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父と過ごす、ふつうの日。

明日は波佐見町へ帰る。どうせ来月も横浜に帰ってくる。父と過ごす時間も普段どおりだ。そもそも、感染症が流行してからというもの父とは(生存確認のため)ほぼ毎日電話をしている。特別話すこともない。

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

日曜日には、父とふたり鎌倉や湘南のあたりをドライブした。運転はさせてもらえなかったけど、助手席でセブンのカフェラテを飲んで景色を楽しんだ。むかしからよく湘南へドライブしに行くんだけど、にぎやかな夏より、秋冬の静かで海もいくぶんか色がきれいな海のほうが好きだ。

ドライブのあと、ユニクロでそれぞれTシャツやスウェットを買った。ふつうの休日。

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今日は友だちとランチを楽しんで、16時ごろ最寄駅に帰ってきた。夕飯をつくろう、と家の近くのスーパーに寄る。父に食べたいものはあるかとLINEしたら「任せる」という。

わたしのスーパーでの買いものは、自由だ。献立も決めない。食品の陳列棚を眺めて、考える。鮮度のよさそうなもの、安いものを中心になんとなくカゴに入れる。これは中学生のときから進歩していない。

ふわっと献立を7割決めて、レジへ。料理をつくるまで、どの組み合わせでなにができるかわからない。重いレジ袋を持って、坂道を登る。まだちょっと、頭のなかでレシピのピースをくっつけたり動かしたりしていた。

ささっと、むかしから変わらずテキトーに料理する。

トマトとセロリ、茗荷を切ってボウルにぜんぶ入れる。短時間で味が染みるようすこし薄めに切る。かつおぶしをドバッと入れて旨みを足す。こんなサラダをつくったことはないけど、味もうまくまとわりつくはずだ。塩としょうゆとお酢と砂糖を適当にいれて、混ぜる。

きゅうりをちいさめの乱切りにして、塩昆布と混ぜておく。それだけ。かつおぶしもそうだけど、とにかく旨みを足しとく。

大根をまるまる一本、煮物用にちょっと大きめの一口大に切って、土鍋に入れて、顆粒だしと塩と水で煮る。鶏モモ肉も一口大に切って入れる。生姜を千切りにして入れる。シンプルな煮物だ。

うん、買ってきた食材の帳尻がちゃんと合ってる。

ここまでの料理は、おもに明日以降、父がひとりで食べるものとして多めにつくっていた。キッチンに立って30分が経っていた。父がちょうど帰ってくる。

「冷蔵庫のなか、見て! お肉見て〜!」

白菜を切りながら、父に言う。

「わー! すごい、牛肉じゃん!」

そうなのだ、今日のメインは、仙台和牛のすき焼きなのだ! 

スーパーで安くなっていて(といっても高かったけれど)、奮発して買ってしまった。わたしもまさかすき焼きになるとは、スーパーに入った時点では思ってもいなかった。230gで、6枚。大きな薄切り肉はしっかりサシも入っていて脂があるから満足感もあるし、副菜も食べるならこれで十分な量だ。

割下をつくって、白菜としいたけを入れて煮る。父がサッとシャワーを浴びて出てきたのを確認してから、肉を2枚入れる。割下に脂が一瞬で広がった。肉が硬くならないように煮え具合を見極めて、すぐ鍋をテーブルに運ぶ。

急いでビールで乾杯した。できたてをあつあつのうちに食べるのが至福だ、というのがわたしたち親子の共通認識だ。

「おいしいねえ」「贅沢だねえ」と言いながら、平らげる。あっという間に肉が食べ終わったら、また火にかけて肉を煮て、食べる。うまい。

父は、夜の外食があまり好きじゃない。疲れるらしい。お風呂に入ったあと、ユニクロのスウェットで、くつろいでお酒を飲みながらごはんを食べるのが好きなのだ。

それがわかっているから、あまり強く外食をすすめることもない。たまに、焼肉やとんかつを食べに行くくらいだ。

父がいちばんよろこんでくれるのは、テキトーなわたしの料理だとしても、おうちごはんなのだ。たぶん。

楽しくごはんを食べたけど、ちょっぴり豪華だったけど、いつものごはんだ。他愛もないことを話す、いつもどおりの。

タイムリミットで余ってしまった、スーパーで買った食材がある。ほうれんそうと、油揚げ。明日、出発する前に炒め煮にしておこう。

ふつうに会えて過ごせるようになって、うれしいことだなあ。

30minutes note No.908

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