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お金は大切!だけど、本当に大切なのは?『LIFE SHIFT』

こんにちは、げんきです。今回は前回に引き続き本の紹介です。2年前スイスでの新婚旅行中なにげなく読んだことから、私の(私たち夫婦の)生き方へ強く影響を及ぼした本、『LIFE SHIFT』(リンダ・グラッドン、アンドリュー・スコット著)です。

「人生100年時代」がバズワードになり、2017年の流行語大賞にもノミネートされたので、読んだ方も多いと思いますし、読んでない方も「人生100年時代」という言葉自体は耳にしたことがあると思います。


 そんな有名な本なのですが、「人生100年時代」という言葉だけが独り歩きしてしまい、重要なエッセンスがことごとく無視されて広まっているように思います。私の父曰く、「保険屋の回し者…」。残念ながら、同じようなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。


 そのようなイメージの裏にあるもの。「長生きしたら大変になるのは、とにかくお金!」そういった考えですね。当然、お金の問題は無視できない問題ですし、本書に指摘されるまでもないでしょう。


 本書でも、お金の問題には触れていますが、「お金だけではない!」というのが、主要なメッセージなのです。例えば、表紙をめくって一枚目には、『お金偏重の人生を、根底から変える。成長至上の次に来る、新しい生き方。』とありますし、「有形資産(財産・お金)と無形資産のバランスが重要」と、くどいくらい訴えています。

 ここでお金と並ぶくらい重要な「無形資産」とは何か。具体的に「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つだそうです。

以下に整理します。


「生産性資産」…いわゆるスキル・知識のこと。労働者期間が延びる中で常にアップデートが必要。
「活力資産」…パートナー・健康・友人関係のことで、長い人生を彩り豊かにしてくれる存在。
「変身資産」…多様性に富んだ人的ネットワーク・新しい経験に開かれた姿勢のこと。

ここで本書が特徴的なところは、「資産」という言葉を使っていることです。この「資産」という言葉がミソ。「資産」は投資をしないと増えないですし、「投資」をしてもメンテナンスや再投資しないと陳腐化してしまいます。


「変身資産」はさておき、「生産性資産=スキル・知識」や「活力資産=パートナー・健康・友人関係」は、なんとなくできてくる、ついてくるものだという気がしていましたが、ある程度の期間集中してそれぞれの資産への投資をしないと「資産形成」はできない、今までの「なんとなく」は投資ではない、と本書の中では訴えられています。


そして「変身資産」、これは人生において従来の延長性にない、抜本的な変化を遂げようとする際に必要となってくるものです。本書の中では、従来の3.0シナリオ(教育・労働・引退)から、新しいステージを加えた、4.0、5.0シナリオが紹介されていますが、従来とは全く違った新しい一歩を踏み出すためにこの資産が必要になります。新しい生き方といった際に思いつくのが、転職や起業ですが、そんなものは3.0シナリオのうちだそうです。抜本的な新しいステージ(エクスプローラー・インデペンデントプロデューサー・ポートフォリオワーカー)を含む、4.0、5.0シナリオの詳しい紹介はぜひ、本書を読んでみてください。結構ぶっ飛んでいて、このシナリオ紹介だけでも価値があります。


(ただし、登場人物の混乱に注意。ジャック・ジル・ジミー・ジェニー・ジェーン・ジョルジェ・ジュリー…、よくもまあ、揃えましたね…。)
 


本書の価値は何か。それは、普段私たちが無視してしまっている「『人生100年時代』になったときにどう生きますか?」という問い、それ自体だと私は思います。


本書に触れる前の、私の自分の人生のとらえかたはこんな感じ。「青春時代は大学生で一旦終了。今は嫌なことがあっても給料はもらえるしそこそこ充実しているし、定年まで今の会社で努めて~、定年後は田舎で畑をいじりながら趣味に没頭。」極論すれば人生を大いなる暇つぶし、面白いことはあるかもしれないけどそれは待ちの姿勢、というのが、基本的なスタイルでした。


今では考えられないくらいもったいない生き方だと思います。変わったきっかけは本書だけではないですが(多分妻の影響が100%笑)、「無形資産が大切、今覚えている知識なんて陳腐化する!パートナーや周囲の人間関係だって放っておいてもうまく行くなんて、そんな都合の良いことはないんだよ!今までのロールモデルだけではなくて自分で自分の人生を切り開こうぜ!」と本書にマッターホルンのふもとで喝破されたことも強く影響しているのは間違いないと思います。


今回、2年振りに改めて読み返して、「新しい発見がないこと」にびっくりしています。びっくりするくらい今の生き方の基盤になっていて、本書で読んでも「そりゃそうだ。」ということばかりになっているということです。

ここまで自分の血肉になった本も珍しい。もちろん、手放しで本書を信奉しているわけでないですが、私の(私たち夫婦の)生き方を変えたのは間違いないでしょう。


『LIFE SHIFT』 ぜひ読んでみてください。

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