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女が鞄持たなくったっていいじゃん
女の子なんだから鞄を持ちなさい
私は母からずっとそう言われてきた。
小さい頃、子供が持たなければならない荷物なんて本当に些細なものだ。
ハンカチにティッシュ。
水筒や帽子。
それ以外の荷物が増えるのは小学校入学以降じゃないだろうか。
ケータイ、CDプレイヤー、携帯ゲーム機。
行く先が塾や習い事ならそのテキストや道具もあるだろう。
こうなってくると鞄が必要になる。
手で持てば子供はほぼ確実にどこかに忘れてくる。
何より忘れ物の管理が楽なはずだ。
鞄の中に必要なものがあるかどうかを確認すれば、鞄さえあるだけで忘れ物はない。
そうやって鞄を持つようになって今に至る。
しかし、鞄が無くたって良い場面は日常的にある。
ポストに郵便物を出しに行くだけ。
コンビニに振り込みに行くだけ。
近所の美容院に行くだけ。
少しの目的のための外出なら、ポケットに収まる荷物しか必要がないことも多々ある。
そんな時の手ぶらで出歩く開放感たるや。
外を歩いているのに、肩にも腕にも手にも鞄を提げていない。
足取りはいつもより軽く感じるし、荷物が少なくて出来ることは限られているのに、どこにでも行けるような全能感すら覚える。
手ぶらって素晴らしい。
自由の最たる姿でずっといたい。
しかし、私の母は言う。
「女の子なんだから鞄を持ちなさい」
必要なものは全てポケットに入っている。
そう説明しても何度でも言われる。
大人になってから、防犯上の注意だったのではないかと気づいた。
鞄を持たなくても良い程、近所を出歩いていると宣伝しているようなものだ。
その辺の女の家を突き止めたい輩には好都合なんだろう。
理屈は分かるが、私は納得できなかった。
何よりそんなことのために、持たなくても困らない鞄を持たなくてはいけないのか。
自問自答ファッションに出会ってから
あきやさんはバッグを自己紹介だと言う。
バッグはファッションアイテムの中でも自由度が高く、己の好きを反映させやすい。
好きな色、好きな形、好きな雰囲気。
もちろんそれ以外も。
ファッションで体現した姿を見て、気の合う人が寄ってきてくれることがある。
その代表的な役割を担ってくれるのがバッグだ。
それを受けて私はバッグを2つ購入した。
一つはスリングバッグ。
両手が空き、入れたいものは全部入るし、一泊旅行もいける最高の相棒だ。
もう一つは青いレザーバッグ。
色だけで無く金具が特徴的で、これぞ自己紹介と思って購入した。
どちらのバッグにも手放すほどの不満はないが、購入してから一年以上経過して、どちらにも熱を上げていない。
それはただ生活に馴染んだからという訳ではなく、ありがたいことに人から褒められても何とも思わなくなっていることから、そう思うようになった。
所謂「飽きた」ということではないかと思ったが、他のバッグを試着してみても、この二つに比べればあまりときめかないことに気がつく。
1番のきっかけはANREALAGEのパンツを購入したことだと思う。
このパンツは大きく広げた手をそのまま入れても余りある容量のポケットが、両側についている。
容量としては青いレザーバッグに入れていたものは全部入る。
財布、モバイルバッテリー、無線イヤホンのケースごと、化粧ポーチ、エコバッグ、ティッシュ、ハンカチ、折り畳み傘、ケースごとサングラスまで。
独身アラサー旅行趣味なしの人間にとって、日頃のお出かけの殆どが手ぶらで済むことに気がついたのだ。
恐る恐る都市部に手ぶらで出かけてみる。
電車の席でゆとりが少ない路線だと、隣の人の座席部分を圧迫してしまうが、立っている分には何ら支障はない。
何なら座っている間はエコバッグにポケットの中身を出して仕舞えば、それさえ心配はいらない。
恐る恐るアフタヌーンティーに手ぶらで行ってみる。
飲食の場で鞄は不要だ。
よく考えればホテルのクロークに荷物を預けられるのだから、街中をぶらつくよりも手ぶらに違和感はない。
もしかしたら手ぶらで一年の大半を過ごすことが出来るのかもしれない。
冬ならアウターのポケットがあるので、より中身を分散させて見た目の不恰好さを回避できる。
つまりは夏さえ手ぶらにできるなら。
鞄を試着している時よりもずっとときめいた。
でも肝心の自己紹介は?
鞄を持たないということは、私を紹介するアイテムがない。
「鞄を持たない」ということが私を紹介する。
私は女でありながら鞄を持たない人間だ、と言っていることになる。
近所への外出ではなくても鞄を持たない人間。
それは一定の利便性を犠牲にしながらも究極の身軽さを求め、自分の快適さを得るための努力を惜しまず、意志を貫く人間のように思えた。
さらにその上で【荷物を持たない】と主張している。
私のコンセプト「孤独の達人」はそういう人物像だ。
荷物は持たない。
手ぶら計画始動
日頃の行動範囲で鞄を持たないとなると、まずは携帯したい物の取捨選択と小型化が必要になってくる。
いくら大きいポケットの服があるといえど、中身を詰めすぎると不恰好になる。
物が入っている?と思われるくらいが理想の容量だ。
私が持ち歩きたいものは以下の通りである。
iPhone
財布
ハンカチ
ティッシュ
スマホ用モバイルバッテリー
完全ワイヤレスイヤホン
サングラス
フェイスパウダー
リップ
エコバッグ
本当はここに傘を加えたいが、一日中降ると決まっている日以外は普段の外出でそこまで高頻度で持ち歩くことがないため、そういう日は傘だけ持ってもOKとする。
実際手ぶらでの外出チャレンジで、傘だけ持っているのはそんなに苦ではないことに気がついた。
また日傘については、長時間屋外にいるときは手に持ち、屋内の移動が多い場合は諦めることとする。
箇条書きにした手荷物の内で厄介なのは、【モバイルバッテリー】、【完全ワイヤレスイヤホン】、【サングラス】の3つだ。
これらにはケースが必要で、小型化に限度がある。
実際小型化に挑戦したが、それでもポケットは不恰好になった。
特にモバイルバッテリーは財布よりも薄く小さくしたが、重量があるため目論見通りにはいかなかった。
そうなると取捨選択が必要である。
私が行き着いたのは以下の通りだった。
iPhoneを稼働時間の長いモデルに買い替える
左右一体型無線イヤホンに買い替える
サングラスは胸ポケットに入れる
1.については、現在利用しているiPhone13 miniからiPhone14 Plusに乗り換えたいという話だ。
今のモデルにしたのは小型なことに惹かれてだったが、稼働時間が長いサイズの大きいiPhoneの方がモバイルバッテリーを持ち歩かなくて良いという点でミニマルだ。
正直言って昨年の3月に変えたばかりなので、また変えるには短いスパン過ぎるが、私は一刻も早く手ぶらで出歩きたい。
2.については、文字通りである。
ケースが小型のものを探すのが難しいなら、ケースがなくても良いものに変えれば良いのである。
初めは有線イヤホンを探していたが、Lightningケーブルのイヤホンでめぼしいものが無かったのと、
ケーブルがぐちゃぐちゃになるのが嫌で無線に乗り換えたのでナシだと思った。
そこで浮上したのが左右一体型無線イヤホンである。
完全ワイヤレスと違い、左右のイヤホンがケーブルでくっついており、首から下げる形で耳に嵌める。
そのため使わない時にケースがいらず、首から下げたままにできる。
更にはケーブルが短いので絡まず、コンパクトなためポケットにしまい込んでも嵩張らない。
手ぶらスタイルで行く時の制服は比較的カジュアルなため、イヤホンをぶら下げたままでも問題ない。
3.については、暫定策であるがケースを持ち歩かず、かけていないときは何も入れていない服の胸ポケットに入れてしまう。
ケースを持ち歩くしかなかった理由として、かけていない時に胸元につるを指していると、食事の時に邪魔なのである。
グラスコードを使用した場合も同じ理由だ。
他に頭の上に乗っかるようにかけるというのもあるが、ヘアスタイリング剤の都合でレンズが汚れる。
飲食の場ではテーブルに置くのはマナー違反だし、やはりケースが必要だと思っていた。
しかし胸ポケットに入れればその心配はない。
実際、レンズも汚れないし、特に邪魔にもならなかった。
何よりかけたり外したりが楽である。
という訳で、iPhoneのみ買い替えが間に合っていないが、私の鞄もといポケットの中身はこのようにしている。
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エコバッグについてはもっとサイズが小さくて薄いものを探したいが今のところ、制服には入るので良しとする。
ここからこの夏を過ごしてどのようにブラッシュアップしていくか楽しみだ。