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「自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話

 山口祐加さんの「自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話」、発売前から気になっており、手に取った。

 https://note.com/yucca88/n/n10d63915f0b8
 こちらの著者のnoteにもこの本について載っている。これを読んでとても気になっていた。

 私は料理を作るのがとても苦手になったし、食べることも好きではなくなった。これは病気になってからの変化の一つだ。
 前はいらいらしたりしたら、残業から帰って夜中に豚の角煮をぐつぐつ煮たりしていたくらいで、料理を苦痛に思ったことはそんなになかった。料理は当たり前にすることの一つだった。とはいえ、家でゆっくり作って食べる機会も今よりも少なかったが。

 食べることも料理も毎日のこと(料理は外食などの選択肢はあるけれど)なのだが、それがこんなにしんどいのにやらなければならないのか、と悲しくなる。これはなんとかならないものか、とこの本を手に取った。

 なんで料理がめんどくさいのか、最初の章で解説される。単純に料理ができないのは疲れているから。家庭料理と呼ばれる肉じゃがや、ハンバーグはこの一人暮らしが多い昨今、一人前作るには難しい料理だったりするんだよ、などなど。ハンバーグなんかは昔家でよく食べたのに今はできたものを買いがちだったのが、そうか、仕方ないんだなと、罪悪感は少し減ったかも。

 料理とは何か、というところも「そのままで食べられないものを食べられるようにする作業」と。たとえば、トマトに塩をかけただけでも、「そうやって味をつけたら料理」と。それは流石に、とも思うけれど、「そのままではあまりおいしくないものに味をつけること」も料理。料理というのは裾野のとても広い山みたいなものなのかもしれない。

 そのほか料理に関わる話を、山口さんの講座を受けた人たちと、星野概念さんとオープンダイアローグ形式で話したりするところも面白かった。料理を阻む心理的障壁がなんなのか少し分かるかもしれない。でもなんとなく普段からかなり色々頑張れている人の話が多いので、ちょっと私とはちがうのかな、など。

 それで、これを読んで、じゃあ私は料理するようになったのか、というと、そうだったり、そうでなかったり。相変わらず。
 でも少し肩の力が抜けた気もする。リモートなので、仕事の合間に料理の下ごしらえをしてみたり、は取り入れたりしてみた。
 やはりもっと食べることに希望を持つというか、前向きに捉える必要があるかもしれないな、私の場合は。
 とはいえ、この本はとても面白く、また折に触れて読み返したいな、と思っている。
 料理がしんどい時はきっと読み返すと思う。全体的に優しい世界。できない自分を自分を許してあげることが必要かもしれない。



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