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【詩】詩人はもうひとりの私

どうやら私の内部には
いわゆる詩人が棲みついて
思考回路のはたらきを
しばしば阻んでくるのです
どういうわけかこの詩人
私の一部でありながら
私の意思とはうらはらに
海など眺めに行かせます
そしてながらく忘れてた
色と香りと波音が
体のすみずみまで沁みて
涙があとを絶ちません

詩人が私に
思い出させてくれたのは
今ここにある
すべてのものの息づかいを
感じてただ感じて
心ゆくまで感じつづけること
脳で何かを読み解くよりも
全身で感じ取る何かが
いのちを喜ばせる

詩人と私がひとつになって
生まれ変わった心持ちです


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