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銀座は誰も拒まない。~ワークマンの銀座進出について~

銀座とは何か。
何が銀座に惹きつけるのか。

そのようなことを考えるたびに行き着く答えがある。
銀座とは消費社会の象徴で、虚像と欲望とが入り乱れた場所である。
そして、それは資本主義経済の本質が顕在化したものであると。

ワークマンが銀座進出をこの度果たすとのことだが、以前入居していたテナントはLAOXである。そう家電量販店である。銀座での役割は主に免税店として、旅行者への買い物の場を提供していた。しかし、近隣の商業施設に免税フロアが増え、相対的必要性は薄れ、旅行者の流入が止まったことにより、ついには撤退せざるを得ないこととなった。

ここに、郊外を中心に専門店として力を蓄え、ワークマン女子という業態で、大衆化路線を突き進んでいるワークマンとしては、錦の御旗を掲げるにはこれ以上のタイミングはないだろう。
しかも、困っている商業施設側に対して、要求も突き付けやすく、記事によると、商業施設ではかなり低い部類に入る賃料設定(売上比4%※通常は20%前後)で入居が決まったとのことだ。

異例のとは述べたが、おそらくLAOX自体もそこまで高い賃料設定ではないが、約90坪で、年間6~7億売上目標とのことなので、売上坪効率は56万円でかなり高く、月額賃料は約200万なので、坪当賃料2.2万円となり、銀座としてはかなり安い賃料相場になるものの、それなりには払っているので、商業施設側としても話が実現したのではないだろう。

商業施設運営という部分で見てきたが、銀座という街で見ていくと、記事にある通り、あまたの小売業者が進出していきた。衣料品に限らず、飲食からラグジュアリーブランドまで、価格設定の多寡にかかわらずその時代時代の勝者たらんとするものが、進出を果たしてきた。

それはなぜか、一面的に見れば、ここが消費社会における日本一の場であるからだ。それは売上高に限らず、街としてのブランド力と言われる無形の力であろう。
しかし、もう一方から見ると、その無形の力を背景に、銀座という街自体がその時代時代の勝者たらんとするものを吸収してきたという考え方もできる。

中央通りにおいては、松坂屋がテナントビルのG6に生まれ変わり、三陽商会がビルを売却し、オンワード樫山が撤退するなどかつての百貨店パワーは減退し、ブティックが立ち並んでいた並木通りからは次々とアパレルが消え、ブランド買取専門店等の出店が多くみられるようになった。

社会が変われば、銀座も変わる。銀座が変わることで、社会の認識も変わる。あの”銀ブラ”と言われた時代からはや100年、来街者が変わっても、銀座が日本一であることは変わらない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08DYD0Y2A200C2000000

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