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『BLEACH』 2巻 感想

概要

著者:久保 帯人

初版発行:2002年
デジタル版発行:2012年
発行所:集英社

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発行者による作品情報

【デジタル着色によるフルカラー版!】あの子を助けて…。インコについた霊のわずかな気配をたどり、チャドをさがしていた一護らは、衰弱した夏梨と出会う。霊に共鳴し涙ながらに訴える夏梨。虚に狙われることとなったその霊の悲しき過去とは…!?
Apple Books|久保帯人『BLEACH カラー版 2』

感想

 前半に出てきた虚・シュリーカーは、BLEACH全キャラの中でもトップクラスのゲス野郎です。生前は連続殺人犯として殺しを繰り返し、死後は逆恨みからシバタ(インコに憑いていた少年の霊)を利用して外道な"ゲーム"を楽しむ。
 そら一護もブチギレる。ただでさえシバタの霊と共鳴した夏梨が苦しむ様を見ただけに尚更。ヒル(小型爆弾)を口の中に押し込み、舌(起爆装置でもある)を引っこ抜き、脚に斬魄刀をぶっ刺す。その上、普段からは想像もつかないドス黒い台詞を吐きつけました。

…これでテメエは動くことはできねぇ
武器を使って戦うこともできねぇ
…どうだ?
少しは味わえてるか!?
殺される側の気分ってやつを!!
デジタル版90-91頁|12.The Gate of The End
…そうだよ…怖えーだろ?
自分の足ちぎってでも逃げ出したくなるぐらいの…
…忘れんなよ…
その恐怖を!!
頭のシンまで叩き込んだまま消えろ!!!
デジタル版91-92頁|12.The Gate of The End

 そしてシュリーカーは罪を洗い流され尸魂界へ…なわけがない。斬魄刀で落とせるのは「虚になってからの罪」だけ。生前にも大きな罪を犯した彼は地獄へと叩き落とされました。
1巻の感想で「"死後の"罪を〜」という書き方をしたのはそういうことです。

 後半は打って変わってギャグ成分強めです。一護も言っていましたが、改造魂魄の話は倫理的に結構重い話なのに、ルキアの図解で台無しです(笑)

一護「ああッ!ちくしょう!!見失っちまったじゃねぇか!!」「俺を!!」
ルキア「モラトリアムだな。」
一護「そんなわかりづらいツッコミしてる場合か!!」「ちゃんと俺……っていうかアイツをつかまえねーと…」
ルキア「ややこしいな」
デジタル版153頁|15.Jumpin' Jack, Jolted

 このくだりは、BLEACHのギャグシーンの中で一番好きなものです。

 でも改造魂魄の話は闇が深い。死んだ人間の体に改造魂魄を入れて尖兵に使おう(結局「それは非道だ」として廃案になりましたが)だの、勝手に魂を産み出しておいて勝手に亡き者にしようだの、(人間基準で見たら)どうなっているんだ尸魂界の倫理観は。
 その分、一護の体を借りた改造魂魄の"命"に関する言い分は凄く心にくるものがありました。自分が勝手に殺されなくてはならなかったから、他者の命を勝手に奪わないようにする。"命"なんて大仰なものじゃなくても凡夫にはなかなか出来ないことだと思います。

 前半も後半も、一護の優しさと迷いが円満に終わる鍵になっているのが良いですね。それでこそ"主人公"だと思います。

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