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ジーンズの副資材について

ジーンズの多くはデニム生地が使われるが、
それ以外にもボタンやファスナー、
縫い糸などさまざまな部品が使われます。

ここでは、そういった
ジーンズの副資材について解説します。

金属製の副資材

リベットバー(Rivet Burr)

定番の5ポケットジーンズの前側には、
コインポケットも含め、
6つのリベットがついています。

リベットが付けられた背景には
「労働者の声」があります。

もともと作業着として穿かれていたジーンズ。

その前身のワークパンツで
問題になったのはポケットのほつれやすさでした。

1873年、仕立て屋のヤコブデイビス氏は
リベットを打ち込んで補強することを
リーバイス社に提案し形にしました。

同年、
リベットを使ったポケットの補強
についての特許を取得し、
世界初のデニムブランド、
リーバイスが誕生しました。

アメリカでは「ジーンズ創生の日」
として認知されています。

さて、ポケットを補強するリベットですが、
部品でいうと「リベット」と「バー」に分かれます。

なので正式名称は「リベットバー」になります。

リベットはジーンズの裏側から打ち込まれるので
私たちが見ている表部分はバーになります。

リベットバーの素材は、時代とともに変化し
現代ではリベットはアルミ
バーは黄銅が主流となっています。

しかし、こだわりやビンテージ感を求める場合、
リベット、バーともにが使われます。

タックボタン(Tack Button)

ジーンズのボタンを英語で
タックボタンといいます。

現在ではジーンズのボタンは
ウエストを合わせる前中心の1ヶ所だけです。

しかし、以前は作業着としての機能上
サスペンダー用に、腰回りの4~6ヶ所に
ボタンがついていました。

フロント部分の生地は二重に重なっており
その部分をとめるボタンは当然、
頑丈な金属製のものが採用されます。

ボタンの構造も頑丈さが工夫され、
オープン型の2本爪のものや
クローズ型の1本脚のものなどさまざまです。

ファスナー(Fastener)

スライドファスナーやジッパーともよばれます。

ボタンフライジーンズが主流の中で、
1926年、リー社が世界初の
ジップフライジーンズを生み出します。

しかし、大量生産に採用されたのは
それよりもっと後の1960年が最初でした。

ファスナーのほかにも
ジッパーやチャックなどと呼ばれますが、
チャックは日本語です。

ファスナーはテープ、エレメント、
スライダーの3つの部品から構成されます。

テープ

ファスナーの布部分です。
ジーンズに縫い付けられ、
ファスナーを支える土台の役割をします。

ブルージーンズには濃紺、
カラージーンズにはそれぞれの
色に応じたテープが使われます。

テープの素材は綿とポリエステルが
混ぜられて作られますが、
カラージーンズに使われるテープは
ほとんどポリエステル100%です。

エレメントが固定される部分は
厚さが増しており、芯紐とよばれます。

エレメント(Element)

テープの両端にある、多数の独立した金属片です。
日本語では務歯(むし)ともよばれます。

このエレメントが
噛み合ったり離れたりすることで
ファスナーを開閉する働きをします。

ジーンズに使われるエレメントは
頑丈さが求められるので
金属製のものが主流です。

エレメントの上下の端には
スライダーが抜けることを防ぐ、
上止、下止がそれぞれついています。

スライダー(Slider)

ファスナーを開閉する役目を持つ
「つまみ」の部品です。

日本のファスナーメーカーは高品質。

縫い糸

生地の厚いデニム生地を縫合するには、
強力なミシンと強力なミシン針、
太い縫い糸が必要です。

また、ステッチの見た目の美しさも
デザインのポイントとなるため、
ジーンズの縫製にはさまざまな
色や太さの縫い糸が必要です。

ミシンの糸番手はカタン番手ともよばれます。

これは綿番手と同じ単位なのですが、
コットンがなまって、カタンになったという説もあります。

ミシンの縫製に使う縫い糸は強度が重要なため、
たとえば20番手のカタン糸を作るには、
120番手を2本撚り合わせて60番手にし、
60番手を3本合わせて20番手とするなど
手間をかけて糸を作っています。

*糸の番手は数字が大きいほど細く、小さいほど太い

糸の種類

ジーンズに使われる縫い糸は主に3種類あります。
①カタン糸(コットン100%)
②スパン糸(ポリエステル)
③コアヤーン(芯がポリエステルやナイロン)

ミシン糸のコアヤーンは、
糸の芯部分がポリエステルやナイロンで
外側を綿で覆った糸です。

コアヤーンの特徴は、
内部にポリエステルが組み込まれていることで
洗い工程での糸の劣化に対する強度が強く、
外側の綿は徐々に色落ちをしていくという、
丈夫ながら良い外観を作り出してくれます。

このコアヤーンの構造は日本独特のもので
日本人の美意識が反映されているのかもしれません。

その他

ラベル

ジーンズの右後ろのウエスト部分に
縫い付けられた革パッチや紙パッチ。

パッチというのは、
縫い付けられたラベルという意味があります。

ジーンズに用いられるラベルは、
19世紀に「保証書」のような役割をしていました。

当時は縫い付けているのではなく、
保証書のようなメッセージをオイルクロスに
書き込んで製品に添えていました。

現在ラベルには牛革が多く使用されているが、
鹿やヤギなどの革も使われています。

牛革は洗い加工時の防縮に強い
という特徴があります。

ほかにも木質パルプに粘り気と
安定性を与える、ラテックスを混ぜた
合成紙といわれるものも使われています。

ブランドネーム

ジーンズでは主にウエスト部分の内側に
ブランドロゴが縫いつけられています。

織物製のものを織りネーム、
プリントしたものをプリントネームといいます。

タグ

下げ札のことで、本体にぶら下がっている
形態のものが多いです。

材質は、紙やプラスチック、金属板まで
さまざまな種類があります。

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