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初心者がぬい顔刺繍に七転八倒した話

ぬいぐるみを作るために刺繍をはじめたい

公式からぬいぐるみが出ないジャンルがある。
むしろ公式でぬいが出るジャンルはごく一部の人気コンテンツのみなので、推しぬいぐるみが欲しいほとんどのオタクは自作の沼を覗くだろう。

自作ぬい沼に触れてみて、ぬいを作りたい人は割と多いなと思うと同時に、顔の刺繍が一番のハードルで制作を諦める人々も目にしてきた。
私自身、これまで刺繍に一切触れてこず、あんな細かいもん無理無理無理!!!と思い続けてきたため、ハナから諦めて刺繍セミオーダーサービスを申し込もうかと考えたが、そのオーダーも狭き門でなかなか当たらないのだという。人気!!

そもそも版権もののぬいを人に発注するのはやや問題がある。
こうなったらもう捨て身で飛び込むか!!!と投げやりに刺繍をはじめたら、意外と初心者でもイケるやん!!!?!tとなったので、ぬいが欲しいけど顔刺繍なんて無理だよ~!とお考えの方に、私の屍を越えてほしい。
でもお顔の刺繍の最短正解ルートが知りたいなら、この記事よりたきゅーとちゃんの動画を見るのが一番早い。
私も初心者の時に観たかった……!!!

なお私の刺繍を始めるまえのスペックは、小中学校の家庭科で習った以上の裁縫の知識はない状態。なみ縫いだけはできる!!!あと半返し縫いだけちょっと記憶がある……くらいの初心者。
以前血迷ったときにフェ〇シモの刺繍キットを購入していて、刺繍枠とたぶん刺繍用の針(?)だけが手元にあった。それでよく刺繍しようと思ったな…!!と思いながら、成長を一緒に見て頂ければ幸い。
(※刺繍キットは手つかずのまま丸ごと残っています……)


ありあわせでやった一作目

ぬい一作目・まろまゆさんの11cm型紙を使用
  • 最初からうまく完成させるのは無理だ!!!と考えていたので、とりあえず練習のつもりで作った一作目。刺繍もたまたま家にあった100均の12色セットのカラフル糸(刺繍用ですらない)を使った。
    技術もなければ材料もない状態で作るとこうなる!!というガタガタぶり。しかしこれで私は「思ったよりできたやん!」と自分を褒め称えた。
    刺繍を始める前にいちばん正気か?と思っていたのが糸をきれいに並べて広範囲を埋めるやつ(サテンステッチ)だったのが、始めてみれば意外と短時間でできて、整然と並んだ糸のツヤは美しい。これはもう少し練習すれば、そこそこの完成度までイケる!!と手ごたえを感じた。
    一つ作ることで次への改善点も見つけられた。

  • 思ったより求心顔になったので、次回はもっと目を大きくしたい

  • 瞳の色はもっと推しカラー(竹色)に寄せたい。

  • サテンステッチが好きなので、サテンステッチ重視のデザインにする


目標にする刺繍を見つける

刺繍をはじめるのに前後して、友達がミシンのような精巧な手刺繍をしている自作ぬい製作者さんを教えてくれた。

さーつるにさんはミシン刺繍には負けない!という気持ちで手刺繍をされており、使っている道具などノウハウを公開してくださっている。
(※最近はミシン刺繍がメインのようです)
もちろんこれまで雑貨系刺繍のプロ作品を見たことはあったけど、ぬいの顔刺繍の参考にはあまりならなかった。ぬいの顔刺繍界にもめちゃくちゃお上手な人がおるぞ!!!と気づいて、色々な自作ぬいを探し始める。
色々見ていくとぬい刺繍にも個性があって、技術だけではなく目のデザインや色使いなど、自分の好きな方向性があると気づく。

mitsukiさんの手刺繍もあまりに美しい。知らなければミシン刺繍だと思い込む緻密さ。
また、わりとみなさま愛用の道具などを公開してくださっているので、刺繍への工夫も知れて勉強にもなった。自分に合った方法は人それぞれなので、できるだけいろいろな人の話を聞いてみたい。

あとこれは刺繍作家のannasさんの動画。
初心者にありがちなトラブルの対処法が4分弱でわかる。
他にもサテンステッチのコツなど、刺繍の完成度を上げたい人への動画がたくさんアップされているので、見ておいて損はないはず。


ひとまず糸を買ってきた二作目

ぬい二作目・LINKさんの12cm型紙を使用

推しぬいだったため、推しイメージの刺繍糸を手芸店で探してきた。糸の色が何番かは自作ぬいの記事に全部書き出してあるので必要な方はどうぞ。
刺繍糸は刺繍メーカー1つで500色くらいあるらしい。私の行った店では2社の棚(1000色)あったが、すべてを見る体力はなく1つの棚から4色を決めるのに20分くらいかかった。
しかしさすが刺繍用の糸、前回とは雲泥の差だ。いきなりレベルアップした感がある。しかもこれを縫ってる間、糸はほぼ絡むことなく布の通りも快適…糸が違うだけで作業性がこんなにも違うのか!と驚く。
刺繍糸は絶対メーカー製のを買え!!と助言されるはずである。

前回、顔の刺繍は大き目が好みだと知り、瞳のデザインを二倍以上大きくした。これの良かった点は刺繍が大きくなると細部の失敗がわかりづらくなる。まだサテンステッチの埋め方が下手で隙間から白いもの(生地?接着芯?)が覗いているが、実際に肉眼ではほぼわからない。

比べると身長差はわずかなのに顔のサイズがクソデカビッグ

サテンステッチが好きだとも気付いたので、眉もサテンステッチで描けるデザインにした。サテンステッチは下手だと端がギザギザに見えるので、外側をアウトラインステッチで囲む方法で下手さをカバーすることにした。これでかなりきれいに見える。

サテンステッチの下手さをごまかす方法

色々試したい三作目

ぬい三作目・LINKさんの12cm型紙を使用

一作目のキャラのリベンジ。
刺繍するときは図案をDAISOの刺繍シートに貼っていたが、二作目では洗い落とすのが下手で刺繍部分がワッペンのようにカチカチになった。刺繍糸のツヤも減ったような気がして、アウトラインステッチを終えたら刺繍シートを洗い落とし、それからサテンステッチしてみることにした。
先に結論を書こう、これは失敗だった。
これまでシートで抑えられていた起毛が刺繍の隙間から飛び出し、生地も伸びて、顔がデップリした印象になってしまった……。
失敗しても推しはかわいいけども。
あと私が刺繍初心者のため力加減が下手なのだろう、図案と比べてかなり目が細くなっている。これは8作を作った今でも改善できず、もう最初から縮むものとして少し縦長に図案を描いておくか!!!という脳筋スタイルで解決しようとしている。よくないね。

糸がギュッ……と引っ張りあってる

サテンに慣れてきた四、五作目

どちらもまだ完成してないので刺繍だけ

少しサテンステッチにも慣れ、まつ毛の端を淡くグラデーションする余裕も出てきた。イラストの多彩なまつ毛表現から刺繍に取り入れられることは多そうだ。
二作目で悩んでいた刺繍シートの洗い方は、ぬるま湯に15分ほど漬けおきする方法に変えたらほぼ解決した。刺繍糸のふっくら感も完全復活だ。今は冬なので、刺繍シートを落とした後は洗濯機で10分ほど脱水 → ファンヒーターの前に置いて乾燥している。
刺繍糸を引っ張りすぎで図案を再現できない問題は、①裏面に接着芯を貼る、②接着芯、刺繍シートごと顔の周りをしつけ縫いすることにした。完全な解決には至ってないが、少しはマシになった……気がする。

あと変わったことと言えば、ようやく刺繍針を替えた。
もともと刺繍キットに入っていた謎の針は、どうやら6本どり用の太い針だったようで、めちゃくちゃ扱いづらかった!!!当然だ。
というわけでクローバーのフランス刺繍針、2本どり用の8番を使っている。
賢明な皆様は最初に正しい道具をそろえてほしい。
私が愚かなだけですが。


試しに108色セットの糸を買う

コンパクトに整理できるのは大変良い

作りたいキャラに合った刺繍糸を揃えていたら、なんだかんだ結構な金額になっていることに気が付き、最初に刺繍糸セットを買うべきだったかもしれない……と考えた。
ちゃんと調べると、有名メーカー品でない謎刺繍糸セットはだいたい毛羽立つし、ツヤがないし、扱いづらいとボロカスに言われているし、それは実際手にしてみると事実だとわかる。
でも色の組み合わせを冒険してみたくて、セール中に買ってみた。
わ~!!!すごいテンションが上がる!!!

評判通り堂々と人にオススメができる糸ではないが、ほんの少しだけ欲しい色とか、刺繍の練習にいろんな絵柄を刺したい時にはわりといい。
刺繍を刺す時は恐ろしく絡まるし、糸を引くときの重さが違う(ツヤのあるいい糸は軽やかに糸を通せる)が、慣れればある程度絡まないように扱えた。

試しに刺した幻の6作目

どうせ108色もあるなら、瞳のデザインを限界まで細かく刺繍できるのでは?と作りかけた試作。モデルは友人のVtuberさん。
やってみたものの、108色ではグラデーションを作れなかった。いろんな色があるようでいて、特定の色に近いもの探すと帯に短し襷にロング。

そして細かい瞳デザインも、サテンステッチの隙間にサテンを入れるのは糸と糸が邪魔をしあって非常に難しいため、通常の瞳刺繍の三倍くらい時間がかかった上に、完成してみれば………ぬいぐるみなのに顔圧、つっよ!!!となってしまい、費用対効果はあまり得られなかった。
ぬいの顔はデフォルメの方がかわいい。
(あたりまえ体操)


気軽に作った七作目

余った布で作った褐色くん

服の型紙を説明する記事を書くにあたり、推しぬいを丸裸にして説明するのはいかがなものかと、何のキャラでもない説明用マネキンを作った。
急ごしらえなので、先ほどご紹介した108色セットの糸を使ってシンプルな目をショート&ロングステッチという刺し方で雰囲気グラデーションにした。
このくらいのデザインなら刺繍は一時間もかからずに終わる。
手先の器用さに不安があるなら、シンプルなデザインから始めてみてもいいのかもしれない。(推しを作るのに妥協したくねぇ!!!というガッツがあるならそれはそれで素敵なことですが)


今のところの最新・八作目

市販ではありえない顔ができる!

サテンステッチにも慣れてきたので、アウトラインを隠す方法で顔の刺繍を仕上げてみた。これだけでグッと市販のぬいぐるみ感が出る。
自作ぬいのいいところは、市販ではおおよそ叶わない特殊な表情が作れてしまうのも魅力だと思う。推しキャラを作るだけではなく、ニコニコ顔😊、ウィンク顔😘、ウルウル顔🥺、スヤスヤ顔😴など、原作の印象的な表情の再現もできそうでワクワクする。


三ヶ月で刺繍はうまくなったのか

どうかな………。
刺繍にはステッチという横文字の技法がたくさんあるのも苦手意識を持つ理由の一つだったが、結局ぬいぐるみに必要なアウトラインステッチサテンステッチショート&ロングステッチフレンチノットステッチの4種類しか覚えていない。面倒ならアウトラインとサテンだけでいい。
しかしそこそこ人前に出しても恥ずかしくない程度のぬいぐるみが作れるようになったので自分的には満足の域だ。技術が上達したというより、なんとか誤魔化すための意識の低いテクニックばかりが集まった気がして、それはそれで刺繍へっぴり腰のみなさまの参考になるのではと公開することにした。

ちなみにこれが普段使ってるメーカー刺繍糸

刺繍ができるようになってみれば、顔だけでなく二次元キャラにありがちなよくわからない装飾の衣装とかもあらかた解決できるようになった。推しにかっこいい服が着せられる。最高だ。

全体的にことごとくしなくてもいい回り道を沢山した気もするが、試行錯誤が好きなので楽しかった。
これから自作ぬいぐるみの道を来る方々になにかの糧となればうれしい。
お読みいただきありがとうございました。