アフター6ジャンクションが好きなんです
アフター6ジャンクションというのはTBSラジオで2018年4月から始まったラジオ番組です。ライムスターというラップ・グループのラッパー。宇多丸さんがパーソナリティーをつとめ月曜日から金曜日、18:00~21:00まで生放送でオンエアーされています。
僕がこの番組を知ったのは、前身番組である「ウィークエンド・シャッフル」を当時の僕の部下と懇意にしている友人がリスナーだった事です。どちらか一人なら興味を持たなかったのですが、その二人が面白いと言うのならと思い聴き始めたのが最初です。
サイコロを振ってランダムに自分では絶対に見に行きそうもない映画を見に行き評論する「シネマハスラー」と言う名物コーナーがありました。絶賛の時もあるのですが、つまらない映画はボロクソに言うんです(特に宇宙戦艦ヤマト(実写版)の回は最高だったのでどこかに落ちてるかもしれないので探して下さい)
これを聞いていて、僕はこの映画は自分にとってなぜ面白いと感じたのか、なぜ、つまらないと思ったのかが分かるようになりました。
割と映画館には行く方だったと思うのですが、これを聞く事で映画を観に行くことがさらに楽しくなり、それから年間100前後(2021年度は夜にする事がなく暇だったので130本)を劇場に観に行くようになりました。映画の見方が分かるとつまらない映画はどこがつまらないのがを分析したくなるので、つまらない映画ほど面白いというパラドックスも産まれます。だからどんな映画でも何らかの面白い点があるんです。以前の自分なら絶対に選びそうもない映画を観に行き、観たら良かった(若おかみは小学生)なんて事もこの番組を聞いていなければやらなかったと思います。
番組はアフター6ジャンクション(通称アトロク)月〜金の帯番組になりコーナー名も「ムービーウオッチメン」になりました、以前ほどボロクソに批評する事はなくなりました。宇多丸さんが丸くなって面白くなくなったという意見もありますがクズ映画(たまに”大怪獣の後始末”みたいなのはありますが)が世の中から減ってるような気もします。これも宇多丸さんが公の場で酷評すると言う行為が役にたったのかもしれません。
映画以外にもカルチャー・キュレーション番組と言う事で、映画、音楽、ドラマ、漫画、ゲーム、文学、ファッションがテーマになる事が多いですがスポーツ、フードなど様々なカルチャーな多様な視点で紹介されます。
話は変わりますが、最近、文化が全て村化しているように思うんです。その村の中では有名人であっても一歩、村の外に出ると誰も知らないと言う現象ですね。
例えばあまり聞かないジャンル別の音楽チャートを見ると全然知らないアーティストばかりというの事が増えていると感じる人も多いと思います。
個人的にはyutuberが一般的に大人気というのは情報としては分かりますが自分も見ないし、周りに見ている友人等もいないので全くわからず、そうするとAIからのお勧めもなくなるので全然知らないです、
AIのお勧めだけに頼っていると興味のジャンプ、興味の突然変異が起きなくなると思います。
音楽のサブスクでもお勧めアーティストと出て来ますが、僕のように全くアイドルに興味がないどころか嫌悪していた自分が、ある日突然アイドルにどハマりするなんでAIでは分析出来ないと思います。
20頃までは敵性音楽とすら思っていた山下達郎に代表されるシティポップにこんなにハマるというのもまさかという感じです。
一方、このアトロクは面白いと思うカルチャーをアリゴリズムではなく、スタッフが自分の感性で面白いと思うものをジャンルなどは関係なく紹介してくれるので、いろいろな「村」に飛べるんです。
個人的には「フュージョンなめんなよ」という特集がありました。
https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-485503
これは70年代後半から80年代初頭に流行ったインストルメンタルのジャズとロックをそれこそフュージョンさせた音楽です。80年代中頃にはバンド・ブームに駆逐された恐竜のように突然なくなりました。 僕はリアル・タイムでも通っているのですが、テクニックだけで思想がなく芸当でしかない音楽と思って全く興味が喘いませんでした。ところはこの特集で過去の音源と現行フュージョン・バンドこのアトロクでDEZOLVEを知り、これは面白いと思い、フィロソフィーのダンスの「Don't Stop The Dance」のアレンジを依頼しました。
その後フュージョンにハマり、当時のレコをディグし、DEZOLVEの山本真央樹さんにはCIRGO GRINCOの作曲やアレンジを依頼しています。https://open.spotify.com/track/4PllhLyzvu1stZmv7N06na?si=b07ca8494a4e4f17
https://open.spotify.com/track/7FMmAAaPGemLxm1QuMNDSc?si=7d2be8ba4d5d473c
この特集がなければフュージョンとの再会はなかったとです。
ライブ&ダイレクトという毎回ある音楽コーナーはただ音源をかけるのではなく何らかのエクスクルーシブな音源を放送するというのはBBCセッションズのようでアーカイブとしても歴史的な物になっていると思います。
そのセレクトもアイドルからロック、ファンク、ヒップホップ、DJまで幅の広さも新しい出会いを作ってくれています。
それと楽しいのはそういう文化的な情報だけではなく各曜日パーソナリティーとのたわいないフリートークや投稿コーナも面白いんです。
それでふと思ったのですがかって「宝島」という雑誌がありました。70年代から2015年まで発行されていましたが全盛期は80年代だと思います。
80年代から90年代、僕は雑誌フリークで1日1冊は何かの雑誌を読んでいました。音楽専門誌はロッキング・オン、ミュージック・マガジン、ロッキンF、フールズメイト、情報誌はぴあ、シティロード、漫画はスピリッツとヤングサンデー、カルチャー誌はポパイ、ホット・ドック・プレス、スタジオボイス、クイック・ジャパン、プレイボーイ。思い出せば他にもあると思いますが情報ジャンキーだったんです。
その中でも特に宝島はお気に入りでした。音楽、文学、漫画、小説、映画、一定のジャンルのこだわらずに編集部が面白いと思うものを勧めて来ます。情報だけでなく投稿コーナーのVOWといっただだ笑えるだけの記事やコラムも大好きでこれも構造としてアトロクと似ていると思います。それが僕がアトロクにはまっている原因なのではと感じています。
それとコロナとウクライナ危機以降、テレビを見るのがきつくなりラジオ、ポッドキャストなど音声コンテンツを聞く機会が圧倒的に増えたのですが、音声だけの方が、パーソナリティーが著名人であっても、その人のちょっとしたダークなヴァイヴスを感じてしまい、情報として役立ったりはするのだけれど聞いていて心が疲れるという事に気がつきました。
宇多丸さんのトークを聞いてると、そういった負のヴァイヴスが毒舌を吐く時ですら、全く感じないんです。
人間なので、たまにはそれほど興味が持てないような企画もあるしれないと思うのですが、どんなテーマであれゲストであれ話を見事に引き出してリスナーが興味を持てるように紹介して行きます。
また個人的な話ですが僕がプロデュースしているCIRGO GRINCO(シルゴ グリンコ)を初めて紹介してもらった時に「これは名前を覚えなきゃ」と宇多丸さんに言ってもらえたんです。やもすると「ややこしい名前だなぁ」とか言われかねないと思うんですが、これは嬉しかったですね。
最近では2022年マブ論「アイドル的ソングベスト15」のベスト5の1、2、5位に僕がプロデュースした曲を選んでいただき、こちらも最高のホーメでした。
https://open.spotify.com/track/40DcUPoEWGnMYjdtpEo5yX?si=f56e20d1d3e045ae
https://open.spotify.com/track/4j3PYtiTlbVqf8Bu3le5b1?si=ef6263eb840a414e
https://open.spotify.com/track/5Ps6N8EagDyCIASsX4E8nW?si=7e95f61916b74560
これからも楽しみに聞かせてもらいます。このコラムで気になった人もradikoやポッドキャストで気軽に聞けるので是非聞いてみて下さい。
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