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1日3分で会計が少しわかるまとめ 13

今回から、いよいよ財務諸表の分析に入ろうと思う。もちろん基本事項が中心となる。

ここでは、楽天株式会社の2012年度の連結諸表を題材にしてみたい。

file:///C:/Users/shoke/AppData/Local/Packages/Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe/TempState/Downloads/12Q4tanshin_j%20(1).pdf


財務諸表の分析には様々な技法があるが、代表的な技法のひとつは「比率分析」と呼ばれるものである。比率分析を行うには、財務諸表上の様々な数値間の比率(以下、これを「財務比率」という)に着目し、その値から対象企業の特質を見出そうとする。まず、①特定の財務比率が対象企業にとって相応しい値と考えられる範囲内のものかを調べる。そして、②仮にその財務比率がこの範囲を逸脱しているとすれば、それは対象企業の何らかの特質を示唆していると考えてさらなる調査を行う。

本日は流動性を見ていく。流動性とは、会社の短期間の支払能力を示す指標である。流動性を評価する一つの方法は、会社がどのくらいの手元資金を保有しているかをみることであり、貸借対照表やキャッシュフロー計算書を参照することになる。もう一つの方法は、流動比率を見ることである。「流動比率」とは流動資産(現金及び近い将来現金に代わる予定の他の資産)の合計額を分子とし、流動負債(短期負債)の合計額を分母とする数値のことである。分子が分母よりも大きな値であるべきことは直感的にも明らかだろうが、専門家の一般的な意見によれば、流動比率は常に1.5~2.0以上であるべきであり、これを言い換えれば流動資産は流動負債の少なくとも1.5倍から2.0倍以上であることが望ましい。

さて、楽天の廉潔貸借対照表(8頁)を参照していただくと、流動資産は1818364(百万円)、流動負債は1698159(百万円)であることが分かる。すなわち流動比率は1.07であり、上記数値を大きく割り込む。

ここで、①流動比率は相応しいと考えられる範囲を逸脱していることが分かった。では、②この値を示す原因となる楽天の特質は何なのか。


本日はここまでにするのでぜひ考えていただきたい。私の答えは明日冒頭で述べる。

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