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令和3年司法試験・民法2 設問2関連の基礎知識と条文語呂合わせ

令和3年司法試験・民法2
設問2関連の基礎知識と条文語呂合わせ
【役務提供債権】
1、雇用(623条以下)2、請負(632条以下)3、委任(642条以下)
語呂→
雇用=ろくに産業(623)がないので、雇用が大問題。
請負=請負で建てた家が無残(632)にも壊れた。
委任=委任を無視(64)すれば、散々(3)な目に遭う。。
【委任】
643条(委任)=委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承認することによって、その効力を生ずる。
注意点1=代理とどこが違うの?
委任はあくまでも一定の法律行為事務の処理を依頼する契約。これに対し、代理は、本人に法律効果が生じる制度。代理権授与行為の法的性質 は、委任に類似しているが、一種の無名契約であると解すべきである(無名契約説)。
注意点2=復委任
復委任は、復代理とは異なる。復代理は、復代理人の法律行為の効果は本人に帰属するが、復委任は、本人に効果帰属しない。例えば、AさんがBさんにある法律行為を委任し、Bさんがその法律行為をさらにCさんに委任して、Cさんがその法律行為を処理した場合、その効果は直ちにAさんに帰属しない。そこで644条の2第2項で代理権を付与する委任の規定を設けている。
656条(準委任)
法律行為でない事務(事実行為)の委託に準用する。ちなみに、雇用や請負に準雇用や、準請負の規定はない。
【債務の責任による類型】
1、結果債務=ある成果の実現が必須の債務。
2、手段債務=結果の実現が必須ではない債務。医者の債務は、病気回復に向けて真摯な努力が求められるが、病気の完全回復を求めるのは困難なので、手段債務になる。医療行為は法律行為ではないので、準委任契約であり、医師が負う債務は手段債務になると考える。
【受任者の報酬】
648条
1項=受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2項の要約=委任事務を履行した後でなければ、報酬を請求できない。ただし、期間によって報酬を定めたときは624条2項<期間経過後に報酬を請求できる>を準用する。
3項=受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる。
1号=委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき
2号=委任が履行の中途で終了したとき
語呂→虫歯(648)の治療代は後払い
【成果等に対する報酬】
648条の2
1項の略=成果に報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要する時は、報酬は、その成果の引き渡しと同時に、支払わねばならない。
2項の略=634条<注文者が受ける利益の割合に応じた報酬>の規定は委任事務の報酬に準用する。
語呂→虫歯に(648の2)成功報酬を
【委任の解除】
651条
1項の略=各当事者はいつでもその解除をすることができる
2項の略=解除をした者は以下の場合、損害賠償しなければならない。
ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りではない。
1号=相手方に不利な時期に委任を解除したとき
2号=委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき。
語呂→委任の解除は、信頼を壊すものでむごい(651)
注意点→2号の(専ら報酬を得ることによるもの)とは、単なる有償委任を意味する。委任事務を処理することによって、受任者が独自の利益を受けることを意味する。例えば、債権取立の委任を受けた場合で、受任者が債権取立という法律行為をしたことで、その債権で、受任者が委任者に対する債務を弁済できることで、受任者が利益を得る場合を指す。
【委任の解除の効力】
652条=620<賃貸借の解除の効力>の規定は、委任に準用する。
語呂→委任の解除の効力は、ろこつ(652)に賃貸借の解除と同じ
【委任の終了事由】
653条
委任は、次の掲げる事由によって終了する。
1号=委任者又は受任者の死亡
2号=委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと
3号=受任者が後見開始の審判を受けたこと
語呂→
婿さん(653)への委任は終了した。
1号、2号、3号はいずれも常識で考えれば、わかること。死んだり、破産したりすれば、法律行為はできない。また、受任者が後見開始の審判を受ければ、
事理弁識能力を欠く状況にある者が法律行為はできない。
【委任の関連条文】
644条=委任者の善管注意義務
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
語呂→受任者は、無私の師(644)たるべき。
これは、会社法の役員の善管注意義務での重要条文なので、あえて語呂合わせなしで暗記を→会社法355条、民法644条
644条の2(復受任者の選任等)
1項の要約=委任者の承諾、やむを得ない事情があるときでなければ、復委任者を選任することはできない。
2項の要約=代理権を付与する委任において、受任者が復委任者を選任した場合、復委任者は受任者と同一の権利と義務を負う
645条=受任者の報告義務
646条=受任者による受け取り物の引渡し等
647条=受任者
【損益相殺】
判例=最判大 平成 5年 3月24日
→●不法行為と同一の原因によって被害者又はその相続人が第三者に対して損害と同質性を有する利益を内容とする債権を取得した場合は、当該債権が現実に履行されたとき又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるときに限り、これを加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。
〔事案〕
1 事故の発生
 被告・Sさんは、昭和61年1月14日午後、普通乗用自動車を運転して和歌山県御坊市の路上を進行中、右道路を横断歩行していた訴外Mさんを自車前部を衝突させて、これにより同人を即死するに至らせた。
2 損益相殺
(一) Mさんの妻・T子さんは、前記のほかに地公共法に基づく金一〇九万七〇五一円の遺族共済年金の支給を受けた。
【要旨】 〔最高裁判所民事判例集〕
1. 不法行為と同一の原因によって被害者又はその相続人が第三者に対して損害と同質性を有する利益を内容とする債権を取得した場合は、当該債権が現実に履行されたとき又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるときに限り、これを加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。
2. 地方公務員等共済組合法(昭和60年法律第108号による改正前のもの)の規定に基づく退職年金の受給者が不法行為によって死亡した場合に、その相続人が被害者の死亡を原因として同法の規定に基づく遺族年金の受給権を取得したときは、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、これを加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。

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