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駅弁と両極化

2024年1月1日

私の実家(三重)に行くために、東京駅から新幹線に乗った。

新幹線に乗る時の楽しみといえば、なんと言っても車内で駅弁を食べることである。

デパートなどでわざわざ駅弁フェアをやるくらい、世の中の人は駅弁に心をときめかせる。

駅弁の中には食べ物だけでなく、旅情や夢が詰まっていると言っても過言ではないだろう。

私、妻、娘(6歳)、息子(4歳)は駅弁を吟味するために、乗るべき新幹線の発車時刻よりだいぶ前に東京駅に到着した。

東京駅は人でごった返していたが、妻は迷うことなくグランスタに向かう。

グランスタとは東京駅内のデパ地下のようなもので、ちょっといい食べ物が売っている。
この日はグランスタ大盛況で、どの店も大行列ができていたが妻はどうしてもグランスタで買いたいというので私は子どもと一緒に待っていた。

妻は激混みのグランスタでどうにか自分の好きなものを買ってきた。

娘もどうやら食べたいものが決まっているようである。ホームの駅弁屋さんにあるからそこまで行こうと私たちを促す。

妻も娘も意志が強いのである。

私と息子は意志がわりと薄弱な方なので、娘が行きたいと言った駅弁屋さんで、お弁当を選んで買った。

そして新幹線の中でそれぞれが買ったものを見てみると、意志が強い選択と、弱い選択で色濃く個性が出たのである。

意志の強い妻は生春巻きを何種類か買っていた。妻が言うには今日は生春巻きしか食べたくないし、生春巻きが本日の正義らしい。

意志の強い娘は万世という店のカツサンドを二つ買っている。万世とは秋葉原に本店を持つステーキ屋さんなのであるが、カツサンドにも力を入れている。
娘が言うには、和幸よりまい泉よりカツサンドは万世が美味しいらしい。

妻も娘も欲しいものが買えて満足そうだ。

私と息子はそういう選び方をしない。
私たちは少しずつ違うものを食べたいのである。

息子は東海道新幹線弁当なるものを選択した。私は特選幕内弁当をチョイスした。

妻と娘は自分がそれを食べたいと思うものを単品で選ぶということに対して、私と息子はなんとなく好きなものを少しずつ食べたいと思うタイプである。

だから幕の内的選択となる。

私と息子は「これを食べる」という強い決定ができないので、いろんなものが入っている弁当で一口ずつそれなりに楽しめればいいという境地に落ち着くのだ。

新幹線内では妻は生春巻きが大正解だっと満足そうだし、娘は万世カツサンドが駅弁最強だと悦に入っている。

息子は「この丸くてかわいいのとにんじんさんおいちいね。たまご焼きも入ってって良かった」と嬉しそうである。

私は息子に「丸くてかわいいのはがんもどきって言うんだよ」と伝える。

楽しみ方は両極化するが、駅弁とはなぜ私たちをこれほどまで魅了するのかと考えた2024年の元旦であった。

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