新1年生に、きゅん。
小学校に入学して、はや2週間が経った1年生たち。
廊下ですれ違っただけで、にこにこと楽しそうな笑みを乗っけて、手を振ってくれる子。
思わず、こちらも笑顔になっちゃう。
廊下で初めてわたしと会って、
「だあれ?」と目をぱちくりさせて聞いてくる子もいる。
「碧魚先生だよ〜。(名札ちらっ)よろしくね、○○さん。」
「わ〜ありがとうー!なんでわたしの名前、知ってるのー!」
か、可愛い。
まあ多分、次会っても名前覚えていないだろうけれど。
関わりのない先生、すなわちあまり知らない大人に対してこんな人懐っこい反応をしてくれるのは、本当にこの時期の新1年生ならでは。
あどけなくて、無邪気で本当に可愛いらしい。
彼らに、癒しをもらっているここ最近。
そんなぴかぴかの新1年生たちは、「遊び」が活動の中心だった保育園や幼稚園を卒園して、まだ数週間。
45分間椅子に座っての、実質初めての「お勉強」になかなか慣れない子たちも毎年、一定数いる。
そんな子たちをサポートするために先日、1年生のとあるクラスに入った。
クラスにそこそこいる、担任の先生からの一斉指示を聞いて、なかなか行動に移せない子どもたち。
先日授業のサポートに入った1年生のしゅうくん(仮名)もまた、そんな子の1人だった。
「教科書6ページ、開けるんだって。」
「今、みんなここの問題をやってるよ〜。」
「ここから書き始めたら上手く書けるよ。」
などなど、彼のそばに言ってささやく。
そんなサポートをしながら、彼がたどたどしく数字を書くのをほほ笑ましく見守った。
「この人は助けてくれる人だ。」
そう思ってくれたんだろうか、
数字を書き終わると、わたしの手の平や二の腕をにぎにぎしながら、目を見てふにゃりと笑う。そして、こう呟いた。
「…だいすき。」
きゅん…!!
…はい、可愛さの極みの「だいすき」頂きましたーっ!!
「ありがとう。先生も大好きだよ。」
思わずほほ笑み合う、なにこのきゅんタイム…!!
でもさ、わたしあなたと出会ってまだ10分よ?しかも、ちょっとサポートして褒めただけだよ。
そんな簡単に大人を信じていいのかい…?
「また、ぼくのとこに来てね。」
そう言う彼をクラスを後にし、ちょっと可愛がってもらった道ゆく人にもこんな調子だったりしない?とその人懐っこさに少し心配になったりした。
翌日空きコマがあったので、やるべき自分の仕事もそこそこに、昨日のクラスの様子を見に行ってみる。
(わたしもちょろいな…!)
やっぱりしゅうくんは、話を聞くことに課題があるようで、周りの子たちと違うことをしているので、ほんの少し手助けする。
「また来てくれた。ずっとここにおってよ。」
ぎゅーっとしてこようとする彼に、
「大丈夫大丈夫。ちょっと離れているところから見守っているからね。」
なんて言いながら学習に集中できるように少し距離を取ろうとしたそのとき。
また可愛いらしい笑顔を浮かべながら彼は言ったのだ。
「メイク、かわいいね。」
…メイク、かわいいね………だと???
思わず思考停止し、脳内で彼の言葉を反芻。
「かわいい。」
その言葉は、これまでの傾向として、子どもたちから言われるとしたら低学年の女の子からが多かった。(彼女らが、周りから言われる機会が多いからかもしれない。)
まあしかし実際のところ、わたしの容姿がどうこうというより、学校の中で若めの先生に言ってる、みたいなところはあるのだけれど。
そしてメイクに言及してくるのは、ちょっとおませな高学年の女の子たちが殆ど。
休日にリップやら、チークやらちょっとしたキッズお化粧品に手を伸ばしている子もいるから他の人のメイクにも関心があるのかもしれない。
これまでそんな高学年女子たちに言われたことのあるメイクに関する言葉だと、
「先生、リップの色いつもと違うよね。」
(よく気付いたな…?)
「わ〜、先生今日お洒落してるー!」
(よくお分かりで〜。今日は参観日だから若干メイク濃いんで〜す。)
「なあなあ、今日なんかちょっとチーク濃くない?濃すぎる。」
(だ、だまらっしゃい…!そして後で鏡でこっそり確認すると朝1番だったのと、急いでメイクしたからか確かに濃かった。図星。なんか悔しい。)
この令和に男子が女子が、と主語を大きくして話をするのはナンセンスとはいえども、
誰かに「かわいい」という言葉を使う頻度が高いのも、メイクへの興味関心が高いのも圧倒的に女の子だ。
そしてわたしこれまで30年ちょっと生きてきて、年齢問わずメンズにメイクを褒められたこと、あったかな。
……いやないな。
夫でさえ、わたしが
「なあなあ、今日のメイクいつもとちゃうとこあるんやけど!!」
と話を振らない限りメイクに言及してこない。(多分気づいていない。)
話が若干逸れた。
この世に生を受けて6年、しかも男の子。
知り合って間もない人のメイクを褒めるなんざ、周りの人が愛せずにはいられない生まれもってのとんでもない人たらしなんじゃないだろうか……。
しかし、人懐っこい彼がとても可愛いらしいとはいえ、大人に過剰に関わりを求める子を単なる「甘えたがりやさん」と称して目尻を下げてばかりもいられない。
周りの子より発達年齢がかなり低かったり、愛着に課題を抱えたりしている場合も結構あるから、今後気にかけていく必要がある。
ということで、来週ももし空いた時間があれば、しゅうくんの様子を見に行こうと思う。
…け、決してきゅんを補給しに行くわけではないんですっ……。
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