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西武園ゆうえんちリニューアルから学ぶマーケティングの本質

こんにちは、げんきです。

5/27テレビ東京放映の『ガイアの夜明け』が非常に勉強になる内容でした。
以下、概要と気づきを記します。


リニューアルの概要


西武園ゆうえんちは、1950年に埼玉県所沢市に開園したテーマパーク。
昨年開園70周年を迎え設備の老朽化等もあり、来場者は88年の194万人をピークに、19年には38万人まで落ち込んでいました

そんな中、巻き返しのため始まったリニューアルプロジェクトが4年間かけ、先日5/19についにリニューアルオープンにこぎつけました。



時代設定は”昭和”

『心あたたまる幸福感』のコンセプト実現を図ります。


100億円かけた大規模なプロジェクトですが、既存の古いアトラクションには手を付けず、

①昭和時代の商店街を再現した入園ゲートから続く「夕日の丘商店街」
②新アトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」

を中心に設備投資をおこなっているのが特徴です。


【学び①】価値の本質を再定義し、強化し、届ける


今回のリニューアルでは、古くなってしまった既存のアトラクションにはBGMを少し変えている程度で、ほとんど手を加えていません。

以前であれば、「古いなぁ」という感想を持たれるようなものであっても、入口から続く「夕日の丘商店街」を抜けた後であれば、「古さ」ではなく「懐かしさ」を感じてもらえる

そのような狙いがあったということです。

目玉である「夕日の丘商店街」と「ゴジラ・ザ・ライド」へ投資を集中させるために、数々のレトロなアトラクションへはほとんど設備投資をせず、ゲストの感じ方を変えることで価値を向上させる、といった手法。


日本の各地に老朽化してしまった設備がありますが、それらをよみがえらせることは日本の大きな課題だと思います。

既存の施設を取り壊し、再度新しいものを作り上げるのは非常に労力がかかります。

既存の施設を生かしながらも、魅力の本質を見極め、強化し、価値を届ける、といった今回の手法は様々な場面で有効ではないか、と感じます。

〇今回の事例
本質  = 懐かしさ
強化策 = 商店街での演出、接客の見直し


マーケティングとは経営そのもの


マーケティングというとマーケティングリサーチや広告宣伝活動の印象が強いですが、多面的ななものであり、マーケティング=経営そのものといっても過言ではありません。

今回の番組内ではそういった本質的なマーケティングをされているという印象を強く持ちました。

その中から、2点ほどポイントをピックアップします。


【学び②】一貫性を持たせること


まずは、コンセプトに一貫性を持たせること、です。

今回の例で言えば、『心あたたまる幸福感』といったコンセプトで時代設定は昭和

当然、「夕日の丘商店街」も新アトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」も、従来からのアトラクションエリアも昭和の世界感で貫かれています

新アトラクションも昭和からの名作である「ゴジラ」をテーマに置き、昭和の娯楽の王様である映画館をモチーフにした外観の建物内にて楽しむことができます。

接客面でも、従来からの丁寧かつ親切な接客に加えて、おせっかいな『ふれあい』を前面に出すことで、懐かしい昭和を演出します。


世の中のプロジェクトを観察すると、
そもそもコンセプトがないもの
コンセプトがあっても一貫性のない取り組みが乱発しているもの
も非常に多くみられ、その多くは苦境を脱することができていません。

リニューアル前の西武園もコンセプトが明確ではありませんし、どんな意図かわからないキャラクターなどまさに失敗するプロジェクトの例だったように思えます。

『コンセプトを明確化すること』
『細部までコンセプトに沿った形で一貫性を持たせていくこと』

これらが非常に重要であることを改めて気づかせてくれる好例でした。


【学び③】戦術・実行ベースへ落とし込む組織開発


最後に、マーケティングの要諦は組織開発にあるということ

コンセプトを考え、それに沿った戦略を立てたうえで課題になるのは、どのように実行していくのか、といった点です。

一つ目が、『コンセプトメイク』『戦略』の段階であったとしたら、二つ目は『戦術』+『実行』の段階です。

今回の例でいえば、昭和の街並みを商店街や新アトラクションで表現をするといったハードの部分に加えて、いかに昭和のノスタルジーを接客で表現をするかといったソフトの部分での改革にあたります。

徹底した従業員教育を行い、コンセプトに合った接客の必要性を組織の末端まで浸透させます

社員研修に加え、現場でも気づいた点を指導する立場の社員が都度都度指摘をしていきます。

「夕日の丘商店街」の従業員には、それぞれのお店のプロフィール(どのようなお店か、設立は?住所は?電話番号まで!)を配ることで、商店街を愛しお客様へ熱をもってお伝えできるような仕掛けまで作っています。


いかにコンセプトがよいものであっても、実行するのは組織における社員であり、実行がなければコンセプト倒れしてしまいます。

『戦術』『実行』に落とし込んでいくための組織開発と仕掛けづくりが有効なものになっているかどうかが、コンセプト倒れになってしまうプロジェクトから脱するポイントなのかもしれません。


マーケティングからは程遠い世界で生きてきたサラリーマン中小企業診断士が送るマーケティングトレースも今回で第3弾になりました。

より良い学びにするためのご意見、ご感想などお待ちしています。


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