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排泄系スポーツ「排便」

 排便はどちらかと言うと好きだ。嫌いと言ってもやめられないが、ちょっとしたスポーツみたいな所がいい。「今、来てるな」という便意を合図に試合が始まるわけだ。緊張感がある。緊張感の大小によって、「やばい」「まだまだいける」などの程度がわかる。私は「まだまだいける」の状態なら、便意を遊ばしておくことが多い。

 トイレに行くまでの間、便の動きを読み切り、遊ばせる。これはもう、頭脳戦だ。便意は遊ばせる程に頭が良くなる。頭脳戦が白熱するのは、「これは緩いかもしれない」と直感するときだ。緩いときは屁も催す。屁か便かの胸算用が、瞬時に人を真剣にさせる。徒らにリスクを背負っても何にもならないのだが、トイレに行って屁をこくだけというのも、寂しいしバカバカしい。しかし一歩間違えれば、当たるも八卦でウンコを漏らす。真剣にならざるを得ない。

 さまざまな内的問答の果て、トイレで便座に着けば体力勝負。呼吸を整え、力を込める。排便は短期で終わるのが吉だ。長々と戦うのは負け戦。出る感じはツルッと、穴ごしが良いのが大吉。ゆるく出るものは、残党が残るので小吉といったところ。

 ペーパーで尻を拭う段階、尻拭い。ここではまだ、気を抜いてはならない。尻拭いの最中に促されて出るやつもあり、拭った尻が汚されることがある。この手合いを宮本スタイルと言う。宮本武蔵は果し合いに遅刻することで相手の意表をついた。生きるか死ぬかの果し合いなら仕方ないが、排便は果し合いではないので、これをやられるとウンコの不実を呪う。
 試合終了はトイレの水がちゃんと流れた時。ペーパーは詰まらないように気を付けないといけない。最後に詰まってしまうと負け感が濃く、情けなくなり、後味が悪い。

 実は、私のプレイスタイルは独特だ。洋式でも便座の上に足を乗せる和式スタイル。禁じ手ではあるが、排泄力に定評がある。力が入り、尻拭いも徹底できる。しかし、下半身全脱ぎのため、冬場はよく冷える。温座の恩恵も少ない。長引く負け戦ではセーターの中に膝を入れたりするが、防寒に気を取られ、競技に集中できなくなる。和式スタイルは冬に向いていないのだろう。

 最後に、排便すると達成感を得るのが人体だ。後ろめたくも顔がゆるむ。試合の後は肛門がじんじんと喜び、軽やかな陶酔感に満たされる。排便後には誰にも話しかけて欲しくないのが、ホントウだ。

 次回は、「スポーツ」をやります。

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