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ノーマライゼーションなコーヒー教室

2020年1月22日、僕は日本福祉大学の障害学生支援センター主催でコーヒー教室をしてきた。東海キャンパスには「楽見隊」というサロンカフェを行っている団体があり、美味しいコーヒーを淹れることができるようになって、コーヒーを学内販売した収益により多くの楽しいことにチャレンジしようという活動をこれから活性化させていくとのこと。

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そこで、日本福祉大学の卒業生でありプロのバリスタとして活動している僕が講師として呼ばれたというわけである。

この話を依頼された時、僕にはコーヒー教室を行う場合に絶対に考えなければならないことがあった。それは障害者学生支援センター主催というのがヒントにある。

そう、障害を持つ学生が多く参加することが想定されるのである。

考えてみて欲しい。コーヒーを淹れるという事は90℃近くのお湯を扱わなければならない。そして器具はガラスの物が多く落としたら壊れることだろう。

ちなみに僕は聴覚障害を持っている。聴覚障害者がコーヒーを淹れる際に困る事と言えばタイマーなどの音が聞こえないことぐらいである。

僕自身も聞こえておらず沸騰したお湯がこぼれていることに気づいておらずあやうく火傷しそうになった経験が有る。

他の障害ではどうだろうか。

車椅子の学生はテーブルが低くないと見えないだろう。
発達障害の学生にはあいまいな指示は通らないだろう。
知的障害の学生も同様に指示は明確である必要がある。
視覚障害の学生の場合はどうやったらいいのだろうか。

ここまで考え抜いて答えなければならない。依頼が日本福祉大学だから。

それで僕はどう答えたかというと、もちろん引き受けた。

これまでの経験上できることが分かっていた。以前に奈良県でコーヒー教室を開催したことがあり、その時は重複障害の車椅子の方が2名いた。

親御さんのサポートも有りなんとか楽しくコーヒー教室ができたのを忘れていなかった。

さて、もう一つ問題点がある。チラシの左下に注目してほしい。

「参加無料、申込不要」

つまり、当日のコーヒー教室が始まる瞬間まで誰がどのような障害を持っていてどのような情報保証やサポートが必要か分からないのだ。

迎えた当日、集まる学生たち。どうなるだろうか。

車椅子の学生
聴覚障害の学生
発達障害の学生
見た目では分からない何かしらの障害のある学生
学校の教授方
障害のなさそうに見える学生
※見た目で分かる方しか判別できません...

総勢25名~28名ぐらい集まった。

結論から言おう、そこには

「ノーマライゼーションなコーヒー教室があった」

ノーマライゼーションとは障害のある人もない人もごちゃまぜで当たり前な状態、場所のことを言う。(詳しくは調べてね)

障害のない学生が障害のある学生に変に気を使っていることはなかったし、僕も贔屓するようにはしなかった。

やりにくそうだったり次やるべきことが分かっていなさそうだったら助言したり助けたりすることがあるぐらい。

聴覚障害の学生も補聴器をして聞こえる聴覚障害の学生が聞こえない学生を手話でサポートしつつ、僕もたまに手話で状況確認をしていた。

車椅子の学生には見えやすいやりやすい場所を確保。
ドリップ体験の際はやりやすい位置に変えてみるなど。

発達障害の学生は困っていたら周りの学生や教授がサポートしている。
僕は近くに行った際に分かりやすい指示に置き換えて伝えたりもした。

ここで大事なことがある...それは、

みんな笑顔で楽しくコーヒーに向き合っていた

誰か1人がつまらなくて理解できていないという事は極力ないように。

心の内は見えないのでもしかしたら1人はいたかもしれないが、全体を見てみると全員が笑顔で、時には悩みながら、時には隣の学生と相談しながら、コーヒーに向き合っていた。

終了後に今回のコーヒー教室を企画した教授にお話を聞いてみると、
「声をかけたけど絶対来ないだろうな...と思っていた学生が何人も参加していて、なんなら開催時間のかなり前から待っていたから驚いた。」
「普段は周りとあまり関りを持たない学生もコーヒーを通して交流することができていて本当に良かった」
という声を頂くことができた。やってよかった...というのはこの気持ちだろう。

改めて確信できたこと、それは「コーヒーには不思議な力がある」

国境を越えて、人種を超えて、障害を越えて、個々の性格を超えて、
コーヒーには人を動かす力がある。

what’s!? coffeeはコーヒー屋さんであってコーヒー屋さんではない。
コーヒーを一つの手段として、コーヒーの力を信じて社会事業を行う活動である。ソーシャルビジネス×コーヒーで社会を変える為に。

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