どうしよう、贈るものが決まらない。

牛乳の紙パックを開けながら、消費期限を見る。2月2日。父の誕生日だ。まだ贈るものが決まってないんだよなあ。

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

父とは、最近毎日のように電話している。感染症の不安からだ。父は横浜に住んでいるのだけど、感染者数が多いぶん自宅待機の人も多いエリアだ。もし感染したら病院には入れないだろう、と淡々と、ちょっぴり不安そうに言う。

とにかくよく話しているので、このあいだも「誕生日はなにがほしい？」と聞いた。返事はこう。

「なにもいらないよ。そんなお金は自分のために使いな」

急にいい父親感を出してこられるよりきっぱりプレゼントをねだってほしいのだけど（この感想、ひどい娘感が出てしまうな）、何回訊いてもいらないと言う。

スナワチさんのオンラインショップを見ておいたので

「小銭入れとかはどう？」

と聞いたのだけど、いらないと言う。本気で要らなさそうに言ってくる。あんまりわがままを言わないでほしい。

横浜と長崎で離れているぶん、去年や一昨年みたいにごはんをつくってあげることもできないし、なにかしら贈りたいんだけどなあ。

実家には母が集めていた食器がそこそこの量あるので、焼きものの産地に住んでいても波佐見焼を贈る余地はないし。無難に焼酎なんかがいいのかしら。

風呂上がりに牛乳を飲みながら、考える。とくに答えは出ない。

そういえば、わたしも自分の誕生日に父から「ほしいものないの？」って訊かれて「ないよ」って答えてるから、お互いさまだ。

いまこの瞬間なら、新しいコートがほしいなって思ってるのに。いくらか思いつくのに。誕生日になったらやっぱり「ないよ」って答えてしまうんだろうなあ。

どうしよう、贈るものが決まらない。