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骨盤のゆがみと、どう付き合うか

フィッティングの事後相談で「ワットの左右値が著しいがどうしたらいいか」というものがあった。

そのお客さんは左右に脚長差があり、脛骨に差異があるためスタッカー(かさ上げ、下駄ともいうw)を入れる必要があった。しかし、Z面(前額面、前から見たところ)以前にXYでかなりの調整が発生したので、身体への負荷が大きいスタッカー挿入は見送ったのだった。

よくある相談、質問ではあるのだが、改めてパワーメーター信仰の根深さを感じずにはいられない。もちろん、数値自体は大事な要素だし、コンディションの管理に役立つし、実力を定量化する意味で便利ではある。

しかし、それがすべてではない。

なぜ、左右差が発生するのか、メカニズムを知って、自転車の調整で済むのかあるいは身体のトレーニングやリハビリ的アプローチが必要なのかを見極める必要がある。パワーメーターに限らず、デバイスが示す数字の意味を読み取り、理解して、どのように対処するかが本来的なデバイスの使い方だろう。

と、偉そうに正論をぶつわけではないのですが、左右差は身体の歪みが原因であることが多いので、自分自身を例が参考になればと思い、ちょっと書いてみる、描いてみる。

話、長いなあww。。。

ぼくは10年前くらいに腸をへその右あたりから開腹手術をしたことがある。なので、切った部分の筋肉は癒着しちゃって股関節を動かすと、左右のバランスが悪い。癒着で突っ張ったぶん、骨盤が右回旋する。なので擬似的に左下肢が長くなって、右の長さが足りなくなる。

あと、右の奥歯がないのもバランスに関連していると思われる。

たいていは足首関節の動きで帳尻を合わせているのだけど、脚の長さ以上に厄介なのはサドルと骨盤(座骨結節)の接地だ。疲労など(ぼくの場合飲酒が大きな位置を占めるww)が周辺部位の緊張を促すと、如実に骨盤がズレてサドルの接地が悪くなる。

そうすると、擬似的に左脚が長くなり連鎖的に肩鎖関節が回旋して、こんどは上肢の長さも擬似的にズレてしまう。サドルに斜めに座っているといえばわかりやすいかも。なので、座骨結節幅98−100mmくらいでもPower Saddleの130幅を使っている。143幅だと、坐骨がズレたぶんサドルの接地箇所はX方向に狭くなり、サドルの前寄りに座ることになる。すると、クッションや断面構造など本来設計のおいしいところで座れないので、長距離や負荷が上がるとお尻が痛くなるし、股関節も痛む。

Shuhei がスケッチを共有しました 7

で、骨盤のゆがみで上半身もゆがむことを防ぐために、グリップ位置を左右で変えてみた。というか、以前からお客さんには使っている調整方法なんだけど、最近は自分にも積極的に取り入れている。それだけゆがみが著しいということ。

バイク部品間の物理的距離は左右非対称なんだけど、ぼくの身体感覚的には対象に感じられて、ペダルを踏むときもバランスがよいです。

骨盤回旋のパターンはRETÜLのDigital Sit-Bone Deviceで測って、観察すると、回旋方向はだいたい見当がつきます。もちろん、その後の観察・評価も加味しますが、立位の各部観察を合わせるとサドルとグリップ位置の調整の方向性はほぼ決まります。

ステムは前輪に並行、ハンドルバーはステムに直角にする必要がありますが、グリップは左右非対称で問題ないです。ハンドリングを妨げる差や、10mm以上になると問題ありですが、そこはフィッターの判断とお客さんとのコミュニケーション次第です。

身体のゆがみが原因なので、整体や整形外科で時間をかけて治したほうがいいですよとアドバイスしても、たいていの人は医療・療術に行かないです。だったら、その時々のコンディションに合わせてバイクを調整すればいいんじゃないというのが、ぼくのフィッター的立ち位置です。

時間はかかるけど、ストレッチや筋トレによる変化はバカにできません。そこはコーチングの分野になるとは思いますが、最近は少しボーダーをまたいでアドバイスすることもあります。動作が追いつけば過度なバイク調整が不用になる場合もあるからですね。そこの見極めも難しいところではあるんですが。。。

またまた長くなったので今日はおしまい。
情報はどんどん公開しますが、ライダー個人個人の可動域に合わせて正しいプロセスと方法でバイクを調整できるのはフィッティングの専門家だけです、と言っておきましょうw

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