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広東語カバーJ-pop をジャズアレンジで聴く。

J-popに限りませんが、日本の曲の広東語カバーソングは80年代後半から90年代前半くらいにピークを迎え、最近はまったくリリースされなくなりました。
直近で確認できた最新の広東語カバーソングは2022年の曾比特《奔跑吧!》(原曲:10-FEET「その向こう」)ですが、おそらく15年ぶりくらいの新規カバーです。そもそも原曲自体が2011年リリースですし、広東語カバーソングの役割は終わりを告げたと言えそうです。

しかし、新規カバー以外、つまり既存の歌の再カバーは今世紀に入ってもぽつぽつリリースされており、一部J-popの広東語カバーはもはや香港ではスタンダードナンバーと化しています。

例えば中島みゆきの「ひとり上手」は1982年に張德蘭が「誰在欺騙我」のタイトルで、1983年に鄧麗君が「漫步人生路」のタイトルで広東語カバーをリリースしているのですが、その後「漫步人生路」の再カバーがわかっているだけでおよそ40曲近くリリースされています(多分もっとある)。
もっとも香港の歌手だけでこんなにいるわけではなく、大陸のキャリアの浅い歌手が唄うことも多いです。広東語が母語ではない歌手もいて、日本人の私が聴いても発音が微妙だったりします。

こういったパターンはほかにも多数あり、20人以上に再カバーされた歌は5曲、10人以上に再カバーされた歌は24曲もあります。

これらの再カバーの中に、ジャズアレンジのものがいくつかリリースされています。
香港はジャズのイメージとは程遠いのですが、曲がりなりにもこういったジャズアレンジの曲がリリースされてビジネスとして回っているという事は、意外と需要があるのではないかな~?と思うに至りました。

今回私の趣味で10曲を選びましたが、選んだ基準は「スウィングしている」こと。リリースされたアルバムの中から出来るだけスウィングしている曲をピックアップしてみました。
ちなみに唄っているのはジャズ専業の歌手ではありません。
もちろんこれら以外にもジャズアレンジでリリースされたカバー曲はいくつかあります。でも女性ばかりで、男性はいないんですよね。今回紹介するようなJ-popカバーに限らず、ジャズはどうも女性歌手のほうがよく頭に浮かびます。

ジャズについて素人の私が曲の解説を書き散らかしてもツッコまれるだけだと思いますので、まずはごゆるりとお聴きください。
では。

安全地帯
「恋の予感」→《一夜傾情》Vocal : 歌莉雅

「じれったい」→《拒絕再玩》Vocal : 陳逸璇

「ともだち」→《如果這是情》Vocal : 趙學而

「ワインレッドの心」→《酒紅色的心》Vocal : 呂珊

吉川晃司/大沢誉志幸
「ラ・ヴィアンローズ」→《不羈的風》Vocal : 歌莉雅

研ナオコ/中島みゆき
「雨が空を捨てる日は」→《人生滿希望》Vocal : 呂珊

中村雅俊
「恋人も濡れる街角」→《雨中的戀人們》Vocal : 歌莉雅

槇原敬之
「三人」→《傻痴痴》Vocal : 胡琳

山口百恵
「曼珠沙華」→《蔓珠莎華》Vocal : 4te! feat. 黃翠珊

「ロックンロール・ウィドウ」→《冰山大火》Vocal : 陳逸璇

いかがでしょうか。
今回ジャズアレンジの曲を紹介しましたが、日本の曲の広東語カバーは判明しているだけで2000曲は下りません。

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