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アイドル・ビジネスについての考察

アイドルのイメージとしてファンは推しのグループを支えるため何枚もCDを買い、それがアイドルやマネージメントの収入のメインになっていると思っている方も多いかもしれません。

では実際にメジャーからCDをリリースした場合、どれくらいの金額がマネージメントに入ってくるか計算してみましょう。アーティスト印税は新人だと1〜2%なので税抜き1000円のCD1枚につき20円です。原盤権を半分持っている(その分、音源の制作費を負担しなければなりませんが)としたら5%とした場合1枚50円。音楽出版権を持っていたら30円、1000円のCD1枚あたりマネージメントには多少の差はあれ最大100円程度しか入って来ないのです。つまり1万枚売れればヒットと言われる時代ですが、1万枚でもマネージメントの収入は少なければ20万円、多くても100万円程度にしかならないのです。

アイドルは作詞、作曲のはほぼ関わらないので本人の手元にはスズメの涙ほどの金額しか行かないと思います。

その一方、アイドルはバンド系よりも物販の売り上げは、そもそも多いのですが、さらに魔法の商品、チェキがあります。フィルム1枚60円程度のものが最低でも500円、付加価値をつければ2000円にもなります。当然1点ものなので、Tシャツのように1枚買ったら良いというものではないのでファンの財布を無限に開けることが出来ます。原価3割までとされる物販の製造原価で、これは錬金術並みの商品です。さらに生写真、これもお札をするようなものだとも言われます。さらにアクセサリー・キー・ホルダー(通称アクキー)これも単価も安くパターンが多く作れるのでコンプリート願望が強いアイドル・ファンには悪魔の商品かもしれません。さらに、お話券1分1000円(原価0円!)と言ったさすがに如何なものかの商品もあったりします。100万円の物販なら70万円の粗利が出ます。CDと7倍の利益率の差です。

正直、ぼろ儲けです。マーネージメント的にみてもCDは買わなくて良いからそのお金で物販を買ってもらった方がよほど嬉しいはずです。

ではなぜ、アイドルは、そんなに儲からないCDを出すのでしょうか。CDは出さず、ファンは物販だけを買ってくださいには何故ならないのでしょうか。

まずはアイドルであるというブランドのためかと思います。ただちょっと可愛いだけの女の子のチェキやグッズを買う人はいません、その曲を歌っているアイドルのグッズだからファンは買うのです。

もう一つは所属するレコード会社のためです。配信がメインになりつつあるとはいえ利益化までにが時間がかかる配信に比べて利益がすぐに上がるCDが売れた方がレコード会社は正直嬉しいです(なので日本は配信後進国になったという指摘もあります)

レコード会社はCDを売るために宣伝をしてくれます。ビデオの制作費(100〜300万円)を負担。媒体への有料広告を行い、プロモーターが媒体にブッキング。タイアップも探してくれます。タイアップとは言っても金銭が発生する場合も多々あるので、それも負担してくれます。アーティスト写真の制作費もレコード会社負担ですがマネージメントは無償で使用出来ます。

それによってアイドルは認知度が上がり、コンサートの動員やファンクラブの人数が増え、物販の売り上げもあがります。CMに起用されれば、そのギャランティーはマネージメントの収入になります。

そのためにアイドルのマネージメントは直接的には利益が薄いCDを握手会(今は出来ませんが)等を行い販売に協力します。

ですが2018年以降、オリコンがCDの売り上げ枚数のみで集計するチャートをメインにはしなくなったのでファンに「ベスト10に入りたいのでCDを買ってください」とファンのお願いするのは意味がなくなりました。以前はチャートをハッキングして上位にあげる事で、そのアイドルがいかに売れているかをアピールするトピックになったのですが、今は誰も信用しなくなってしまいました。

ファンがアイドルに喜んでもらえるため、応援するためにCDを買うという構造は無くなりました。

さすがにアイドルでも音楽はストリーミングで聞くというスタイルが主流になってくると思います。一人で同じCDを何枚も買い、結局は捨てるというのもエコではないですね。

コロナで接触の特典会が出来なくなっいる事も含めてアイドル・ビジネスも色々転換期に入ると思います。

なので僕は何か新しいアイドルのビジネス・モデルはないかとつらつら考えているわけです。

ちなみラジオ・ショッピングでアイドルが商品を紹介して電話のオペレーターもやったらめちゃくちゃ売れるんじゃないかというのは思いつきました。




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