【詩】泣かないように泣く少女
心がピアノへ届かずに
突然弾けなくなったのは
少女がはじめて恋をした
十五歳のある夜のこと
ひとり身震いする想い
うまく抑えたつもりでも
ピアノにだけは見抜かれて
たがいの波長が行きちがう
素敵な人とピアニスト
とてもひとつに絞れない
恋との嬉しいめぐりあい
夢との悲しいすれちがい
恋と夢との両立が
まだ困難な十五歳
恋と夢とにはさまれて
方角さえも見失う
けれどもそんな迷える日々が
自分を磨いてくれるのだと
悩み苦しむかたわらで
少女は深く信じてる
泣きたい気持ちか