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1日3分で会計が少しわかるまとめ 11

前回は収益の計上についてみたので、今回は費用の割当てについてみていく。


ある企業が灯油の販売事業に参入し、容量1000ガロンの貯蔵タンクを新規に建設したとする。この企業はある年の1月にこのタンクを満タンにするだけの(つまり1000ガロン)灯油を1ガロン1ドルで購入し、3月にタンク半分の(つまり500ガロン)の灯油を1ガロン3ドルで販売した。その後、この企業は9月に1ガロン2ドルの価格で500ガロンの灯油を購入してタンクを再び満タンとし、11月に1ガロン3ドルの価格で500ガロンの灯油を販売した。

上記の各取引のうち、1月と3月の会計上の取扱いは簡単であるので下図を参照してほしい。9月の500ガロンの購入も複雑な取引でなく、現金が1000ドル減少し、棚卸資産を同じ金額だけ増加すればよい。問題は11月の処理である。現金と収益が1500ドル増加することは明らかであるが、売上原価と棚卸資産の変化の表現はいくつか存在する。

その一つは先に購入した灯油の購入価格を優先させて売上原価(=棚卸資産の減少額)を計算する方法であり、先入先出法(FIFO)という。また、取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均限界によって期末棚卸資産の価額を算定する方法があり、平均原価法という。ほかにも、個別法や売価還元法などがある。


経営資源を得るためになされた支出が複数の会計期間の収入に貢献する場合にも類似の問題が発生する。例えば、コンピュータを購入するために支払われた200万円の支出がこれにあたる。この問題はいかに手法によって解決される。すなわち、この支出をいったん資産として計上し(資産計上)、次にこの支出が収益を生み出すと考えられる複数の会計期間にわたってこの資産の価値を減少させ、その減少額を当該会計年度の費用として計上する。減価償却である。


今回までで費用収益対応の原則について見終えたことになる。

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