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【読書録】ゼロからはじめる力

堀江貴文『ゼロからはじめる力』を読んで。私は、宇宙についての仕事をしたいと考えているので、何か宇宙についての知識を得られる本が読みたいと考えていたのだが、宇宙についての本というと、科学関連の本ばかりで、宇宙ビジネスの本というのはあまり多くない。

2週間くらい前の出たばかりのこちらの本は、題名からするとゼロからなにかを始めるための一般論が書かれているように思えるが、実際は堀江さんの宇宙ビジネスのこれまでと展望が綴られている(もちろん、それはまさに「ゼロからはじめる」最も適切な具体例になっている)。


内容を詳細にまとめることはしないが、「日本は宇宙国家であるための最適な条件を満たしている数少ない国だ」ということは書かせていただきたい。


まず、現在のロケットは多段式ロケットと言って、1段、2段と使わなくなった段を切り離すことで重量を軽減していく。したがって、ロケットの打ち上げは、飛行経路の下に人が住む地域があってはならない。ロケットの打ち上げ角度的に、東と南あるいは北が開けていることが最も良い。

世界地図を眺めてもらうと分かるが、このような地点は意外と少ない。アメリカでさえ、だ。例えば、アメリカはフロリダ州のケープカナヴェラルやカリフォルニア州のバンデンバーグから打ち上げが行われているが、前者は南北、後者は東が開けていない。欧州は南米フランス領ギアナのギアナ宇宙センターを利用している。こちらは東も南も開けているのだが、当然大西洋を横断してロケットを運んでくる必要がある。

こう考えると日本がいかに恵まれた地理的条件かがよくわかる。これが一点目。

二点目として、工場と射場を近くに設置できるということがある。例えば、スペースXはロサンゼルスの工場から上記二つの射場に運んでいる。ケープカナヴェラルについては約3600km離れている。これに対し、例えば堀江さんが打ち上げている大樹町では、工場と射場はわずか8㎞しか離れていない。

そして、三点目として、日本は種々のメーカーが立地していて、世界最先端の機器を製造している。すなわち、部品を国内で調達できる、ということだ。最先端の工作機械や材料が国内で手に入るというのは、実は当たり前のことではない。


平成は失われた30年だった。私が生まれてからずっと失われた状態だ。日本が再び何かを手にするのなら、それは宇宙かもしれない。

将来その手助けができたらと思う。

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