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再注目!しびれる旨さが特徴の「ジャパニーズペッパー」とは?

小さなブドウのような見た目が特徴の「ぶどう山椒」が世界中で「ジャパニーズペッパー」と呼ばれ、再注目されている。私自身、焼き鶏屋でたれ系の串を注文する際は必ず山椒もリクエストするほどの山椒好き。自炊する際も、お肉料理や卵料理には欠かさずプラスしている。山椒には、ワサビほどのパンチやトウガラシのような圧倒的な「辛味」はないが、スーッと抜けるような香りと舌のしびれが長く続き、お料理に程よいさわやかさをプラスする。海外ではチョコレートやアイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品にも合わせられるというから、その使い道は無限!

指で簡単にプチっとつぶすことのできるぶどう山椒の実

今回はそんな「ぶどう山椒」の魅力を知るために、産地訪問でうかがったことを記録しようと思う。お話を聞かせていただいたのは、山椒農家の新田さん。ご自身も山椒が大好きだそう。

きとら農園の農園主、新田さん。このあたりの山椒農家の最年少!

国内でも7種類!特徴の異なる山椒の種類

あまり知られていないが、山椒はみかんや柚子と同じ、柑橘の仲間だ。兵庫県原産の「朝倉山椒」や岐阜県でもともと自生していたという「高倉山椒」、それらから派生した品種を含めると有名なもので7種類ある。その中で「ぶどう山椒」は和歌山県有田川町うまれ。皮が薄くて実が大きく、とにかく味が濃い!他の山椒に比べてシトラス感も強いので、山椒好きには人気の品種といえる。新鮮な山椒は柚子っぽい香りがしますよ、と残っている実を収穫していただいた。確かに、軽くつぶすとさわやかな柚子の香りが。

ぶどう山椒の花・実・葉

一般的に山椒の葉は「木の芽」と呼ばれる。他の種類の山椒にくらべて大ぶりでとんがった形のぶどう山椒の葉は、良く知る木の芽のイメージとは少々異なるが、もちろん食べることができる。ただし、主に商品化されるのは実の部分で、5月と6月は生のまま、それ以降は粉山椒用に乾燥させられて流通される。実がなる前の4月には花山椒も収穫されるが、1つの木につき2~3日しか収穫のチャンスがない為、流通量はかなり限られる。更に花山椒は他のお花と同様、乾燥や暑さに弱いので、収穫したその日に発送しなければならない。
花山椒は辛味が少なく、かなりマイルド。それでいて山椒独特の香りや風味はしっかりと味わえるので、出汁のお味のお料理にもよく合う。星付きレストランや京都の料亭などからの引き合いが多いらしい。是非味わってみたい。

しゃぶしゃぶがおススメ!きとら農園から産地直送の花山椒

良い山椒は色と香りで見分ける

新田さんが撮影のために、1つ山椒を開けてくださった際、まずその色の美しさに驚いてしまった。抹茶のような鮮やかな緑色で、その粉はふわっと舞い上がるほどに細かい。実山椒同様、こちらもしっかりと柑橘の香りがする。こちらの農園では、乾燥させてから粉にするまで、すべて農園内のコウバで行っているそう。手で良い実を選別した後、機械を使わず、石臼で挽くので香りの良さがしっかりと残っている。粉の粗さも均一に見えて均一ではない。

色が美しすぎる!こだわりの詰まったきとら農園さんの山椒。本王に鮮やか。

山椒×スイーツをマスターする

中華料理のイメージの強い山椒だが、実は中国で一般的に使用される山椒は「花椒」といって、日本の山椒とは香りが異なる。ぶどう山椒をはじめとする日本の山椒は辛味よりも香りが強く、花椒と比べてさわやかだ。なので、山椒イコール中華料理、と結び付けてしまうのは勿体ない!
きとら農園さんのお取引先は、日本料理屋はもちろん、イタリア料理店やフランスのショコラティエなど、さまざま。柑橘のスパイスをプラスさせる要領で、ホットチョコレートやココア、バニラアイスクリーム、ヨーグルトなど、まずはなんにでも振りかけてみることをおすすめしたい。市販の山椒には上記記載した「花椒」があらかじめブレンドされていることが多いので、国産山椒100%の山椒を知っておくとスイーツとのアレンジがとてもやりやすい。きとら農園さんの粉山椒ももちろん、山椒100%。

きとら農園さんの自慢の山椒は1袋¥480から。

きとら農園新田さんについて

有田川町の役場から、「おもしろい山椒農家さんがいますよ!」と紹介していただいたのが新田さんとの出会い。Uターン就農の新田さんは、自衛隊として勤務されたのち、結婚を機に和歌山に戻ってこられたそう。有田川町の山椒農家で、最若手だ。
「少々畑までの道が分かりにくいかもしれません!」との事だったので、近くの道の駅で集合した。山椒畑にたどり着くまで、かなり山をのぼる。わりと急な傾斜の中で栽培されている山椒。除草剤は使わずに、手で草刈りをされているらしい。夏場は本当に大変そうだ。

急に雨が降ってきたので、農園の中にあるコウバで雨宿り中。

しかし、栄養をたっぷり含んだリッチな土で、なるべく自然に近い環境で育てた山椒はやはり一味も、二味も違う。香りがよく、シビれもしっかりと感じられるきとら農園のぶどう山椒は、初めてのフランスの商談会への出品でも大成功を収めたそう。現地でチーズやチョコレートと合わせられる山椒を見て、ご自身も山椒のこれからの可能性の大きさを感じられたという。ヨーロッパではオーガニックかどうかも重要な判断基準になってくるので、有機栽培にも積極的に取り組んでいるそう。

かつて弘法大師空海が祈祷をし、田を開いたのと言い伝えられるのがこちらの地域。「祈祷田(きとうだ)」が訛り「きとら」と言われるようになり、それがこの地域の呼び名になった。農園の名前の由来はここからきている。

途中で雨は降ったが、雨宿りの間も色んなお話を伺えて大満足の一日。最後に、新田さんが山椒の収穫の際に使われているブルーの籠が非常に気に入ったので、帰り道に道の駅で購入した。

山椒収穫時に肩からかけられる小さなブルーの籠は道の駅で¥800。近隣のおばちゃんの手編み。

まとめ

スパイスや調味料を知っているだけで、お料理の幅がかなり広がる。山椒はお塩と混ぜれば山椒塩になり、天ぷらにもよく合うし、ポン酢に混ぜても柑橘の風味がさらにプラスされておいしい。親子丼、出汁巻き玉子、おうどんなど、お出汁の香る食べ物との相性も抜群だ。
山椒のシビれ成分(サンショールというらしい)はその次に食べたものの味を引き立たせる効果もあるらしく、甘いモノ、辛いモノの制限をされている方が食事前に山椒を舐めると薄味のものも充分な甘さ、辛さに感じて満足できるらしい。まだまだ知らない魅力のありそうな山椒。引き続き注目していきたい。

きとら農園さんのその他の商品は、こちら


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