マガジンのカバー画像

New体育論-Management Perspective-

49
小学校で体育を指導しながら、スポーツ産業のマネジメントを学んだ私が、スポーツが発展するためにあるべき体育の姿を様々な切り口から解説するシリーズ。これまでにはなかった「新しい体育の…
運営しているクリエイター

#運動

「面白い!」「うれしい!」「楽しい!」の意味とその違い

私の記事を読んでくださっている方は、少なからず体育や子どもの運動指導に関心があるだろう。多くの方があるいは教師や指導者として子どもの前に立っていると想像する。自らが指導者として子どもたちに運動の場を提供したとき、やはり気になるのは子どもの生の反応である。わざわざ感想を記録させる人もいるが、それよりも実際の表情やついこぼれる一言の方がより多くの情報を与えてくれる。 当然、提供する側としては子どもにポジティブな体験をしてほしいし、ポジティブな言葉や反応が子どもから聞きたいもので

運動体験と学習の2つの関係

A:おに遊びをひたすら夢中になって楽しみ、無意識に走る経験を重ねていたら、いつの間にか50m走のタイムが縮んでいた。 B:足が速くなることを目指し、走運動の基礎練習を意図的に積み、結果として50m走のタイムが縮んだ。 あなたが体育やスポーツの指導をするとき、どちらの運動体験をより重視するだろうか。A・Bどちらも「50m走のタイムが縮んだ=足が速くなった」という結果は同じであるが、そこに至るまでの過程や理念は全く異なるものがある。本稿は、両者を対比することで、読者の運動指導

「スポーツ」と「身体活動(運動)」の違い

「スポーツ」とよく似た意味で「運動あるいは身体活動(Physical Activity)」という言葉があります。 この両者の違いをみなさんはどのように理解していますか? 体育科教育の学習指導要領にも「運動やスポーツに親しみ…」と両者を並列しています。また、スポーツ庁が出しているスポーツ振興基本計画の中でも「スポーツおよび身体活動の促進を…」などと別物として書かれています。 「スポーツ」と聞くと、サッカーや野球、バスケットボールなどのいわゆるオリンピック競技をイメージする人