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【小説】フラッシュバックデイズ 2話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

2話 セブンスヘブン

始めて草を吸った時にダイサクとスー君が話していた玉やクラブの話がやけに楽しそうだった。
確かに草を吸って音楽を聴くのは楽しかった。
3人で草でさえ楽しかったのに、玉で大勢なら間違いなく楽しい気がする。

ゲートウェイドラッグとはよく言ったもので、初めて草を吸ってから、
他のものにも手を出したくなった。
ケミカルは体に悪いということはわかっていたが、他のドラッグはどんな効き方なのかという興味が圧倒的に勝っていた。

とはいってもダイサク以外に頼るツテはなかったので、ダイサクにお願いしたが、入るまでには少し時間がかかるらしい。
雑誌の知識に加え、ダイサクやスー君の話を聞くとで体験してみたくて仕方がなかった。

俺の好奇心旺盛な姿勢に動かされたのかはわからないが、玉が入ってくるまで合法ドラッグを試してみようと言う話になった。

幸か不幸か大学の学生街のど真ん中に合法ドラッグを売っているヘッドショップがあり、皆で行ってみる事になった。
今では危険ドラッグといわれているが、当時は合法ドラッグと呼ばれていた。
外観からして絵に描いたような怪しい店で、店内は薄暗く、ブラックライトやキまっているときにぴったりなインテリアやライト、照明、パイプやボングなどが売っていた。


その時流行っていたのかはわからないがキノコの代替品という位置付けのセブンスヘブンというパウダーを3人でひとつづつ買った。

セブンスヘブン1ヒット分を一気に水以外の味のある飲み物で流し込んだ。
水では耐えられないほどの苦さだとBURSTに書いてあった。
しかしどんな味の濃い飲み物でも苦さがわかるほどの強烈な苦さだ。
体に悪いことが間違いなく罪悪感を感じた。まさに毒。

吐き気と気持ち悪さを抑えつつ、効きはじめるのを待った。45分くらいで効き始めるらしい。というのもこのパウダーは名目上は観賞用となっており、飲むものではない。つまり、どうなるかわからない。雑誌の情報だけが頼りという今考えたら恐ろしいものを口にしていた。

ダイサクもスー君も合法ドラッグははじめてだった。
玉や紙などの違法ドラッグより、捕まる危険性のない合法ドラッグを一度試してみたいということだった。

一時間程経つとまず視覚が変化した。
部屋のフローリングの木目が動き出した。錯覚かと思い、まばたきをしても、変わらず木目が動いている。
二人の顔を見てみると、縮んだり歪んだりして見えた。
草のように暖かく効いているような感じはなく、どこか無機質に効いているいる感じがした。コレがケミカルなの効きなのかと分かったような気がした。
「紙に近いね~」
「なかなかいい感じ」
二人は合法で安価でこの効きなら悪くないといった評価だ。
俺の評価は違った。
確かに視覚の変化は面白かったが、サイケデリック系のトビ方は見えるはずのないものが見えたり、自我を忘れるほどのトびを期待していたのだが、肩透かしを食らった。
これなら草の方が断然いい。
5~6時間と効いている時間が長いので2人のトリップ体験をボケた頭でなんとか聞く。
ダイサクのサイケデリックトリップ体験話は本当に面白い。
細かい描写や状況まで細かく話すので、まるで自分が体験できているかのように感じる。
それと同時に俺も体験したいという衝動を掻き立てくるから厄介だ。

ある程度ピークも過ぎたと皆が感じてきて解散することになった。

ここからケミカルの洗礼を受けることになる。
まったく寝れないのだ。
今まで20年近く生きてきた中で寝つきが悪い事はあったが、寝れないという事は体験したことがなかった。
体は疲れているのに頭は冴えていて、嫌な事を考えてしまう。
大学にも通わず俺は一体何しているんだろうか?
両親は仕送りしている息子がこんな事をしているとは思いもつかないだろう。
これはバッドトリップなのか?
そもそも何故こんなものを口に入れたのか?
大学の学生街のど真ん中にヘッドショップがあっていいのか?

とにかく早く寝てしまいたかったが、寝ようとしても、変に考え込むだけなので、途中で開き直り、頭を空にしてひたすらテレビを見る事に決めた。

ケミカルを取った日はめさましテレビから始まり、笑っていいともまでのお決まりの流れがこの時から始まってしまった。

本当にネタがないときに数回お世話になったのだが、セブンスヘブン/合法ドラッグにはこの時から良いイメージがなく、あまり好きにはなれなかった。

つづく

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