父が「泣いて謝ろうと思って」と笑うので。
あまりにもすべてがわたしの予想通りだった。父から電話がきたのだ。
先日、こんなnoteを書いた。
毎日のように電話していた父とのやりとりが、数日途絶えたという話だ。
2日前、父が急にこう言った。たぶん眠たかったんだろうが、言った。
「それで? この電話の本質はなに?」
本質などない。本質などというものがあるとすれば、安否確認であり、そのことはすでに何度も伝えている。
それを、もうおそらく1年以上はこうして毎日のように電話をしてきたのに、「本質」だと?
私「本質なんてないよ…わかった…じゃあもう電話かけるのやめるね…」(わざとらしく&しおらしく)
父「あーよかった! せいせいするわ! じゃーね!」(あまのじゃく)
ということで、昨日は電話していない。
わたしももう父のムスメを30年以上やっているのでわかる。
父はなんにもなかった風を装って、陽気に電話をかけてくるだろう。たぶんあわただしい平日ではなく、休日を待って。
サッとまとめたnoteだったのでわたしから「電話をかけない」と言った風にまとめたが、あまのじゃくな父から「もうそんな電話してこなくていーよ!」的なことを先に言われていたのだ。つまりムスメ的に言えば圧倒的に父が悪い。うん、120%そう。
そして土曜日の今日、夕方、予想通り父が電話をかけてきた。もしもし、のあとの言葉はこうだった。
「泣いて謝ろうと思って」
めっちゃ明るく笑って言うのだ。ずるいやり方である。もちろん、わたしの返事は決まってる。
「それで、この電話の本質はなんですか〜?」
性格の悪い同士の似た者親子だ。つまり、わたしは似ただけなので性格は悪いが、悪くない。
「だから、泣いて謝ろうと思って」とまったく悪びれず繰り返す父。この泣いた顔を見せたいよ、と乾いた声で言う。父の泣いたところ、フランダースの犬の最終回鑑賞中くらいしか見たことない。
本日の電話の本質、それは謝罪。うむ。
「しょーがないから、許したげるよ」と上から目線で言うと、「ありがとうございます」とお返事がくる。
それからは、いつも通りの父の日常報告だった。暑くて仕事にならないこと、車を車検に出したこと、晴れたので洗濯機を何度も回したこと。
不要不急の内容ばかり。わざわざ泣いて謝って電話してきて話す内容としては、「本質」とやらじゃなさそうだ。
とは思ったものの、偉そうに許した手前、蒸し返すこともなく聞いてあげた。夕方、電話しながら日が落ちる時間が早まっていることに気づいた。
もう8月が終わる。去年も今年も、お盆休みには会えなかった。それでも、こんなファンタジーみたいに感染症が猛威を振るう世の中で、わたしたち親子に他愛もない日常が積み重なって、健康に暮らせていることに安堵している。
さいごまで読んでくださり、ありがとうございます! サポートしてくださったら、おいしいものを食べたり、すてきな道具をお迎えしたりして、それについてnoteを書いたりするかもしれません。