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デニムができるまでvol.4【製織】

デニム生地ができるまでの過程

  1. 綿の栽培・収穫

  2. 紡績

  3. 染色

  4. 製織(せいしょく)

  5. 整理加工

  6. 品質検査

このような順序でできています。

私たちの手に届くまでには
多くの過程を踏んでいるんですね。

この記事では製織について解説しています。

経通し(へどおし)

製織の前に、染色された糸は経通しします。

経通しは、製織のためにたて糸とよこ糸を
織機にかけるための作業です。
綜絖(そうこう:たて糸を1本ずつ上下に分けるガイド部品)
(おさ:通したたて糸とよこ糸を締める部品)
ドロッパー(たて糸が切れたときに織機を停止させるもの)
という各部品にたて糸を通します。

製織

製織とは織機で生地をおることです。

製織の工程は、
①綜絖(ヘルド)でたて糸を1本ずつ上下に分ける
②分けたたて糸の間へよこ糸を通す
③よこ糸とたて糸を筬(リード)で打ち込み硬く締める

有杼(ひ)織機と無杼織機

デニムに使用される織機は、
革新織機という無杼織機が多く採用されています。

無杼織機と呼ばれる理由は、
伝統的な織機で使われていた
杼(シャトル)を無くしたからです。

このシャトルの役割は、上下に分けられたたて糸の間を
左右方向に往復し、よこ糸を通すことです。

しかし、よこ糸を通すためには
シャトルにある管に一定量のよこ糸を巻き、
なくなれば補充する必要がありました。

無杼織機の発明により、
よこ糸をほぼエンドレスで
送り続けられるようになりました。

古くから織機の作業効率の向上は、
よこ糸をいかに速く、長い距離を
飛ばすかにかかっていました。

江戸時代以前の機織は、
右手で杼(シャトル)を送り
左手で返す程度の狭い幅でした。

産業革命以降に力織機が登場し、
バットのような棒でシャトルを
打って送り出す方法が使われました。

力織機の登場で、幅は1m強にまで広がりました。

しかし、現代使われている革新織機は、
さまざまな方法で最大幅が3mにまで広がっています。

これだけ幅が違えば、
一定時間に製織できる
生地の面積は大きく変わります。

織機の種類

有杼織機:シャトル織機
無杼織機:レピア織機、グリッパー織機、エアジェット織機
*無杼織機(革新織機)はよこ糸を一方向で通すため、
 セルビッジができない。

シャトル織機

よこ糸を巻いた管を搭載したシャトルが、
上下に分けられたたて糸の間を
左右に往復しながらよこ糸を通す織機。

セルビッジデニムはシャトル織機でないと
織ることができないので、今でも好まれて
使い続けられています。

革新織機と比べると作業効率が悪いため、
コスパは悪くなります。

レピア織機

レピアと呼ばれる槍状の部品が
よこ糸をたて糸の間に通していきます。

このとき、上下に分かれたたて糸の間を、
織機の左右方向に片側から中央まで移動しながら送り、
反対側から中央まで移動してきたもう1本のレピアに
よこ糸を受け渡し反対へ送ることでよこ糸を通します。

レピアを使うため、シャトル織機よりも
たて糸の上下開口が狭くできます。

これにより高速化と静穏化ができ、
たて糸の糸切れも減らせます。

グリッパー織機(スルザー織機)

グリッパーと呼ばれる、
軽量で小型の金属部品を飛ばし
織機の端に設置されたよこ糸を
片側から反対側に通します。

レピア織機よりもさらに高速化が図れます。

*グリッパー:長さ9cm重さ40gの金属部品

エアジェット織機

高速で噴射する空気の流れを使ってよこ糸を通します。

機械的な部品を使用しないので、
振動や騒音が抑えられ、
さらに作業効率が向上します。

中間検査

製織された生地が企画通りにできているかを検査します。

良いものから順に、A反、B反、C反といいます。

この結果を製織工場にフィードバックすることで
品質管理を行なっています。



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