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#130 専業主婦はニートらしい

ひと昔前のこと、高度経済成長期の日本は終身雇用が当たり前で、一度企業に就職するとその後の人生をその企業と共にしていた。

それもあり、安定した収入と年功序列により所得が上がり人生設計が容易にできた。そのためか、多くの家庭は男性が外で馬車馬のように働き、女性は育児と家事を一手に引き受け、家庭を守ることが良しとされてきた。

しかし、昨今どの会社をみても絶対的なものはなく、一流企業の正社員も会社のリストラにあい、人生設計が崩壊する事態が起きている。

つまり、これまであったイデオロギー的な「日本的家庭の人生モデル」では、現代ではフィットせず機能不全を起こしている。

また、前時代的思想は男尊女卑の影響を多分に受けていた。昨今では、男女平等が当たり前で、一人一人の個性を重視する社会に変化している。

そう考えると、現代でも多くいる「専業主婦(夫)」は必ずしも時代にフィットするものではないことがわかる。

専業主婦のデメリット


では具体的に専業主婦(夫)のデメリットはなんだどうか。

①お金がない
②自由がない
③貧困のリスクが高い

①のお金がないは、単純に大学を出た女性が60歳まで働くと仮定した場合、平均的な収入の合計が2億1800万円になる(男性は2億6600万円)。

これには退職金は含まれていない。日本でははたらく女性10人のうち、結婚後も仕事を続けるひとは7人。出産をきっかけに退職する人が3人います。

10人のうち6人は専業主婦になっているようです。

そこには、日本独自の社会性が関係していることは間違いありませんが、女性が結婚を機に寿退社することは当たり前でした。(寿がついていることから、好意的な退社の形態だとわかる)

寿退社:女性が結婚を機にそれまでいた会社を退社すること。

また、出産を機に退社する人は、根本的に会社復帰が不可能な環境下なのでしょうから、理解できます。

つまり、女性は特に結婚をすることで社会的にドロップアウトしなさいという社会的な圧力が少なからずあるといえます。

昨今では、育児を続けながら仕事をすることがしやすくなってきましたが、それでもまだまだハードルが高いのが現状ではないでしょうか。

②の自由がないというのは、家庭に縛られることで今まであった個人的自由が大いに制限されてしまうということです。

それでも、こどものいない家庭では旦那の所得によって自由を謳歌できる可能性もありますが、とりわけ出産後の専業主婦は育児と家事に追われ、自分の自由を選択するよりも、その日、その日に課せられたノルマをこなす方が大変で自由の文字を手にする暇などないと思います。

③貧困のリスクは、結婚後のトラブルや性格の不一致・価値観の相異などにより、シングルに戻らざるえない時に、自身に職がなく生計を立て直すことが難しく貧困になりやすいというものです。

とりわけ子どもがおり、子育てしながらシングルマザーとして社会生活を送る場合、およそ2人に1人が貧困家庭となっているという統計があります。

つまり、子どもを育てるために時間の制限があり、独り身だった時の様に仕事に就くことができずに、甘んじてフルタイムではなくパートタイムで働かないといけない状況が生まれやすく、その結果、貧困家庭になってしまうということです。

①から③が主な理由ですが、それ以外にも女性が専業主婦になることで、家庭内のパワーバランスが均等でなくなる恐れもあります。

夫婦は、共に共同生活を送っているわけですから、たとえ専業主婦だろうと夫婦の分担が変化しても立場は平等です。しかし、男性の一部には、自分の稼ぎで生活できているのだから女性は感謝しなくてはいけなく、自分の方が立場が上だと勘違いする人もいます。

そのためか、家事・育児は専業主婦の仕事と感じる人もいるようです。

これがもし、共働きならどうなるでしょうか?

おそらく、男女ともに対等の立場で家事や育児を分担し、それらの話し合いがかみ合わないようであれば最悪、離婚ということも視野にはいるでしょう。

その切り札によって男性は怯み、協力的なり家庭がうまくいくこともあるでしょう。

専業主婦はニート


また、世界的視野で専業主婦を考えると驚くべき事実がわかります。

グローバルスタンダードでは、専業主婦はニートになるのです。

日本のニートの定義:非労働人口のうち家事も通学もしていない男女
OECDのニートの基準:高校や大学に通っていたり、仕事のために訓練を受けている若者はニートから除外されるが家事は含まれない。

北欧のスウェーデンでは、25歳から60歳まで、ほぼ90%の女性がはたらいています。他の先進国も同じで、ヨーロッパでは80%以上の女性が働きつづけています。

どうやら、女性の就業システムが構築された社会では、結婚していようが子どもがいようが仕事をすることは容易で、当たり前なので、家で働きもせずに家事育児だけをしていることはニートと同じに扱われてしまうのです。

酷い言われように思えますが、海外では、住み込みのベビーシッターや家政婦が当たり前で、育児と家事はアウトソースされるのです。

そう考えれば、現在、育児に追われる専業主婦も自然と仕事をするようになると思います。

つまり、日本社会では家事育児をアウトソースするためのインフラが未発達で改善していかなければならないということです。

そして、本当の意味での男女平等の社会を実現するべきだと考えます。

もっとも、女性が出産後も仕事を自由にできる社会では、離婚率も高くなるそうです。

つまり、そういうことです。


おわり


参考文献「専業主婦は2億円損をする 橘玲著」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

機微井さん画像を使用させていただきました。

毎週金曜日に1話ずつ記事を書き続けていきますので、よろしくお願いします。
no.130.2022.08.05

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