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国際協力の仕事(就職編)

開発コンサルタント、省庁での国際協力交渉、JICAでの国際協力事業の実施を通して見えてきた、日本の国際協力について、いくつかところを話してみたいと思う。

これは、あくまで個人的な感想なので、分野や個人の感覚によっては全く当てはまらないかもしれないし、自分自身国際機関での経験はないことから全てを網羅的に分析したものでもないと思う。

それでも、一国の国家政策の立案から事業の事業の企画立案、実施に至るまでの一連を実作業として行った身から言えることは何かあるのではないか、あるいは書いたことが、これから国際協力業界を目指すひとに何か役に立つ部分もあるのではないか、と思いこれまでのいくつかの企業・機関での勤務経験で感じたことを書いてみたいと思う。というのも自分自身、実際どんな仕事をするのか、誰が本当のアクターなのか、全然想像がついていなかったし、それ故に何から始めればいいか見当がつかなかったから。

いくつかに分けて書くつもりだが、まずは、就職編。

1.専攻と就職先に悩む

自分自身、就職活動をする際には非常に悩んでいた。工学部出身で、環境工学を学んでいた。環境工学というのはいわゆる衛生工学で、主に水を対象とした上下水技術や、廃棄物処理等が主な分野となっている。その中でも、特に焦点を当てているのは人体への影響があるかないか、ということだった。近年、問題になっているマイクロプラスチックも衛生工学の対象範囲になると思う。

このような衛生工学であるが、就職活動の際には、あまり評価されない。 実際にプラントを作るには機械工学や化学プロセスといった技術であり、低濃度の毒性物質の検出技術をいくら持っていたところで役に立たないのだ。

だから、環境プラント会社や環境メーカーといったって、本当に欲しいのは環境工学を学んだ人間ではなくて、 少し環境に理解・興味のある機械工学の学生や化学工学の学生だったりする。あるいはプラント建設に必要な土木知識を持った学生だったりする。

とすると、環境に関わる仕事がしたくて環境を選んだ人間はどこに行けばいいのか。このような現実に直面して、進路に悩む学生は非常に多かったと思う。しかも、環境問題に関心のある人というのは決して日本だけを見ているわけではない。

環境問題というのは一つの国だけでは解決できないグローバルな問題だから、日々目にするニュースの中でもすぐに世界的にはどうなのか、と考えてしまう(特に自分)。頭だけは一丁前にグローバル思考なのだ。ところが、このグローバルな視点というのは、頭でっかちなものだから、企業への就職という観点ではかなり困り物だった。

というのも、日本の公立中学・高校・大学と育ってきてるから、そのまま日本の企業に就職することしかわからなかった。留学なんて怖くてできないし、外国の企業で働くなんて自分に選択肢としても思いつかなかった。そんな人は特別な才能を持つ人しかできないと思い込んでいたのだ。それでいて、頭だけはいろいろ考えて何もできてないもんだから実態が全然伴わない。

企業のHPをみても全くそそられない。どんな大企業も、そのマーケットの大部分は日本だし、世界を本当の意味でマーケットとしてとらえて、しかもビジネスを通じて世界を変革していこうなんていう企業はそう見当たらない。全くないわけではないだろうが、多くの企業のHPの海外展開の部分を見ると、国内部門の充実度と比べて段違いで見劣りする。そもそも、「海外」とひとくくりでしている時点で、その企業に海外を見据える視座はない、などと考えて、批判ばかりしている。

そんなことを考えていると、いくら書類選考を通って、面接に行ったとしても、「ちぇっ、この会社はくだらねぇな。」なんて思って面接を受けているから、そんな見下した態度はすぐにばれてしまう。自分の考えをてわかってくれる会社なんてないな、とか思ってしまう。

実際、自分も大きな有名な会社には書類選考の時点で落ちてしまったり、面接でもいまいち熱意のある回答ができず、失敗の連続だった。

2.海外ならなんでもいい

こんな調子じゃやばいな、などと考え始めて、就活の方針を変えた。やりたいことは後においておいて、「海外で働く」ことを一番に就職活動を行った。要は、「環境問題にかかわりたい」は封印して、環境=グローバル=海外という(強引な)三段論法で海外への熱意をやたらと熱く語ることにした。もう、海外で働かせてもらえることを確約してくれるところならどこでもよかった。

いろいろ調べて、見つけたのが「開発コンサルタント」。自分のようにいかにも頭でっかちの人間にぴったりの名前じゃないか。「コンサルタント」というだけで気分が上がる。しかも必要な英語能力はそれほど高くない。これなら、なんとかなるかもしれない。

その時は、あまり海外は行ったことなかったのだが、学会発表でいくつかの国には行ったことがあったので、 その時の話や、そこで会って話した人の記憶なんかを使いながら、また、自分の研究がいかに海外や途上国のことを考えたものになっているか、 どういう思いで研究したかなんかを語った。ESなんて適当だった。ほとんどの会社に同じようなことをコピペして送り、受かったところには、ESの何がよかったかを逆に面接で聞いた。そんなこんなで、なぜか開発コンサルタントに受かり、国際協力の仕事に携わることになった。

3.開発コンサルタントへの就職を決める

今思えば、先に語学を勉強して、留学した方がよかったかな、とか、博士課程にいくのもよかったかな、とかいろいろ思うところはあるが、自分としては、とにかく海外への切符を手にできたということで、大きな前進だったし、今でもあれしかやりようがなかったな、と思う。

ともあれ、研究が忙しかったので、短い期間の就職活動ではあったが、自分が何をしたいのか、考えるとても良い機会になった。そして、なんとか海外にいかせてもらえることになるのだが、就職後もいろんな苦難があり、転職も考えるようになるのだが、この時はとりあえず、前途洋洋と社会に胸を張って出ていくような気持ちだった。



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