R-1の空気の読めなさは異常。

 先日、「R-1ぐらんぷり」が「R-1グランプリ」として生まれ変わったという発表が行われ、2021もちゃんとピン芸人の祭典を開いてくれることに、とりあえずは感謝しています。

さて、そんな中物議を醸しているのが参加条件に「芸歴10年以内」を突然追加したこと。芸人さんには噂レベルではひと月前くらいから広がっていたということではありますが。

意図としてはなんとなくわかりますよね。「第7世代のピン芸人のスターを作り出したい」。そして、僕はここに「ああ、R-1ってのはやっぱりR-1なんだなあ」と思ってしまいます。

そもそも賞レースには権威が必要です。権威とは「この賞レースで優勝すれば売れる」ということです。M-1グランプリはわかりやすい。M-1の優勝者は今でもほとんどの芸人にがテレビで活躍しています。(テレビに出ることだけが活躍かというのは一旦置いておきましょう)
キングオブコント。これも優勝者はかなり活躍さています。

他はどうでしょう?歌ネタ王、ABC、ハーベスト、NHK新人演芸大賞など数多ある他の賞レースはこれに比べると権威が弱いのは明らかです。

さて、R-1はどうでしょうか。M-1、キングオブコントと並べて紹介されますが、実際、優勝者を覚えていますか?そのへんの人を捕まえて、優勝者の写真を見せて名前がわかるの半分くらいじゃないでしょうか?

そう、R-1はM-1、キングオブコントと比べてかなり微妙な立ち位置いるんです。にも関わらず、冒険しようとします。そして、失敗します。

R-1がまずやるべきことは権威を高めること。つまり「売れる優勝者を輩出すること」最近のR-1はうまいことやっていました。

R-1の権威は第3回大会ほっしゃん。第4回博多華丸、この辺から出始めます。とくに華丸さんはR-1ドリーム、R-1をきっかけにバカ売れした代表格。そして、なだぎ武さんの連覇。当時テレビでも大活躍されていた、なだぎさんの優勝。これでR-1の権威が確立されたかに見えました。しかし、ここからです。中山功太さん、あべこうじさん、佐久間一行さん、多田さん、三浦マイルドさん、やまもとまさみさん。毎年毎年、化け物クラスにしっかりとネタが面白い芸人さんがしっかり優勝していきました。

しかし、タレントとしてしっかりと結果を出すことができませんでした。R-1のチャンピオンは「優勝後1年間しっかりタレントとして結果を残し、次年度のチャンピオンにさらに泊をつける」これを繰り返して少しずつ権威を高めていくことができなかったのです。

その次は当時、テレビで引っ張りだこだったじゅんいちダビッドソンさんの優勝。そして、この年は2位マツモトクラブさん、3位ゆりあんレトリィバァさん、予選には厚切りジェイソンさん、とにかく明るい安村さん、あばれる君さんなど、かなりのタレント揃いの大会となり、実力者たちとあいまって、大会がとても盛り上がったのです。

R-1戦士たちが「R-1ファイナリスト」の冠をつけ、1年間テレビを盛り上げ続けてることに成功したのです。

そして、2016年。ハリウッドザコシショウさん。R-1チャンピオンのR-1ドリームが復活。まだ、深夜レベルだった芸人を一気にゴールデン芸人に引き上げました。

同様に2017年。アキラ100%さん。R-1で優勝すれば売れる。テレビに引っ張りだこになる。誰もがそう感じることができる優勝でした。だって、裸で生放送に出れるです。これで完全にR-1の権威が確立された


かのように見えました。


2018年。濱田祐太郎さん。不運にもこれは完全にR-1のミスとなります。前年の裸芸が行けた!!次は2020のオリパラに向けて障害をもつ方の優勝。悪くない。ただ、問題はテレビが濱田さんを使いこなせなかったのです。

僕はお笑いの番組を見ていてR-1優勝後の濱田さんは本当にかわいそうでした。本人がネタにしてるんだから、目が見ないことをイジっていいはずなのに、一歩間違えればイジった自分が炎上して大変なことになるからです。

そんなリスクを背負ってまでR-1を引き立ててあげるギリなんてないんです。僕は忘れられません。お正月の番組で「いつもより多めにまわっています」みたいな、映像がないと凄さが全く伝わらないネタを、ガヤとして見ている濱田さんをあの爆笑問題さんですらイジらなかったのを。

僕が見る限り、バラエティーで濱田さんに対して「お前見えへんやん」っとちゃんとイジって美味しくしようしてあげてたのは陣内智則さんだけでした。そして、そのときのゲストの女の子のアイドルの困った顔。

濱田さんR-1優勝後、「目が見えないのをネタに素晴らしい漫談だ」っと褒めていた奴らはどこにいったのか。結局障害者に対し、一歩引いたところから偉そうに評価しやがって。このへんの話はまた今度。

ということで、不本意な形で、R-1のギャンブルが失敗したことになります。

ただ、この濱田さん優勝の2018年には希望がありました。そう。当時、バク売れ直前の霜降り明星さんがふたりともファイナリストに選ばれていたのです。
そう、この2018年の年の瀬のM-1で優勝するまで、彼らはM-1ファイナリストのコンビとしてフツフツと湧いていた第7世代ブームを引っ張ってくれたのです。

そして、2019年。第7世代ブームを確定させるかのように霜降り明星粗品さんが晴れてR-1のチャンピオンとなります。

これで、なんとかR-1の権威を保ったのです。危ないところでした。
言わず物が、その後の1年間は大暴れ。M-1チャンプ、R-1チャンプとして、第7世代の実力の証として使われました。


そして、不運は2020年。コロナの影響で、無観客という形で行われました。が、ここで、優勝した野田クリスタルさん。M-1でもでっかい爪痕を残し、すでに知名度ある芸人。しかも、ラッキーなことに、というのも不謹慎かもしれませんが、コロナ自粛と相性抜群のゲームネタ。その後のテレビでも活躍されました。

R-1はこうして、最近、なんとか権威をギリのラインで保ってきたのです。
世間的には、ネットニュースで確認して「今年の優勝だれかな?ネタ見えてみようかな」とか「テレビでナマで見てみようかな」レベルの関心はあるのではないでしょうか。

ちなみにR-1は2018年くらいまでしばらくは平日の夜にやってたんです。
最近ようやく日曜日の夜になりました。


で、話は戻ってR-1グランプリ2021。ここまでようやく権威が戻ってきたR-1で次なる第7世代のスターを発掘しようと。芸歴10年以内にしました。

R-1ってのは決勝のシステムがコロコロ変わったりしているのを見れば分かる通り、どうにかM-1のマネっ子をしながら権威を保とうとしてきたんです。で、粗品さんは今やM-1チャンピオンの顔。R-1チャンプだったことを覚えている人はどれくらいいるでしょうか。
今、大ブームの第7世代にR-1チャンプをねじ込みたいんですね。

しかし、もう遅いですよね。すでにテレビが「第7世代」に飽き始めています。むしろ、錦鯉さんだとか、「大宮セブン」だとか、第7世代がゴールデンを席巻している今だからこそ、深夜枠を中止に「実力あるおじさんたち」にスポットが当たり始めているのに。

そしてそれを引っ張っているのはM-1グランプリ2020優勝のミルクボーイさん。今のお笑いブームを引っ張ってきたのは間違いなく第7世代で、そんな中、実力ある本当に面白ければ、おじさん漫才師でもバク売れすることを証明したのです。

それを裏付けるかのように今年のM-1グランプリ2020では、第7世代と言われる芸人さんはことごとく準々決勝で落ちてしまっています。
昨日発表された決勝のメンバーは、実力者のおじさんたちばかり。

もうM-1は次の時代に向かって動き始めているのに。

R-1はまだ数年前を追っかけている感じです。今更芸歴10年以内なんて。むしろR-1をなんとか支えてきてくれたのは、芸歴長い実力者のおじさんたちではなかったでしょうか。僕は正直、嫌な予感がしています。

たしかに若くて才能ある芸人が新たに発掘される可能性があります。しかしR-1チャンプは先にも述べたとおり「その後1年間テレビで活躍するタレント力」がなければならないのです。

バラエティー番組は人間関係や経験値が大きいような印象があります。若くてネタもできて、バラエティー力もある芸人が発掘される可能性はかなり薄いのではないかと。

まだ予選も始まってないのに暗雲たちこめているなあ。

次回はthe Wの話でもしようかと思います。
長ったらしい文章読んでいただきありがとうございます。

六龍。

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