のイライラ期間は長くて1週間
と勝手に定義付けていた。



それから十数年が経った、
7月末某日。

何十回目のお叱りを受けていた。

私が仕事終わりの飲み会で潰れて、
院生バイトくんに介抱してもらった日だった。

勿論連絡をしなかった(というかできなかった)
私が悪い。
それはわかっているのだが、
今回は長かった。

そして運悪く、
その数日後に電車で寝過ごし、
一駅先で終電を逃すという失態を起こした。


母親の怒りは、
史上最高レベルだった。


いや、
怒りというか、
いろんなことが相まって、
母親の精神状態が史上最高に悪かった。


だから、
仕方なかった。

1週間経っても、
母親と私は顔も合わせず口もきかなかった。
それから、
母親の顔は2週間くらい見なかったし、
母親の声は数日に1回しかきかなかった。



母親の気持ちが落ち着くまで、
私は謝り、待つしかなかった。




そして今日。


たまたま、母親と休みが一緒だった。
1日中、母親と休みを一緒に家で過ごした。


私は1ヶ月ぶりに、
母親とたわいのない話をして、
母親に料理を振る舞い、
母親と食卓を囲み、
母親と顔を合わせて笑った。




最近の私は、
休みの日は
1日中部屋に篭って生活して、
母親がいない時間にこっそりリビングに下りて食事をとるか、
友達と過ごすかの二択だった。

勿論母親の顔色足音を伺いながら生活する日々は
苦しいの他に何もなかったし、
友達と過ごす時間はその反動でいつも以上に楽しかった。




けれど、
今日は、

ここ最近の休日でいちばん心が満たされた1日だった。



私にとって母親は、
面倒だと思うくらいに私のことを心配して、
私がダメなことをしたらひどく長く叱るけど、
どうしたって心の拠り所で、
一緒にご飯を食べたいし、
一緒にくだらない話をして笑いたいし、
一緒に長く生きていたいなって思う存在で。


1ヶ月前、
私は母親に酷い言葉を投げかけてしまった。
母親は、泣いていた。
私も、泣いていた。
すごく、すごく反省している。


どれだけ謝ったって許してもらえるとは思わない。
きっと、ずっと、
母親の心に傷は残ったままだと思う。



ごめんね、お母さん。


多分、
母親が一生その傷を抱えるのと一緒に、
私も一生傷つけた苦しみを抱えていくだろう。



母親と笑い合うたび、
心が満たされて、
あの時の言葉を思い出して、
心が苦しくなる。


私はいつまでも親不孝な娘だ、



私は、
報いるために、
母親に何ができるだろうか。


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