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Eyes wide shut

オリンピックが近づいてきた。集まらず、声援を送らず、と制限されると、始まってもいないのに遠い日の花火のようになってしまう。歓声は高周波だ。高い、明るい、寄せては返す人の喜びが吸音されて、遠雷のような批判の声だけが低周波で響いてくる。重い振動で皮膚から潤いを吸い取られて干からびてしまいそうだ。 オリンピックに限らずどんな情報でも、情報には出し手と受け手がある。無いのは真実だ。出し手は、いつ、誰に出すか考える。受け手はその情報を受け取るかどうか選択し、評価する。良い空気感を出し

    • スペースオデッセイ

      あいかわらず、ワクチンが足りないようだ。平仄を合わせたように、「ワクチンを受けたくないひとが多い」という情報が流れてくる。事実、不安を口にするひとを見かける。 ワクチンの問題は多岐にわたる。mRNAを利用した、今まであまり使われていなかった技術であること。臨床試験の期間がほとんど取られなかったこと。脳出血などの、蓋然性のある副作用情報が流れること。明らかに多くの人に多かれ少なかれ副作用があると発表されていること。そしてデマ。でも副作用情報が出ていることは健全だ。「大丈夫」一本

      • Cherry blossom

        • シャイニング

          数年前から、古家が欲しいと思うようになった。リノベーションブームに乗った記事を読んだからかもしれない。 古家が欲しい。ふるさびた杉の木と誰ともわからない仏壇の匂いのするイエが欲しい。蓮華の咲いた春の北陸に住みたい。フェーン現象の光の中の、濡れた土の上に帰りたい。 などと言って、殆ど買いかけたのが2020の11月。手付けを打つ気満々だった前日に、先行されてしまった。世界の構成員は私だけではない。ふるさびた杉の木と誰ともわからない仏壇を欲するひとは、世の中に多い。 そもそも古

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