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将来のキャリアを今考えるのって難しくない?と思うデザイナーに知ってほしい「偶然を計画する」考え方

🎄 CAMPFIRE Advent Calendar 2021 18日目の記事です

こんにちは、CAMPFIREデザインマネージャーのムツミ(@623px)です。

2021年も終わりに近づき、評価の時期も近づき、目標設定がやってくるよ〜なんて方もいらっしゃるのではないかと思います。そうでなくても年末年始は、振り返りやこれからのことを考えたりもしますよね。

私自身まだまだひよっこですが、現時点で思う「将来のキャリア(目標)の考え方」について言語化してみようと思います!

いくぞ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

▼ 今やれることを粛々と積み上げていきたいデザイナーの課題

さて、わたしはデザインチームメンバーのキャリアを一緒に考えるタイミングがあるのですが、「具体的なキャリア目標を決めずに、目の前のことをこなして将来を作っていきたい」タイプの人が多いと気がつきました。もれなく私もこのタイプでした。

特にUIやWebデザイナーという職業は、(人や環境によってもちろん異なると思いますが)目の前の課題解決を求められる機会が多く、現状をどうにかすることが得意 な人が多いのかもしれません。

これらは「積み上げ思考」と呼ばれる考え方に近いのですが、明確な目標を描かずに、自分が出来ることに則して積み上げた実績が最終的な成果になるため、日々の満足度は高くなります。

一方で、長期的な目標を立てづらいことから、積み上げ方を一歩間違えてしまうとまばらなスキルセットや行き当たりばったりなキャリアになってしまい、「自分の強み」がわからなくなってしまう 恐れがあります。

出典:目標の逆算とは? 目標達成のために知っておきたい思考術について

しかしデザインチームのメンバーをはじめ、積み上げ思考タイプでも上手に自分の強みを作って、ぐんぐん成長し続けるデザイナーは少なくないです。

では、どうしたらその方達のように場当たり的にならない「強み」を持ってキャリアを形成できるのだろうと考えました。

▼ 将来の目標はなくても、積み上げ方を計画するといい感じになる

積み上げ思考には前述のようなメリット・デメリットがありますが、それでも自分の強みを発揮しているデザイナーには、3つの特徴があると気がつきました。

1: 大切にしている価値観がある

まず1つ目に、ただただ目の前のことを積み上げるのではなく、明確なキャリア目標はなくとも自分の中で譲れない価値観(軸)があって、その方向に向かって積み上げていること。

きっと自分が何に意義を感じるのかに気づいていて、例えば

  • デザインという手段で社会に貢献すること

  • デザインの専門性を高めて制作の幅を広げ、ずっと作り続けられること
    などなど、色んなタイプがいます。

これは「キャリアアンカー」と呼ばれる、MITの組織心理学者エドガー・シャイン教授が提唱しているキャリア形成の概念です。

人にはキャリアを選択する際に最も大切にする欲求や価値観があり、大きく8つのカテゴリに分類できると言われています。

1:専門・職能別
特定の分野で能力を発揮し、自分の専門性や技術が高まることに幸せを感じる。
2:全般管理
集団を統率し、権限を行使して、組織の中で責任ある役割を担うことに幸せを感じる。
3:保障・安定
一つの組織に忠誠を尽くし、社会的・経済的な安定を得ることを望む。
4:起業家的創造性
リスクを恐れず、クリエイティブに新しいものを創り出すことを望む。
5:自律と独立
組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望む。
6:社会への貢献
社会的に意義のあることを成し遂げる機会を、転職してでも求めようとする。
7:ワーク・ライフ・バランス
個人的な欲求や家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力をいれる。
8:純粋なチャレンジ
解決困難に見える問題の解決や、手ごわいライバルとの競争にやりがいを感じる。
引用:キャリアアンカーの診断方法とは?企業での診断結果の活用例について

仕事をする上で大切にしている価値観や、やりがいを感じる部分を中心に実績を積み上げることで、多少方向性に変更があっても最終的にはブレずにキャリアを形成していくことができます。

キャリアが確立するのは30歳前後と言われており、10~20代前半等の経験が少ない方は、自分の志向や価値観が分析しきれずに定めることが難しい場合があります。そんな方は、まずは積み上げ思考で可能性を広げ、価値観を見極めていくと良いかもしれません。

ちなみにこちらで診断できます↓


2: 偶然を正解に変えている

そして2つ目に、目の前のことを積み上げていくことにプラスして、偶然の出来事を主体的に活用し、正解に変えていく行動 ができていること。

例えば、自分のデザインの得意領域とは少し外れたもの担当する場面が訪れた時に、ただ業務として必要なことだけをこなすのではなく、専門性を高め自分の得意領域との相乗効果を生んでいたりなど、偶然の機会を意志を持って選択し「正解」へと導いています。

これは「計画的偶発性理論(プランドハプンスタンス)」と呼ばれる理論で、スタンフォード大学の教育・心理学のクランボルツ教授によって、以下のように提唱されています。

1:個人のキャリアの8割が、予想できない偶然の出来事によって左右されている
2:偶然の出来事を本人が主体的に活用することで、キャリアアップにつながる
3:ただ偶然が発生するのを待つのではなく、意図的に生み出せるよう積極的に行動することが大切である
引用:計画的偶発性理論とは?再就職を考えた際の計画的偶発性理論の生かし方

(8割ってすごくない、、、、、、?)
そして、この計画的偶発性を発生させる為には重要なポイントが5つあります。

1:好奇心(偶発的なチャンスを増やす)
興味関心のある分野や日々のルーティンにから抜け出す必要がある。普段から様々なことにアンテナを張り世の中を知ることで好奇心を高め、チャンスの機会を増やそう。

2:持続性(発生した偶発性を活かす)
興味を持って始めたことがうまくいかなくても持続することが大事。直接的に成果に繋がらなかったとしても、後々思わぬところで役に立つことがあるので、蒔いた種は成長させていこう。

3:柔軟性(偶発的なチャンスを増やす)
こだわり・経験・理想にとらわれて、思考を狭めないこと。常にフレキシブルに対応出来るよう、インプットと思考のアップデートを欠かさないようにしよう。

4:楽観性(発生した偶発性を活かす)
失敗や困難があってもなんとかなる(なんとかする)とポジティブに捉えること。自分ができることを精一杯やる為に、何事も経験だと考え、良い意味で楽観的に捉えていこう。

5:冒険心(偶発的なチャンスを増やす)
リスクを恐れず行動すること。挑戦を恐れてしまうと、知らないうちに多くの機会損失を生んでいる。不確実性の高い環境をむしろ糧にするくらいの気持ちで、どんどん挑戦しよう。

以上を日頃から意識することで、偶然を必然へと変えていくことが出来ます。

ちなみに、かのスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式スピーチで「Connecting the dots」というエピソードを残していますが、まさにこの「計画的偶発性理論」に近い内容だなあと思います。

将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。


3: 小さな目標を決めている

最後3つ目は、5年後の目標はわからなくても、1年後にどうなっていたいのかがイメージできていること。

目標を定めるとき、大きな目標からブレイクダウンして目先の目標まで落とし込むことを「正」と考えがちですが、キャリアにおいてはその限りではないと考えます。今デザイナーになっていることが、昔の自分には想像もできなかった人もきっといますよね。

それでも、1と2のように価値観に沿って主体的に選択と行動を重ねると、自ずと自分の道筋がみえてくるはずです。
その時に、規模に関わらず 小さくても目標を定められるデザイナーが強みを作っていけると思います。

もし目標が決まったら、積み上げ思考とよく比較される「逆算思考」を取り入れてみましょう。目標を明確に描き、達成のための手段・方法・期間を逆算して計画する考え方で、目標の達成がゴールです。

出典:目標の逆算とは? 目標達成のために知っておきたい思考術について


ここまでのポイントを例えると、以下のような流れのイメージ。

  • キャリアアンカー:デザイナーの仕事を通じて社会貢献することに価値を感じている

  • 偶発事項:自分が関わっている社会貢献サービスで、現状のプロダクトの課題を知る為に模索していたら、UXRを開始することになった。とことん手法を調べて何度も実行してみている。(計画的偶発性+積み上げ思考)

  • 目標:UXRで発見できる課題が多いことを知り、突き詰めたくなった。得意なUI制作まで落としこめるようにして、施策の確度を上げられるようになりたい。(逆算思考で達成を目指す)


「積み上げ思考よりも逆算思考で成長を目指すべき」だと言われることもありますが、この二つは相反する物ではなく、使い分けられたら最高なのです。

そうして試行錯誤していくうちに、自分に合ったやり方で成長していくことができるし、それがいずれ将来の目標となりうるのだと思います。

▼ 最後に

なぜこの記事を書いたのかというと、私自身具体的なキャリアを決めないまま、やれる事とやりたい事をひたすら進めていくことに不安があった為です。
私が不安に思っていたら、マネジメントにおいてメンバーの成長を促すことも難しくなります。

しかし、私は無自覚にもご紹介した考え方から大きく外れないところで模索していたため、新たな目標を見つけることができました。

来年は、自分にもメンバーにも もっと挑戦の機会を作っていきたいので、ひたすら色んな型を知ろうと奮闘しています。未来はわからないこそ楽しいけれど、後悔しないように意志を持って選択をしていきたいですね。

さて、まだまだ続くアドベントカレンダー、明日の当番は
エンジニアの @tan さんです🎁

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