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ジーンズができるまで【モノづくりには過程がある】

KENZOです。

私たちは製品化されたジーンズを目にしています。しかしそれは、どのように企画され設計され生産されているのか、考えてみたことはありますか?

まずジーンズができるまでの過程は、企画縫製に大別されます。企画は①商品企画②設計・試作、縫製は③縫製準備④縫製と区別されます。

さらに①商品企画の段階で、情報分析素材やデザイン、色目などが決定されます。

②設計・試作では、型紙作成から試作マスターパターン、グレーディング縫製仕様書の作成まで行われます。

③縫製準備工程では、マーキング延反裁断仕分けが行われ、⑤縫製工程でパーツ縫製パーツアイロン縫製縫上げ検査が行われジーンズの形が完成します。

単語だけで流れを書いてしまったので、
もう少し丁寧にそれぞれ解説していきます。

①商品企画

情報分析

市場の情報や動向を分析し消費者ニーズを把握します。

素材、デザインなどの決定

素材

ブルージーンズなのかカラージーンズなのか、それによって綿の原産地から紡績の種類、番手など細かく決定していきます。

副資材

リベットやボタン、ファスナーなどの金属製品とそのデザイン。縫い糸やラベル、タグなどサイズや配置位置などを決めます。

パターン

シルエットを決めていきます。

縫製工程

基本の5ポケットなのか変化バリエーションにするのか、縫合構造はどうするのか、など決めていきます。

洗い・プレス

加工をするならどういう色相やアタリ感を出すのか決めます。

装幀物

どういう情報を記載するのか、また材質はどうするのか決めます。

全体

コスパはどうか、価格は適正か、どの付加価値を優先するのかなど決めます。

②設計・試作

商品企画から設計・試作まで製造準備段階として一連の流れで行われることが多いです。そして、商品化されるマスターパターン、縫製仕様書が作成されます。

型紙作成(パターンメーキング)

パターン=型紙
マスターパターンとは、展開するサイズ幅が26~32インチならその中心のサイズ(28インチ)をマスターパターンとして作成します。

構造が複雑で動きの激しい下半身に着用されるジーンズは、一般的にゆとり量も少ないです。そんなジーンズをより美しく見せるためには、ほかの服にはない型紙テクニックが必要です。

ジーンズの生命線はそのシルエットの美しさにあります。ジーンズにとってパターンの良し悪しは売れ行きをも左右します。ジーンズ製造において、パタンナーの役割はとても重要です。

*デニム生地は綿の性質上、水分を含むと縮みます。そのため、生地製造段階でサンフォライズ加工(防縮加工)が施されています。しかし、それでも縫製後に3~5%は収縮してしまいます。そのため、あらかじめ生地の性質を調べておき、防縮率のデータを得る工夫をしています。

グレーディング

マスターパターンから、生産する各サイズへパターンの拡大、縮小を行います。身ごろやすべての他パーツをサイズ変更していくのですが、バックポケットに関しては、いくつかのサイズに分けて寸法分けしているのが一般的です。

最近ではこのパターンメーキングとグレーディングの作業はコンピューターで処理されることがほとんどです。CAD(Computer Aided Design)

縫製仕様書

ジーンズを縫製するために、設計者と縫製担当のコミュニケーションを取るのが縫製仕様書です。ジーンズも製品である以上、発案者の意図が正しく現場に伝えられることが大切です。

縫製仕様書には使用する素材や縫い方、サイズ寸法の指示、副資材などを明記します。ジーンズの縫製仕様書には、デニム生地の収縮を考慮したパターンの決定や、素材、副資材へのこだわり、加工の有無、たたみ方に至るまで詳細な指示が必要となるため、仕様書の量も多くなります。

③縫製準備

マーキング(型入れ)

裁断する生地に、身ごろやポケット、ベルトなどのすべてのパーツの型紙を隙間なく並べることです。1本のジーンズに必要な生地のメーター数を要尺といいます。

伝統的な方法ではグレーディングされた工業用パターンを、薄いマーカー紙にコピーし、延反された生地の上に重ね合わせ、紙とともに裁断していた。しかし最近では、コンピューターの画面上で行い最適な要尺を実現する方法が採用されています。CAM(Computer Aided Manufacturing)

ジーンズは原価率が高いため、縫製業でのマーキングの精度がコスト削減に重要な役割をになっています。

延反

裁断直前の準備で各パーツに裁断するために、原反にテンションをかけずにシワをなくし、生地の目をそろえて一定条件で積み重ねて平に伸ばす作業です。これには24~48時間ほどかかるので自動延反機という機械で行われます。

延反・裁断の段階では、入荷した原反の織キズや染ムラ、汚染、生地幅の不均等を事前に検査することが、製品の品質安定と生産性向上に重要です。これを検反といいます。

裁断

延反機により生地が延反されたあとは、裁断機により裁断される。

コンピュータプログラミングによる、完全自動裁断機も使われ裁断された生地は各パーツに仕分けされ縫製工程へと進みます。

④縫製

縫製工程では裁断されたパーツを縫製します。

縫製が完了することでやっとジーンズの形が完成しますが、その後品質検査や加工へと移ります。

縫製については別途詳細記載します。


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