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閑話休題:アイドル(職業)について考えてみたら生焼けになりましたとさ。

はしがき

先日、後輩との食事の席で「じーのさんってなんで退職して独立なさったんですか?」と問われました(1年ほど前に独立しております)。エイヒレをつまみながら「タイミングかなあ」と意味ありげに返し話題は空中分解。

したのですが、なんやかんやで帰り道に追撃にあったので、「やりたいことが会社と合わなかったからよ~」と一言。「分からんでもないですわ」とつぶやく何とも言えない表情の後輩。どうやら欲しい言葉ではなかった様子でした。悪かったな。

そんなこそばゆい掛け合いをして帰宅した後、この記事が頭に浮かびました(ご本人からするとなんでだよ案件)。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を何も考えずに解釈すると、どんな劣悪な環境でも文句を言わずに頑張れというような、ブラックな環境を容認するような誤解が生まれがちです。そうではなく、理不尽などのブラックな環境はコントロール可能なので(退職ができる)、達成しようとする目的(幸せに生きる、などその人次第のもの)に悪影響なのであればコントロールする必要があります。
こういう誤解が生まれやすいので、「置かれた場所で咲く」というより「コントロールできることに注目して咲く」というように言い換えて覚えたほうが、情緒風情は無くなりますが人生の指針にはしやすいように思いました。

『置かれた場所には「外部環境」と「内部環境」がある』節より

時すでに遅しでしたが、こういうカッコイイ芯を食った言葉をかけてやればよかったなと。

プチ後悔とともにそのままの流れで読み直していると、「そういえばこれって…」とアイドル(職業)に関する徒然事が浮かんできまして。本稿はその言語化に努めた記事です。

最後にも繰り返しますが、生焼けにとどまっているので何も解決されていません。有識者の方、是非内容についてのご意見ご感想等お寄せください。

ここにたどり着く方で読んでいらっしゃらない方は皆無でしょうが、先の記事をお読みの上で当記事にお目通しいただければと思います。


身の上話をもうちょっとだけ

先述の通り、私が退職し独立したのは"やりたいことが会社と合わなかった"ことが理由なのですが、語弊の無いようにしておくと会社に非は一切ないと思っています。何よりも、私のサラリーマンとしての自覚が足りていませんでした。

やりたいことは簡潔に言うと顧客最優先(同時にアンチ売上)。コンビニで例えると「いつもお世話になってるので、自腹きってパンとおにぎり1コずつおまけしときますね!」って感じです。

もちろんルール内(スレスレ)かつ個人の売上は黒字の範疇で行ったことでしたし、よそからシェアを奪うにあたって地域性を加味すると最適な方略と考えていました(結果売上的には過去含めほぼピーク)が、細かいところで会社の意向に沿えなかったみたいで。
以降も手を変え品を変え色々やりましたが、ほぼ「それダメ!」と言われる始末。結果退職に至ります。

会社の意向のよりどころは言わずもがなKPIとルールやモラルだったのですが、これらが先の記事でいうところの「置かれた場所」なのだと思います。私は一所懸命にこの置かれた場所、いうなれば「定数」を変えようとしていました。

ですが、それは上層部の仕事。一介のサラリーマンに真に必要だったのは「コントロールできること」、すなわち「変数」をさがすことだったのでしょう。

「それダメ!」に対して「なにクソ!」となっていたことは否めません。渦中にいては気付けないこともありますね。例に漏れず、私も認知的不協和に陥っていたようです。心理の畑出身なのに。
藤嶌さんの心意気、そしてなめたけ46さんの記事、サラリーマン失格になる前に出会いたかった…。

アイドル(職業)の定数と変数

閑話休題、徒然事に触れてまいりましょう。浮かんだのは、「じゃあ、アイドル(職業)にとって定数と変数は何なのだろう」という疑問です。

今更ですが、私は日向坂46以外のアイドルには明るくないので、彼女たちを通して考えています。当記事内での"アイドル"は全て日向坂46ないしはそのメンバーとしてお考えください。

さて、表立った活動に紐づくもので思いついた定数と変数を以下に挙げてみます。

定数(置かれた場所)

  • 各メディア露出の機会

  • 授与される楽曲、ポジション

変数(コントロールできること)

  • 攻め:ブログ、メッセージ、メディアでの立ち振る舞い、各種SNS(メンバーによってはInstagram)

  • 待ち:握手会/ミート&グリート、ライブパフォーマンス

変数は「攻め」と「待ち」に分けられるなと思いそうしてみました。アイドルのコントロールの仕方が「攻め」は一方向(相手がいなくても内容をコントロールできる)、「待ち」は双方向(相手がいないと内容をコントロールできない)で成り立つというイメージです。

私の足りない頭ではこれが限界でした。もっといい表現やこれ以外の定数と変数、その捉え方などは必ずあるはずなので、是非コメントにお寄せください。

好きを露出(仕事)に繋げている印象が強い日向坂46。その意味ではメンバーは変数を効果的に使えているのでしょう。

変数は「ゼロイチ」か「ハマらせる」か

先程挙げた変数ですが、言わずもがな自身あるいはグループの新規ファン獲得のきっかけ(ゼロイチ)やのめり込み具合の向上(ハマらせる)に活かしていきたい"武器"でもあります。

どの武器も「ゼロイチ」と「ハマらせる」の両属性をもっているはずですが、やや「ハマらせる」に偏っている気がします。
例えばメッセージ。有料コンテンツですから、課金するに至ったある程度ハマった人をさらに「ハマらせる」ことが主な目的と言えるでしょう。

他方、「ゼロイチ」に寄与できるのは無造作に不特定多数へリーチできる武器、各種SNSやメディアですかね。TikTok、YouTubeは一度メンバーの裁量を増やすとどうなるか見てみたいです。インスタライブもうまく運用できたら喜ばしいのですが、何かしら(某ROOM)のしがらみでしょうか。

そんな中両方を都合よく使い分けられそうなのが、無料かつ唯一メンバーへ平等に与えられた「攻め」の変数であるブログ。金村さんがすばらしいリストを制作し内需を満たしたことが記憶に新しいですが、まだまだ活用方法が眠っていそうですよね。具体案は浮かびませんが。

試しに名前で検索してみました。公式プロフィールとブログが上位に表示されます。
勝手にここまでたどり着くのは至難の業なので、この場合は「ハマらせる」優位ですね。
それはそうと、SEO対策とかやってるんでしょうか。

結局、裾野を広げるには露出してなんぼ。ですが、露出の機会の多くが恐らくはアイドル自身でコントロールできない「置かれた場所」、つまり定数。

それを引き寄せるために努力することはきっと変数(発信内容やメディアでの立ち振る舞い)ですが、最終決定権はアイドル自身にはないはずです。

アイドルの変数について考えるほど、変えようのない定数がどうしても粒だってきましたね。

「ゼロイチ」の変数の切り口に「関係人口」はどうでしょう

しかしそこに注目しても仕方ないのは説明済み。裾野を広げるためのアイデアを別のところに求めてみました。

切り口としておもしろそうだなと思ったのが、「関係人口」の考え方です。
地方創生で使われる言葉のようで、その解説と共に興味深い調査を共有します。

まず関係人口の定義です。

関係人口とは:移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々

総務省より

私なりにこの定義をアイドル(グループ)のファンに反映させてみました。様々考え方はあると思うので、ぜひコメントまで。

  • 定住:どっぷり頭の先までつかっているファン=接点は全部とりにいこうとする

  • 交流:定住者に連れられた人や何となくの人=接点は今後ほぼ取らない

  • 関係:定期的にそのアイドル(グループ)に関わる機会がある=接点はゆとりや興味関心のあるときにとりにいこうとする

確かに定住はハードルが高すぎるし、交流は持続性がない。ある程度恒常的にグループについて関心を向けながら、「この日は予定ないし、日向坂のライブ行こうっと」なんて心意気をもつ関係人口を増やすことができれば願ったり叶ったりです。

裾野を広げる=とりあえず交流人口を増やすことを想起しがちですが、本当にアプローチすべきは関係人口を増やすことな気がしてきました。

何より興味深いのが調査結果。概要と共にかいつまんでまとめてみました(他にも共起分析(テキストマイニング)など楽しいことが書いてあるので是非読んでね)。

『関係人口の関心はどこに?データによる関心データの可視化』
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/rd/topics/topics_23.html
(サムネイルがないですがお許しください。)

  • 「関係人口増加プロジェクト」なる事業の一環で、関係人口ツアーを実施

  • ツアーでの参加者の関心先を「ヒト・モノ・コト」の観点で収集

  • データ分析の結果、「コト」=体験機会(何かをする)の重要性が発覚

関係人口を増やすには、「コト」=体験機会(何かをする)が効果的だというのは、なるほど確かにと膝を打ちました。そして直感ですが、「コト」の内実はできる限り能動であることが望ましい気がします。ただ見聞きするだけでなく、「じゃあやってみましょう!」で何かをした方が、記憶に残りやすくないですか。

一体アイドルの「コト」とは何なのか。ぱっと思いつくのはライブです。しかし、確かに体験機会ではあるものの、何かをする=内実が能動かと言われると「うーん…」と思ってしまいます。コールや振りコピなどが何かをするにあたるとしても、事情は様々ですからできない/しない方も多いでしょう。

加えてライブ開催はアイドルがコントロールできるものではない(定数)ですし、人によってはそもそも参加すること自体のハードルが物理的にも心理的にも高いはずです。

この点をクリアしつつ、無造作に不特定多数へリーチでき、かつアイドルがコントロールできる「コト」(変数)があれば、超絶有効打になり得るのではないでしょうか。


今にして思えば、日向坂46が約半年前「ライブで最強になる」を掲げることでめざした到達点のひとつは、もしかすると関係人口を増やすことだったかもしれませんね。

個人的には是非追い続けてほしいですが、こう考えると相当の工夫が必要そう。アレコレ方略に結び付けず、もっと気楽に受け取ってもいいのかな。


アイドル自ら関係人口を増やすためには

「じゃあその具体案は?」と言われると正直分かりません。こんな素人が思いつくことはきっと思案しているでしょうし、もはや存在していないのかもしれません。

ですが、ここまできて知らぬ存ぜぬはいささか乱暴すぎるので、まとめ代わりに理想論だけ挙げておきます。

文字に起こして客観視すると、結局コアは返報性(いいことが返ってくると好意的な印象をもつ、今回で言うと「コト」によって何かを得る)ではと感じていたりもします。ということで、こんなのはどうでしょうか。

  • 無造作に不特定多数へリーチできる

  • 返報性を与えられる(例:ハードル低くアイドルとの「かかわり」を感じさせられる)

  • アイドルがコントロールできる「コト」

…うーん、難しい。私にはここまでのようです。是非ご教授お願いします。

ふるさとづくりガイドブック P.8より
ここでも「かかわり」の重要性がみてとれます。
(アイドルにおきかえて考える余力はありませんでした…)

余談:ひなたフェスは宮崎(九州)で関係人口を増やすチャンス

日向坂46は目下『ひなたフェス2024』の開催に向けて動いています。

内容はまだまだ煮詰めていっている最中のようですが、思い切り能動の「コト」を提供できる=関係人口を増やすチャンスですよね。

関係者全員の願いであろう「地元や九州の日向坂46を知らない人がグループと接点をもつ」に留まらず、「能動の「コト」を通じて関係人口になってもらう」まで突っ切ってもらいたいです。

先の調査にはこんなことも書かれています。

また、今回3回にわたる関係人口ツアーを実施したのですが、どのツアーでも講演会や現地の方々との交流がなければ関心を持つことがないことに関心が集まっていました。

関係人口の関心はどこに?データによる関心データの可視化より

ここでいう"現地の方々"は当然アイドルな訳ですが、参加するファン(定住者)もそれに括ることができるでしょう。上手に盛り上げていきたいですね。

あとがき

それにしてもアイドルって大変な職業ですね。客観的には自らの力(変数)で色々獲得しているように思えますが、やはりその力が及ばない部分(定数)の影響がとんでもなさそう。そこら辺の一般企業でヒーヒーいってた自分が情けないです。リスペクトしかありません。

さて、今回は調子に乗ってグループを鳥瞰して書くことを意識してみました。タイトルにもしていますが、若林さんの言葉を借りればいつにもまして「生焼け」な記事が結果できあがっただけなので、是非みなさんの叡智でこんがり上手に焼けたいい記事にしてあげてください(?)。

ということで、閑話休題:アイドル(職業)について考えてみたら生焼けになりましたとさ。でした。
ではまた次の機会で。

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