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青いキッチンワゴンにさよなら。

青いキッチンワゴン。いまのわたしだったら絶対に選ばない、青。軽い金属製のIKEAのワゴン。わたしの若さの表れのようなそれと今日さよならした。

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

はじめてのひとり暮らしは、大阪。横浜の実家から荷物を運び、家電は直接新居に送った。一口コンロの狭いキッチンには炊飯器を置く場所がなく、IKEAで軽い金属製のキッチンワゴンを買った。もう7年くらい前の話だ。

バタバタしているなかでの買いものだったし、まだ若かったからなのか、しっかり主張のある濃い青のワゴンを選んでいた。壊れるものでもないし、そのまま東京に引っ越しても長崎県波佐見町に住みはじめてからも使い続けていたのだけれど、ついに手放そうと決めた。

これはまた別で書くのだけれど、「電鍋」がほしくて。炊飯器と電鍋、両方置けるキッチンワゴンを欲していた。そのためIKEAの青を買い替えることになったのだ。

いらなくなったワゴンは、会社に簡単な張り紙をしてもらってくれる人を募集したら、ほしいという人が現れて、引き渡した。

昨日の夕方、渡す前にもう一度きれいにしようと拭いていたら、なんだか、いろいろと思い出してしまった。

父が大阪まで来て、IKEAの家具を組み立ててくれたこと。新しい仕事に疲れて、よく帰りにお好み焼きやたこ焼きを買って帰ってごはんをすませていたこと。仕事に行き詰まってうつ状態になって天井を眺めていた日々のこと。友だちが遊びに来てくれたこと。コピーを書くようになったこと。

コピーライターになって東京に引っ越したこと。厳しい上司のもとでコピーというか文章が書けなくて沈んでいたこと。白いごはんが好きで、でも忙しい日々のなか炊飯器を使う頻度も下がってしまったこと。いろんな友だちが泊まりにきてくれたこと。すこしずつ仕事で見える景色が変わっていったこと。

傷ついてはすこし成長してを繰り返し、キッチンワゴンを買ったときとは全然違う人間になったわたし。もしかしたら、「そんなに変わってないよ」って昔からの友だちや知り合いは言うかもしれないけど、でも、変わった。ささやかで、大きな変化。

そんな自分が、頼もしくて誇らしいと思う。

まだまだ、もっといい自分になる。なれるよね、とおのれに問うと、心臓がぐつりと赤く沸き立った気がした。

30minutes note No.927

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