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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』小ネタ集 ネタバレあり

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』=EEAAO


1.オープニングで丸鏡の中でカラオケをするエヴリン、ウェイモンド、ジョイの姿が映るが、その丸鏡の丁度右側にアライグマの剥製が飾られている。これは後に登場する『ラカクーニ』を予期させる。

2.オープニングで家族が一緒にカラオケを歌っているシーンでエヴリンはジョイの口を一瞬塞いでいる。これは観客には聞こえないが、歌われているのはアクアの「愛しのバービー・ガール」で、母親エヴリンとしてはジョイが "You can comb my hair / undress me anywhere "という歌詞を歌うのを止めようとしているため。観客のQ&Aによると当初の意図では映画の中でこの曲をもっと大きく取り上げ、最後は大人数で一緒にカラオケで歌うというものだったという。しかし、最終的にはこの曲への言及はすべて削除されている。

3.映画の冒頭、ジェニー・スレイト演じるドッグママが洗濯物を受け取るために提示するチケットの番号は「42」。この数字は『銀河ヒッチハイク・ガイド』で「人生、宇宙、そしてすべてに関する究極の疑問の答え」として有名な数字である。

4.エヴリンとウェイモンドが乗っているコイン・ランドリーのバンは、アルファバースのアルファ・ウェイモンドたちが使っているのと同じバン。

5.エヴリンが用具室に吸い込まれる印象的な高速ショットは、特殊効果ではなくすべてカメラで実際に撮影されている。カメラのフレームレートを大幅に下げ、ミシェル・ヨーがスローモーションで用具室へと押し込まれる演技をすることで、この効果を実現している。これを通常の速度で再生するとスムーズに表示された。

6.ウェイモンドが食べたリップクリームは勿論撮影用。実際にはチョコレートで作られている。

7.ディアドラの飛び膝蹴りを目前にエヴリンが「ア・イ・シ・テ・ル」と伝えバースジャンプするシーンで、エヴリンが両手を突き出し後ろ方向にあらゆる場所を駆け巡る8秒のシーンは監督が1年掛けてロケハンした映像をまとめたもの。

8~22.プロレスラーのディアドラに追われるエヴリンにバース・ジャンプのジャンプ台を伝えるアルファバースメンバーのコンピューター上に表示されたジャンプ台
%は成功率
・Break Arm(腕を折る) 0.0054%
・Pee Self(お漏らし) 0.0002%
・Remove Toe(つま先を外す) 0.0031%
・Take Nap(居眠り) 0.0028%
・Profess Love to Deirdre(ディアドラに愛の告白) 0.01%
・Rip out all hair(髪の毛を全て抜く) 0.0091%
・Jump out window(窓から飛び降りる) 0.0006%
・Break nose(鼻を折る) 0.000754%
・Lick elbows(肘を舐める) 0.00026%
・Sneeze 200 times(200回くしゃみする) 0.0077%
・Repair Father Relation(父と和解する) 0.001%
・Airflares(エアートラックス→ブレイクダンスの技名) 0.000821%
・Write a Novel(小説の執筆) 0.0063%
・Bite tongue off(舌を噛み切る) 0.000439%
・Poke eye out(目玉をつつき出す) 0.0092%

23.映画スターになったエヴリンのユニバースでは『クレイジー・リッチ!』(2018)のプレミア映像など、レッドカーペットに登場した実際のミシェル・ヨーの映像が使われている。(背景に"CRAZY RICH ASIANS"のパネルが映る)

24.ジョブ・トゥパキが両手に持ったディルドで警備員を倒したあとキメポーズをしたあとに笑っているが、実際にはこのカットの後にステファニー・シューが笑った瞬間を監督が気に入り本編に採用されている。

25.エヴリンがお漏らしでホットドッグフィンガーのユニバースにバース・ジャンプする際に見える光景ではダニエル・クワン監督がホットドッグを持って映っている。

26.ダニエル・シャイナート監督は『2001年宇宙の旅』(1968年)のパロディシークエンスでホットドッグの指を持つ猿をすべて演じている。

27.EEAAOでエヴリンが言及するアライグマのシェフが登場する映画『ラカクーニ』は『レミーのおいしいレストラン』の原題"Ratatouille"(ラタトゥイユ)にかけている。

28.『ラカクーニ』ユニバースでチャドの初登場シーンではよく見るとコック帽からラカクーニのしっぽが飛び出しているのが見える。

29.ラカクーニの声はシンガーソングライターのランディ・ニューマンが演じている。(クレジットなし)このキャスティングは、2007年のピクサー映画『レミーのおいしいレストラン』(2007)への言及の一つである。ニューマンは『レミーのおいしいレストラン』には参加していないが、他の多くのピクサー作品(『トイ・ストーリー』(1995)の4作品を含む)の曲やスコアを書いている。また『モンスターズ・インク』(2001)、『カーズ』(2006)シリーズ2作、『バグズ・ライフ』(1998)など、多くのピクサー作品に曲を提供しており、いわばピクサーのお守りのような存在である。

30.ダニエル・シャイナート監督はオフィスに秘密のSMルームを持つ国税庁職員を演じている。彼の机の上のネームプレートには "リチャード・ロング "の名前が刻まれており、シャイナートが監督も務めた『ディック・ロングはなぜ死んだのか』(2019年)でも同じ役を演じた。

31~38.アルファバースチームのバース・ジャンプのジャンプ台(SM部屋の前でエヴリンを待ち構えアルファ・ゴンゴンの指示でバース・ジャンプするシーン)
・両手を広げて大きく舞う(?)
・髪の毛を引き抜く
・アヴェ・マリア(エレンの歌第3番)熱唱
・顔をテープでぐるぐる巻きにする
・ランプをファックする
・照明に手を突っ込み感電
・柱をめっちゃ舐める
・お尻の画像を複合機でスキャン

39~45.歌姫エヴリンにバース・ジャンプした際にアルファバースのコンピューターに表示されたエヴリンの獲得スキル
・Strong Self Esteem(強い自尊心)
・Stronger Imagination(強力な想像力)
・No Stage Fright(緊張しない)
・Proud Father(父への尊敬)
・Enhanced Hearing(高い聴力)
・Improved Mobility(向上された可動性)
・Increased Lung Capacity(肺活量アップ)

46.偽の「エンドクレジット」シーンは今敏監督の『パプリカ』(2006年)を参考にしている。

47.登場人物たちの話す言語
エヴリン→ゴンゴン(父親):広東語
エヴリン→ウェイモンド(夫):中国語
エヴリン→ジョイ:中国語、英語
ジョイ→エヴリン:中国語(苦手)、英語(上手)

48.EEAAOのVFXは監督2人を含むたった9人ですべて行い、そのうちの大半のショットは5人のメンバーを中心に制作されている。VFXを担当したチームメンバーは誰一人VFXの専門学校に通っておらず、オンライン上の無料チュートリアルを使って独学でVFXを学んだ友人同士です。

49.ジェームズ・ホン(ゴンゴン)は撮影中91歳で、アクションシーンでは5人がスタントを務めた。そのうちの一人はホンの代役を務める名誉のために自ら頭を剃ることを志願している。

50.ウェイモンドがエヴリンに対して"Snap out of it""(いい加減にしろ)というシーンではキー・ホイ・クァンが『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』で演じたショート・ラウンドと同じ口調で言う。『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』では邪教の司祭モラ・ラムに洗脳されたインディがウィリーから同じセリフ"Snap out of it!"と言われている。

51.エブリンとジョブ・トゥパキが石になるシーンは当初台詞が音声で流れる予定であったが、ミシェル・ヨーの提案により字幕を流すことになった。

52.ミシェル・ヨーとステファニー・シューはそれぞれ別のインタビューで石のユニバースがお気に入りであることを明かしている(ただし、両者ともこのユニバースのシーンには出演していない)。

53.当初監督は彼らの監督作『スイス・アーミー・マン』に出演したダニエル・ラドクリフにEEAAOへの出演をオファーしたがスケジュールの都合で実現しなかった。後のインタビューでダニエル・ラドクリフは監督ダニエルズのことを「おそらく世界で唯一、脚本も見ずに彼らの映画をやることにイエスと言える人たちだ」と述べている

54.当初監督はEEAAOの主演をジャッキー・チェンを想定して執筆していたが最終的に夫婦の関係の方が物語に説得力を与えると考え、主役を女性にすることにした。最終的に主役は、ジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー3』(1992)の共演者であるミシェル・ヨーに決定している。

55.税務署のディアドラのデスクにはネコの写真が複数飾られているが、ソーセージフィンガーのユニバースではエヴリンと同棲している部屋にもネコの写真が飾られ2人はネコを飼っている。
ディアドラがコインランドリーに警察と現れるシーンでも猫の顔だらけのバッグを持っている。

56.あらゆる可能性の中で失敗の道を歩み続けたユニバースのエヴリンを演じたミシェル・ヨー自身は、脊髄損傷によってプロのバレリーナになる夢を早々に絶たれ過去を持つ。EEAAOではその彼女があり得た世界線の自分自身の能力を借りて戦う。

57.ジェイミー・リー・カーティス演じるディアドレ・ボーベアドラの外見はIRS職員のストックフォトが元になっている。Mike Simonsが撮影した写真には「Kathleen Malone works on tax returns at the Cincinnati Internal Revenue Service Center April 8, 2005 in Covington, Kentucky」とキャプションがあり、同じ髪型、黄色のタートルネック、薄い黄色のニットベスト、眼鏡、ネックレスをつけたIRSの職員が写っている。

58.当初オークワフィナがEEAAOへの出演で交渉中と報じられていた。最終的に出演が叶わなかったがジョイの役であったと言われている。(本作は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』とキャスティングディレクターが同じでステファニー・シューも同作に出演している)

59~75.神殿でエブリシング・ベーグルを覗いたときにエヴリンが見たユニバース
・ホットドッグフィンガー
・カンフー俳優
・税金申告
・春節
・若い頃
・銀河
・天灯(ランタン祭り)
・看板回し
・土俵
・近未来
・火事
・ロボット工場
・雪景色
・鶏肉工場
・『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』のワンシーン?
・山
※追記:パンフレットの見開きページにすべてのカットが掲載されていました。

76.ジョブ・トゥパキのK-POP風の衣装では額に張り付いた髪がJOBUとなっている。

77~116.ウェイモンドをガラス片で刺したあとにエヴリンが見たユニバース
・猫顔
・防疫装備の人がいる荒野
・目から黒い液体
・目出しガスマスク
・『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』のワンシーン?
・黒い霧
・オーク顔
・顎髭スキンヘッド 右目下に十字タトゥー
・火事
・シスター
・アニメ
・石像
・SFの棒使い?
・赤ちゃん
・マッチョ男
・傘帽子
・邪教シスター?
・中国貧民
・黄色いキャップ被ったゾンビ
・中国着物
・マスカレード
・虹のかかった中東
・レイバンぽいフレームのメガネ
・白セーター
・象使い
・ドクロ
・人面木
・アフロ
・ブロンドギャング
・人面犬
・白装束の奴隷
・ぶどう
・5人でzoom会議
・浜辺
・古いガスマスク
・金髪ボブ
・緑エイリアンとピラミッド
・イルミナティ
・教会ステンドグラス
・テニス
※追記:パンフレットの見開きページにすべてのカットが掲載されていました。

117~148.高速で変化するジョブ・トゥパキの武器
※目視できたものを記載しているので見間違えている可能性もあります。
・ナタ
・斧
・シャベル
・スコップ
・船のオール
・ファイヤダンスの松明?
・トライデント
・ちっちゃいサメ
・鳥の剥製?
・バゲット
・鹿の骨
・ニワトリ
・テニスラケット
・バイオリン
・スキーの板
・フォームフィンガー
・燭台
・ムジョルニア?
・包丁
・骨
・ブーケ
・バンジョー
・帽子かけ
・デッキブラシ
・フライ返し
・エクスカリバー?
・マインクラフトっぽい松明
・マインクラフトっぽい骨付き肉
・きのこ
・杖
・オスカー像!!!!
・黒ベーグルの旗

149.エブリシング・ベーグルとギョロ目は白と黒の配置が真逆。
エブリシング・ベーグルによって崩壊の危機に瀕する世界をウェイモンドの優しさの象徴でありエブリシング・ベーグルと対の存在のギョロ目で覚醒することによってエヴリンは全員を救う方法ことを選び世界すらも救うことになる。

150.最終的に削除されたが自分の遺骨の入った骨壺をエヴリンが演じるシーンが当初あり、その名残としてアルファ・ウェイモンドがジョブ・トゥパキにやられる直前、彼は骨壺を抱えている。
※追記:エヴリンが絶叫するシーンで蓋の開いた骨壷が悲鳴をあげているシーンが登場する。

151.超強力な小指を手に入れたエブリンが攻撃してきた相手を1人上に飛ばす。効果音は『大乱闘スマッシュブラザーズ』のクリティカルヒット時のもので、プリンのねむるがヒットしたときやホームランバットで対戦相手が遠くへ飛んでいく場面で使用されている。

152.映画全体を通してエブリシング・ベーグルへの言及として、さまざまな種類の円が繰り返しモチーフとして登場する。エヴリンは離婚届にサインする前にウェイモンドとの関係を「ぐるぐる回っている」と表現し、ディアドラはカラオケマシンのレシートに混沌とした黒い円を描き、コインランドリーの洗濯物はぐるぐると回り続け、「映画スター」のユニバースでは黒い輪が描かれたマンホールの蓋が前景として繰り返し出てくる。

153.当初映画は2時間45分の長さであったが最終的に2時間20分までカットされている。編集のポール・ロジャースは映画が25分カットされた理由として、オリジナルのエンディングではほとんどすべてのキャラクターの物語を包み込みベーグルに向かい階段を上る最後の行程を凄まじく長くしたことを話している。「最初のカットは2時間45分だったと思うので、そこから30分ほどカットしている。映画の序盤に登場するキャラクターや戦闘シーンが最後に再び登場するのですが、彼らのストーリーはとてもきれいにまとまっていました。私たちのエンディングは最後にジョイがベーグルに手を出さないように階段を上がろうとする場面だけで45分もあることに気づきました。大げさかもしれませんが、とても長かったんです。そしてすべてのストーリーの結末を見る必要はないのだと気づきました。ジェニー・スレイト(犬連れの女性)が誕生日パーティーで赤ちゃんとZoomコールしているのを見る必要はないんです。その瞬間はとてもクールで面白く、素晴らしいものばかりなのですが、すべてを合わせるとコップから溢れ出てしまいます。削除されたシーンの一例としてスパゲティ・ベビー・ヌードル・ボーイというユニバース(後述)があったのですが、そのユニバース自体を映画から削除しています。」

154.ジョブ・トゥパキ名前の由来
"ポッドキャストでのダニエル・クワン監督の発言「僕と妻は赤ちゃんの名前を考えていて言うたびに口の中が楽しくなるような名前がいいなと思ったんです。ちょうどミランダ・ジュリーの『最初の悪い男』を読んだところだったんです。この物語の中には彼女が求める想像上のスピリチュアルな赤ん坊がいるんです。だから彼女は赤ん坊を見るたびに「あれはクベルコボンディか?私が探していた赤ちゃんはあなたなの?"って。彼女は宇宙に自分のソウルメイトとなる赤ちゃんがいると思ってる。だから「クベルコボンディ」っていうのはすごく楽しい言葉なんだ。それで妻にジョブ・トゥパキとかいろいろな名前を投げかけました。もし私たちの子供にジョブ・トゥパキという名前をつけたらどうだろう、毎日その名前を言うのはとても楽しいだろう?というのが、正直に言うとバカバカしいですが由来なんです。 そして、このキャラクターに名前をつけることになったとき、私は文字通り何の意味もないという事実が気に入りました。それは、ただ経験における探求なんです。知的な意味ではなくそれを口にしたときの体験なんです。この映画はそういう映画でありたいと思いました。私たちは理解しようとする試みを打ち破って、ただ感じたいと思ったのです。この映画には彼女が「なぜ」それを名付けたのかを明らかにする別の世界での物語があります。あるユニバースでは誰もが鍋の中のスパゲッティで、1サイクルごとにスプーンが降りてきてスパゲッティを1本選び、運が良ければ壁に投げつけられ、壁にくっついたら大人になれるという儀式があります。それが通過儀礼です。大人になれば名前をつけてくれるんです。ジョイはこのユニバースを旅して、初めてあらゆるユニバースの中で受け入れられたと感じるわけです。彼女は壁に投げつけられたスパゲティでジョブ・トゥパキiと名付けられたのです。
下記ポッドキャストの20:00〜23:00くらい

※追記:本編中にワンカットのみ素手でパスタを投げるシーンが登場するので、恐らく当初の脚本から残されたシーンだと推察されます。

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