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スキップとローファー 第一巻おすすめ場面 感動しすぎたから紹介していく

スキップとローファーは個人的に大ばずりしているので、1巻から好きな場面を紹介していこうと思います。
1人でも多く、スキップとローファーという作品を知ってもらいたい。

アニメも気になってみたんだけどOPの曲がめちゃくちゃ志摩君やん…(歌詞)ってなって、泣きました。すみません。映像もいいのでOPだけでもぜひ。
スタッフの愛が感じられるアニメなので、コケることはないんじゃないかな。アニメはアニメでいいと思います!声もばっちりあっています!

ただ、漫画の秀逸な表現が私は好きなので、紹介していくね。
まずは1巻から!

第一巻 3話 兼近先輩が志摩の子役経験に気づいて追及するシーン

スキップとローファー 第一巻 Scene.3

このシーン漫画として非常にうまい。

「そんなことも察せられなくてよく劇作家とか言えましたね」

という志摩くんのキャラクターを描写する一言。
まだ1巻序盤で、ニコニコ笑顔で優男の志摩くんの冷たーい二面目がここで初登場。
ありゃ、ただのやる気なし男ではない?と読者に思わせ、キャラクターに深みを与えていますね。

兼近は察しが悪いキャラクターではない。
なぜ、興奮して勢いでデリカシーなく志摩を傷つけてしまったか。それは彼が一番大好きな演劇絡みだから、うっかり理性よりも先走って問い詰めてしまったのですね。
そしてそれすらもわかっていて、彼の大切にする演劇こそが彼の失態の原因だと、兼近に全く悪気はないと理解したうえで、何を言われれば兼近が一番傷つくか聡い志摩くんはわかっていて言うんですよ。
わざと傷つけて、今後、絶対に自分にかかわらないように牽制するんです。

辛辣ともとれる拒絶の台詞、一語一句に、たまらないセンスを感じます。

左下2コマ、兼近先輩の固まった表情と「ほ~~~~~?」というセリフ

アニメエピソード2にこのシーン出てくるのですが、やはり漫画ほどの情緒はなくなってしまいます。(声優さんの演技もうまいし、かなりアニメ映像もうまく表現しようとしていたけど、やはり限界があります)

特に、最後2コマに分けられ、固まった兼近先輩→そのまま表情は変えず「ほ~~~~?」とつぶやく。
ここで作者は兼近の心理描写をしていません。読者に想像させています。これが、錯書の意図した行間を読むことであり、文学なのです。
文学には正解がないです。

作者は「スキップとローファー」という世界を描いて見せる。読み手はそれを見て、解釈する。ただ、どう解釈しようと、読み手次第。
だって例えば、私が誰かに「あなたのことが好きです」といったけれど、本当は全然好きじゃなかった。ただ、告白された相手は本当だと信じた。この真実に意味はありますか?
作者の意図した真意=正解を読み解くのではなく、こうなのか?もしかしてそうなのか?と考えることが漫画を読む楽しみの神髄です。

なので、私はこう読み取りましたというのを語りたいと思います。

兼近は、ニコニコ笑顔の優男が、うわぁかなり辛辣なこと言うじゃん?と台詞のない1コマ目でびっくりして一瞬思考停止します。驚いているんですね。

そして2コマ目の「ほ~~~?」は、「本当は兼近のことを志摩は察しが悪い・劇作家に向いていないとまで思っておらず、ただ、これ以上過去の子役のことを騒がれるのはうざいから、わざと嫌われるように最も辛辣な台詞を吐いたのだな」と理解するのです。
想像したよりもかなり、機微を理解している聡い子だ、とむしろ志摩の評価を上げるんですね。
兼近のいいキャラなのはそこなんだよなぁ……。兼近というキャラクターはねえ。演劇そのものなんです。
『自分が』傷つくとか、そういうことじゃない。彼の心を動かすのは演劇で、例えば『きもい』だとか『変な人』だとか言われることに、兼近の心は全く動かされないのです。
『自分の劇がどういう評価を受けるか』この一点のみ、彼の心が気にするのはそれだけなのです。

そして演じる役者に必要なのは、志摩が自身で冒頭言った通り「機微を察する聡さ」。
だから、兼近は自分の能力を否定されたことに傷つくよりも、むしろ有望な役者候補となった志摩にもっと興味を持つのです。

この兼近というキャラクターの作りこみが、いかに素晴らしいかわかりますか。
そしてたったの2ページ(本当は2巻6話に伏線回収があるのでそこも読まないとですが)で表現する卓越した漫画のうまさ。

何度読み返してもこのシーンは感動ものです。
ぜひ、アニメでも漫画でもいいから読んでほしいです。Amazon readingで1巻無料だから、本当に読んで……。
ほかのことがすべて手につかなくなるほど、素敵な作品です……。

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