続々・夢なら覚めて

母がどこかおかしいと感じるようになったのは、今から5年前の秋。それ以前から同じ話をしつこいくらい何度も何度も繰り返すというような事はあったけれど、母さんも年だしな、と軽く受け流していた。近頃は自分もそういうところがあって、娘に指摘されるようになっていたし。
実家に帰るとすぐに、恒例の冷蔵庫チェック。調理せずに口に入れられる食べ物がないかどうかの確認作業。帰省時の必須項目。大事大事。
いつものように冷蔵庫を開ける。何かおかしい。いつもと違う気配を冷蔵庫の中の様子に感じる。使いかけの食品の袋がオープンになっていて、閉じられていない。そして、冷凍食品が冷蔵室に、野菜が冷凍室に……???どういう事???単なる入れ間違いか?父に確認すると、「母さん、最近しょっ中間違えるようになった」そうか、そうなのか。父は気にも止めていないようだ。ふと思いつき食器棚や戸棚を開けてみる。同じ物がズラーっと並んでいる。あっちにも、こっちにも。そう言えば…と気付く。水道の出しっ放し、電気の消し忘れ、引き出しや冷蔵庫の閉め忘れ……。これは、もしや、まさか、でも年だしなー。年を取れば誰にでもある事だよなー。
次に帰省するまでの日数を短くして、帰る頻度も多くして様子を伺うことにした。
やがて、全てが確信に変わることになる。

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