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「ほんのちょっと当事者」

 気候が不安定だ。体調にダイレクトに響く。今まではなぜ自分だけこんな、度が過ぎると思っていたけど、最近になって同じ病気の人たちもそうなんだ、と知ることができたので、気持ち的にちょっと楽だ。本当に冬は冬眠したい。日照時間の関係なのか、冬は格段に過ごすのがきつい。
 とりあえず、本は読めるので、大学の中間課題をぼちぼちこなしつつ、気になった本を読む。

 「ほんのちょっと当事者」想像以上に面白かった。
 著者の青山ゆみこさんは、私の郷里にお住まいで、Twitterで懐かしい私の好きな景色をよくアップされているので、勝手ながらとても馴染みのある方だ。でもご著書を読んだことがなかったので、図書館で予約していた。


 取り上げられている話は、お金の話や、親との葛藤、介護、障害、話題になった(この表現はしっくりこない)ニュースの話など、とても身近で、まるで著者の青山さんと、世間話をしながら色々教えてもらって、きっと大丈夫だよ、と明るく送り出してもらったような読後感だ。

 程度の差はあれ、なんとなく経験してきたことや、言えなかったことや、失敗のあれこれを思い出して、ふっと顔が緩んだり、イタタと思ったりする。
 そしてそんな困りごとのあれこれを取り上げつつも、各章の最後や、本文の中に具体的な解決につながりそうな場所の連絡先がふっと置いてあったりして、困りごとをそのままにするのではなく、みんな解決していこう、という読者をも巻き込んだ前向きな姿勢に元気をもらう。

 私は、なかでも7章の「わたしは「変わる」ことができるのか」は、心にずっしりとした重さが来るような話だった。大阪の大空小学校の話(下に引用します)には、とてもはっとさせられた。木村泰子先生の『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』を読んでみたくなった。

大空小学校の子どもたちは、誰かを排除するという発想をもつ子は、その子自身が「困っている子」であることを感覚的に学んでいる

 誰かを排除するような発想をする人を少し疎ましく、よくそんなことが言えるな、とは思ったことはあるものの、実はその本人が困っている、という発想はなかったな、、と。そういう目を持つことも必要なのだな、と。

 著者の青山さんが、自分の弱さを認識し、認めているところにとても強さを感じる。私には自分の弱さをここまでまっすぐに見つめる強さはまだないかもしれない。

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