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【業務レポート】書籍の編集/校正

2022年6月に出版された書籍『共に働くことの意味を問い直す: 職場の現象学入門』(白桃書房 刊)の編集/校正を担当しました。

「現象学」(という哲学)の考え方を使って、職場の人間関係の悩みをより良いものにしていこう、という趣旨の本です。

今回の担当業務

2020年に出版された『職場の現象学: 「共に働くこと」の意味を問い直す』の続編であり入門編です。2020年の刊行に際して、公式HPの制作を行ったほか、出版記念イベントの企画や当日の進行なども担当しました。その一連の経過の中で、今回出版となった続編の編集にも携わることになりました。

著者の先生と複数回Zoomをしながら話題を引き出し、蓄積していきました。執筆が進む中で、「入門編として読者の方により届きやすくするには」という観点で編集(情報の交通整理、表現の調整、提示する順番の見直しなど)を行い、あわせて校正(誤字脱字のチェックなど)もしました。

また、今回の書籍では「職場の現象学入門プロジェクト」として、著者の先生のもとで学ぶゼミ生やゼミの卒業生の方々にも原稿を読んでもらい意見交換しながらより良い本になるように制作を進めました(このプロセス自体が、書籍が主題とする「創造的な場」であったと思います)。この意見交換の機会についても、準備をしたり、アジェンダをセットしたり、当日少々進行をしたりしました。

こうしたことを経て、着手から1年半で出版の運びとなりました。

書籍の内容について

第1章「悩める職場のコミュニケーション」では、コロナ以前からあった職場の人間関係の悩みや、コロナを契機に顕在化した新たな職場の悩みなどを、あるあるネタとして書いています。ここは難しい話は特に出て来ないので、「あるある、こういう話。職場でほんとよく見かけるわ~」なんて思いながら読んでいただければと思います。

第2章「職「場」とは何か?」では、「場」(というもの)の研究者である著者の知見(場のモデル)を紹介し、場のモデルによって第1章で事例として挙げた「職場の悩みあるある」の解釈を行っています。また、日本社会について分析した古典的名著である『タテ社会の人間関係』(1967年、中根千枝 著)なども紹介しつつ、職場の悩みあるあるがどのようにして発生するのかについてなどを開設しています。

第3章「なぜ、今「現象学」なのか?「現象学」とは何か?」では、現象学の成り立ちや理論について紹介しています。この書籍の中では一番難しい章だと思いますが、世に出回っている現象学について書かれた様々な本の中では、比較的理解しやすく書かれていると思います。

第4章「職場から生まれる創造性」では、現象学の理論も織り込みつつ、創造的な職場はいかにして出来上がっていくか?について書いています。昨今、バラバラの文脈でしばしば聞かれる「多様性」「心理的安全性」「場のリーダーシップ」の関係性を整理し、その3つがどのようにつながることで創造的な職場に結びついていくのかを明らかにしています。

働く方のお役に立つ本だと思います。ぜひお読みください。


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